AE86カローラ・レビンに採用された世界初の画期的な装備とは?【Corolla Stories 22/50】

クルマの前方には大きな穴、フロントグリルがあるのが一般的ですが、なぜそこに穴があるのかわかりますか? ここから空気を取り入れて、エンジンの燃焼に使う空気を取り入れたり、エンジンを冷やして温度を安定させる冷却水を冷やすラジエターに風を当てるためのものです。

1983年に誕生した5代目カローラのラインアップにあるスポーツモデルの「レビン」に量産車として世界初採用された装備がありました。

それが、そのラジエターグリルを開閉させる機構です。

5代目カローラのレビンと言えば、その車両型式「AE86」という記号から、ファンの間でも「ハチロク」と呼ばれるようになったクルマです。

このレビンの上級モデルに採用されていたのが「エアロダイナミックグリル」というものでした。

必要な空気を取り入れるための穴を閉じてもいいの?と思われるかもしれませんが、実は閉じた場合のメリットもあるのです。

例えばエンジンの水温が温まりやすくなり、早くエンジンを安定状態にすることができます。冬場はヒーターが早く効くことになりますね。またエンジンルーム内に流れ込む空気の量が制限できるので、空気抵抗を低減するデザインとすることもできます。理論上は無駄な熱を逃がさないことで熱効率がアップし結果燃費が良くなるとも考えられます。開けたり閉じたりを上手に利用することで、性能を高めたクルマでもあったのです。

この驚きの装備が、世界初としてカローラ・レビンに搭載されたのです。

世界初採用で、当時の資料には「画期的」という表現が用いられ紹介されていました。

ちなみに、似た作動をするクルマがその後レースシーンに現れています。90年代のドイツ国内を発祥とするツーリングカーレースDTM/ITCで、オペル・カリブラV6が採用しました。ラジエターの入り口にあたるバンパー部分の吸入口(インテーク)にシャッターを採用したものです。高速では閉じて空気抵抗を減らし、ブレーキング時には開いて空気抵抗を拡大させダウンフォースも得るというものでした。

また近年ではメルセデス・ベンツが量産車にエンジンの温度管理と空気抵抗低減の目的で、ラジエターの前にシャッターを用いる方法を採用しています。

最近の高熱効率エンジンでは、燃料を出力とする技術が向上したということは無駄な熱を発生しないので、オーバークールになる傾向もあり、こうした装備がより実用的に必要とされてきたわけです。

それらに比べるとかなり初歩的な技術ではあったのですが、発想という点では秀でたアイデアだったといえるでしょう。

(文:カローラせんせい/小林敦志)

AE86カローラ・レビンに採用された世界初の画期的な装備とは?【Corolla Stories 22/50】(http://clicccar.com/2016/10/01/403246/)

【関連記事】燃料計の進化に思わぬ落とし穴があった! 4代目カローラの置針式燃料計【Corolla Stories 21/50】4代目カローラのハンドルが「への字」型だったワケは?【Corolla Stories 20/50】4代目カローラのリモコンミラーが左右とも1本レバーで調整できた画期的仕組みは?【Corolla Stories 19/50】