【自動車用語辞典:エンジン「水平対向エンジン」】独自の気筒配置を持つ個性派エンジンのメリットとデメリット

【自動車用語辞典:エンジン「水平対向エンジン」】独自の気筒配置を持つ個性派エンジンのメリットとデメリット

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■環境対応技術では出遅れるも低重心は大きな魅力
●スバルとポルシェはなぜ水平対向にこだわるのか?
水平対向エンジンといえば、すぐにスバルとポルシェを思い浮かべる人が多いと思います。直列エンジンとV型エンジンが主流の中にあって、2つの自動車メーカーが水平対向エンジンにこだわるのには、それなりの理由があるはずです。この項では、水平対向エンジンの特徴、メリットとデメリットについて解説していきます。

●水平対向エンジンとは?
現在広く採用されているのは直列エンジンです。全幅は抑えられますが、全長と全高は高くなります。吸・排気弁など動弁機構を組み込んだシリンダーヘッドは最もシンプルな構造になります。V型エンジンは、シリンダーを左右交互にV型に配置して、ピストンは斜めに往復します。全長が抑えられ全体にコンパクトな構造になる利点がありますが、シリンダーヘッドが左右ひとつずつ1対必要で、複雑な構造でコストが上がります。

さて、独特なメカニズムを持つ「水平対向エンジン」です。クランクシャフトに対してシリンダーを左右水平に配置し、左右に向かい合った一対のピストンが水平方向に往復するエンジンです。V型エンジンと同様に、シリンダーヘッドが左右1対必要です。

ボクサーがパンチを打ち合う様子に似ていることから、「ボクサーエンジン」とも呼ばれています。
●水平対向エンジンのメリット
水平対向エンジンには、多くのメリットがあります。

・低振動
左右で対向しているピストンが互いの慣性力を打ち消すように対称的に往復運動するため、エンジンは振動が少なく、スムーズに作動します

・低重心
シリンダーが水平に配置されるため全高が低く、全幅が広い構造は低重心となります。しかも左右対称ですから、車両の安定した操縦性や走行性能に大きく寄与します

・高剛性
全長が短いのでクランクシャフトが短く、またクランクシャフトは左右クランクケースによって両側から強固に挟み込む構造なので、クランクケース全体の剛性が高くなります。高い剛性は、低振動と耐久信頼性の向上につながります

・高出力
パッケージングのためにエンジン全幅には制約があり、ショートストロークにならざるを得ません。このショートストロークと、本来持つバランスの良さが、高回転化と高出力を実現します

・衝突安全性
エンジンの全高が低いので、前面衝突したときにエンジンがフロアの下に潜り込み、乗員へのダメージが軽減できます

※豆知識…スバルの場合、低重心で左右対称といった水平対向エンジンの優位性と、相性の良い「フルタイムAWD(4駆)」技術を組み合わせて、「走りのスバル」「4駆のスバル」といった独自のブランドを築き上げました。
●水平対向エンジンのデメリット
多くのメリットがありますが、一方で将来に向けたエンジンとしては、普及を妨げる「決定的なデメリット」があります。

水平対向エンジンは設計的な制約が多く、種々の要求に応える自由度がありません。全幅の制約からショートストロークで高出力向きですが、熱損失が大きく燃費は不利です。また、電動化技術との組合せも構造上、容易ではありません。

今後、様々な環境対応技術や電動化技術と組み合わせるためには、水平対向エンジンの適正化だけでなく、プラットフォームの改良など車体側の改良も必要です。

走りを追求するクルマのパワーユニットとして水平対向エンジンが持つ低重心は、最大のメリットです。環境対応技術で後れを取っていることが最大の問題ですが、今後も進化し続けて個性あるパワーユニットして存在感を示してほしいものです。

(Mr.ソラン)

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