おバカ企画の頂点!? オカマちゃんなら検問クリアは楽チンか?【OPTION 1982年2月号より】

OPTIONでは時折、おバカな企画をやっていました。私が知る限り、今回紹介する記事は間違いなくトップ3に入るおバカなドアホ企画だと思いますね〜。最高速やゼロヨンテストも続々と紹介したいですけど、たまにはこんなおバカな記事もお楽しみください!!

ちなみに、バッチリなキモメイクをした(されちゃった?)KINさんとは、以前紹介したOPTペーパークラフト製作者でありTVチャンピオン「ダンボール王選手権」3連覇を成し遂げた、ペーパークラフト界の巨匠です!

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<OPTチャレンジ企画>交通違反対策キャンペーン
新春初笑い、ニューハーフ大作戦!

【22:10】ミーティングのため、青山のカフェにスタッフ5名が集合した。KINはすでに化粧を終え、薄暗い照明の下では、無気味にさえ見える。話し方や、その仕草までが完全に女になりきっている。

【22:40】いよいよ、一斉取り締まりを求めてスタート。KINとRYOのオカマ・コンビ(RYOはオカマのマネージャー役!)は真っ赤なランタボだ。渋谷の一斉は、多くが飲酒運転のチェックなので、繁華街からベッドタウンに抜ける道に多い。しかし、今日はやけに静かだ。KINはしきりに化粧を気にしてバックミラーを見る。その度に目が合い、気持ちの悪い思いをする。

【23:10】六本木交差点周辺は、やけに込んでいる。はるか遠方の反対車線で、パトカーの赤いライトが点滅している。事故か? いや、それは間違いなく一斉取り締まりだった! チャンスは一度。なんとか成功させなければ!と思ったときから、KINはオカマに、RYOはマネージャーになりきっていた。

【23:37】いよいよ、オマワリさんがドアの横に来た。KINがゆっくりとウインドウを下げる。その瞬間、カメラマンのフラッシュが光った!

オマワリさん(以下オ):(カメラマンに向かって)なにやってんの! ダメじゃないか!(と、きつい口調)免許証を拝見させてください。(打ち合わせでは、最低でも5枚の写真が撮れるまで、免許証が見つからないマネをすることになっている)。

KIN(以下K):困ったワ。免許証が見つからないワ。

オ:ゆっくりでいいから探してくださいネ(ヤケに優しい。この時点で、カメラマンはKINがオカマであることをオマワリさんに話していた)。

K:アラないワ(と言いながら、ハンドバックの中を探す)。

オ:今日は忘れちゃったかな?(どっちがオカマ言葉を話しているのか分からない話し方だ)。

K:あるんですけど、ちょっと待って欲しいワ。

オ:免許証不携帯でしょ!(これ以上はヤバい!と判断して、免許証を出す)。

K:アラ、ありました。ごめんなさーい!

オ:余計に言うから焦っちゃったのかな?(こんな言葉をオマワリさんから聞いたのは初めてだ)。○○さんはどこなの、お住まいは?

K:○○です。

オ:ナニ屋さんだい?(KINは一瞬、ドキッとする)

RYO(以下R):あの、ボクのお店にいるんです。

オ:あんたの店はどこ?

R:渋谷です。

オ:あっ、渋谷ネ。なんていうお店だい?

R:ジュリーです(この名前は、打ち合わせではKINの源氏名に決めていたのだが、とっさに口から出てしまった。しかし、オマワリさんの質問は、明らかに職務から離れたもので、好奇心が強く感じられる)。

オ:分かりました。アノー、源氏名はなんていうの?(と、ヘラヘラ笑いながらKINに聞いた。しかし、源氏名のジュリーは店名として使ってしまったので、一瞬困る)。

K:そこまではカンベンしてくださーい!

オ:ハッハッハ! 分かりました。それでは気をつけて!

K:どうもすみません!

【23:41】たった4分のドラマだったが、ふたりとも30分以上に感じていた。とにかくその場を離れたく、口もきかずにクルマをスタートさせた。

男よりもオカマのほうが絶対に得!だということで、ふたりの意見が一致した。これは、本物の女の子の『カワイイから許してあげる』というのとは違うのだ。職務と、オカマを見るという好奇心とがミックスされて、なんとなく優しくなっちゃうのだろう。

確かに、KINがオカマであると分かってからは、こちらも検問でオマワリさんと話している、という感じはなかった。化粧なんかしなくても、オネエ言葉だけで十分に通用する。バレちゃっても逮捕される、なんてことはないんだからね。

もうひとつ、後になって考えてみると、飲酒運転の取り締まりだったのに、免許証紛失騒動で、飲酒ウンヌンのほうは話にも出なかった。どーしてだろ?
KINの変身インプレッション
もちろん、化粧するのなんか初めてだよ。でもビーバー(六本木の有名なオカマさん。化粧してくれた方)に「肌が綺麗ね」なんて言われたとき、少し覚悟が決まった。化粧すると、男として突っ張らなくていいみたいな、ウーン、やっぱ女のような気持ちっていうのかな。女になったような気がしてくる。不思議だね。

スタッフとは青山のカフェで待ち合わせしたんだけど、恥ずかしくって「男」として振る舞えないの、どういうわけか。化粧しているんだから、ボクは「オカマ」なんだって言い聞かせてた。「オカマ」のフリをしているほうがずっと気が楽だったよね。

Daiちゃんは気味が悪いって顔をそむけてコーヒー飲んでるし、RYOはゲラゲラとバカ笑いしている。でも「なんだよぉ!」なんて言えなかった。下向いてモジモジしたりなんかして。

検問所が見えたときは、正直言ってビビった。でも、許してもらえそうな気もした。今は「女」なんだからね。オマワリさんの態度はまったく違っていた。ボクも昨日と違うボク。免許証がみつからない、というと「ゆっくり探しなさいね」なんてことを言う。

ボクは生まれてこのかた、こんな優しい態度のオマワリさんを見たことないゾ。優しくされると、簡単に甘えちゃったりなんかできる。「オイ!」と言われちゃ「なんだ!」となるけど、「探しなさいね」なら「ゴメンナサイネ」ときちゃうんだよ。そのときは緊張してたけど、開放されてホント思った。

「女は得だ! 男は損だ! オマワリさんのえこひいき!」

男には男の楽しみ方がある!? by Dai
交通検問・・・なんたって不愉快だ。コッチがなにも後ろめたいことはないハズなのに、なぜか不安がムラーっと湧き上がってくる。

「あれー、免許証持ってたよなぁ。でも確認してないし…」。ましてその時、クルマがドアミラーに換えてあり、ステアリングも小さめの皮巻きだったりすると、「敵に難癖つけられるとヤバイ! ここはひとつ、穏便、低姿勢に」と心中、平静ならざるものがあったりする。

が、今はド・ノーマル車だから余裕も生まれる。しかし、寄ってきたオマワリさんは、ごく機械的に「免許証拝見」と言ったきり。コッチも別にオマワリさんと親しくしたいワケでもないから、黙って免許証を見せる。「お酒飲んでませんか?」「飲みたいんだけどね」「アレ、目がちょっと赤いですね」「ウサギ年だからでしょ!」…冗談はまったく無視された。

「こっちへハーッと息、吹きかけて」「ハーッ」「それじゃあ、分からないよ。もっと強く!」…言葉使いが、心なしか変わってきた。そこでオレは、思いっきり息を溜め、ニンニクラーメンを食べ、ジタンのタバコを吸った後のとっておきの一息をプワーッっとあびせてやった。オマワリさんは思わず、鼻を曲げた。

いつもならひたすら時間の無駄損したって気しかしなかったが、今回ばかりは、なんと言おうか、スカッとするコミュニケーションが、(一方的に?)取れ、心爽やかに検問を後にしたのだった。オマワリさん、めげないでネ!

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ね、おバカでしょ!? 飲酒検問は、今の時代でもたとえ我が身が潔白でもムカつくものがあります。でもね、女性にだってけっこーきつめのことを言ったりするんですよ〜。あ・・・オカマちゃんじゃないから、か!? しっかし、こんな企画を思いつき、そして実行してしまう当時のスタッフを尊敬してしまいます。

ちなみにこの記事、日本初の300km/hオーバー、ゲーリー.A.光永氏所有の真っ赤なパンテーラが307.69km/hを記録した記事と同じ号です(汗)。

(Play Back The OPTION by 永光やすの)

おバカ企画の頂点!? オカマちゃんなら検問クリアは楽チンか?【OPTION 1982年2月号より】(http://clicccar.com/2018/02/24/560500/)

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