巨人、トレードのウラに「独走V」と「菅野の去就」 エースのMLB挑戦を見据えた名将・原辰徳の「補強」と「育成」

巨人、トレードのウラに「独走V」と「菅野の去就」 エースのMLB挑戦を見据えた名将・原辰徳の「補強」と「育成」

6月19日、阪神との今季開幕戦での原辰徳監督(写真:AP/アフロ)

 電撃トレードの成立に多くの球界関係者も度肝を抜かれた。プロ野球の巨人と東北楽天ゴールデンイーグルスが25日、1対1の交換トレードを発表。巨人が楽天からゼラス・ウィーラー内野手、楽天は巨人から池田駿投手をそれぞれ獲得した。

 かつてヤンキースなどでプレーした元メジャーリーガーのウィーラーは33歳のベテランで2015年から楽天で通算106本塁打、345打点をマークしている実績十分の長距離砲。対する池田は今季プロ4年目で一軍通算62試合、1勝3敗の27歳左腕だ。両者の今季推定年俸も前者が2億円、後者は1450万円と開きがあり、一見すれば随分と格差が大きいトレードのように思える。しかしながら両選手は所属する球団でともにファームでくすぶっていた現状があり、一軍定着の見込みも少ないまま飼い殺しになる可能性が高かったことを考慮すれば非常に斬新で意義深い英断だ。

好スタートでもVロードへの手綱緩めず

 喉から手が出るほどに左腕を欲していた楽天にとって、まだ伸びしろも十分見込める池田の獲得は願ってもない好都合の交換要員。功労者・ウィーラーの放出には「非情」との声もあるが、これにクギを刺すようにして楽天の石井一久GMは本人の強い希望を汲んで現状のバックアップ要員ではなく必要とされる新たな環境を模索していた経緯があったことを明かしている。自らも現役時代にメジャーリーグ(MLB)を経験しているだけに異国の地でプレーする助っ人選手の心境は理解しており、球団側の要職に就く立場としても時にはドラスティックに戦力整備を行うMLB式トレードの必要性を熟知していたからこそ電光石火の動きとともに商談をまとめ上げたのであろう。

 それにしても開幕から僅か6戦目、異例の早さで両球団は随分と思い切ったトレードに踏み切ったものだ。しかも25日現在で楽天はパ・リーグ2位につけ、一方の巨人もセ・リーグ首位を開幕からキープして快走中。Aクラスのポジションで好スタートを歩みながらもこうやって“攻め”の姿勢を怠らないところに、何が何でも今季Vを狙おうとしている強い執念が垣間見える。

 特に巨人は急務だった「右の大砲」の補強を日本でのプレー年数も長いウィーラーの獲得によって開幕早々に成立させることができた。新型コロナウイルスの感染拡大によって入国制限下にある米国から新たな助っ人を獲得することは困難な状況であることから、手っ取り早い算段としては国内他球団の大砲を獲得するシナリオがベスト。それだけに現状としては最善の補強と言えそうだ。

 コロナ禍の特例ルールを設けてNPB(日本野球機構)は今季に限って12球団に外国人選手の一軍登録枠を4人から5人に増やすことを認めている。だが、ここまで巨人は開幕から4人のみでやり繰りしていた。ウィーラーが期待通りの働きを見せれば残り1枠にスンナリと収まり、2年連続リーグV、そして日本一奪回の重要なピースとして機能していくことになるだろう。

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