「メガーヌR.S. カップ」はしなやかかつ軽やかなのに、スポーティ度はアップ!? これがルノー流スポーツカーの作り方(その2)

「メガーヌR.S. カップ」はしなやかかつ軽やかなのに、スポーティ度はアップ!?  これがルノー流スポーツカーの作り方(その2)

「メガーヌR.S. カップ」はしなやかかつ軽やかなのに、スポーティ度はアップ!? これがルノー流スポーツカーの作り方(その2)の画像

【ジャジャ馬が軽やかなパリジェンヌになった!?】
かつて旧型「メガーヌR.S.」のマニュアル車をマイカーにしていたことがあるという、レーシングドライバー&clicccarテストドライバーの井出有治さん。「新型R.S.のMT仕様が気になって気になって!」ということで試乗した「メガーヌ・ルノー・スポール カップ」(以下、メガーヌR.S. カップ)。前回のその1では「メガーヌR.S.カップ」のベースとなった歴代のR.S.について、再確認してみました。その2からは本格的に、R.S. カップの井出有治さんインプレッションをお届けします。

●誰でもが乗りこなせる最強FFスポーツ車
「とにかくビックリしたのは、物凄く軽やかだっていうことです!」(井出さん)

井出さんが千葉県・袖ヶ浦フォレストレースウェイで「メガーヌR.S. カップ」に試乗し、ピットイン後の第一声は「軽い!」でした。

「その軽さっていうのは、FFだからリヤが軽くて…というのとは全く違い、クルマ自体のフットワークが軽いという意味です。旧型と比べて重心も車重も上げているとのことですが、ウソでしょ!?って感じ。ボクが乗っていた旧R.S.(MT)の車重は1430kg、今回のRS. カップは1460kg…ウン確かに重くなっていますよね。でも、その重さが全然感じられないんです」(井出さん)。

井出さんが乗っていた旧R.S.は「ちょっと重さを感じるジャジャ馬!」だったとのこと。そのフットワークの軽さはどこからきているのでしょうか?

●「バイマテリアル・フロントブレーキローター」は1コにつき1.8kgの軽量化
「フットワークの軽さが感じられるというのは、新型R.S.カップのフロントブレーキに使われている鋳鉄製ベンチレーテッドディスク+アルミ製ハブの『バイマテリアル・フロントブレーキローター』のおかげもあるようです。1コあたり1.8kgも軽量化(対現行メガーヌR.S.)されていますからね」(井出さん)。

バネ下重量の軽量化はレーシングカーでもチューニングカーでも、もちろんメーカーのクルマでもフットワークを好レスポンスにする手法です。

「このブレーキですけど、重量が軽いだけではなくタッチもイイ感じでした。ストッピングパワーも十分にあるし、またコントロールもしやすかったです。大体、普通のスポーツカーでこの路面コンディション(ハーフウェット)の中、サーキットを3ラップもすればタッチが悪くなってくるんですけど、R.S.カップはコンスタントでタッチの変化はなし。たまにブレーキテストとして強く踏んでみましたけど、それでもフィーリングは良かったですね!」(井出さん)

「それと、試乗後に聞いた話、レースモードだとブレーキバランスも変えているそうなんです。ブレーキバランスがリヤ寄りになることで、FF車のため確かにブレーキコントロールはシビアにはなるんです。でも、ブレーキングからターンインでのクルマの向きが変わりやすくなります。今回の試乗ではレースモードだとレブポイントが若干、上がることに気が付いたことで(※詳しくは次回その3でレポートします!)、レブも変わって速度が上がったのか、自分が周回ごとに攻めているからか…。確かにブレーキバランスの何かが変化したな…とは感じましたが、路面がハーフウエットだったこともあり、もう一度完全ドライコンディションで試乗して再確認したいです!」(井出さん)

●「シャシーカップ」「4HCC」「DASS」、これがまたイイ仕事をしてくれます!
各レートが高められているシャシーカップ。対シャシースポールでスプリングレートはF:23%/R:35%、ダンパーレートは25%、またフロントアンチロールバーは7%アップされています。

また、このシャシーカップの「4HCC(4輪ハイドロリック・コンプレッション・コントロール)」の技術は、ラリー参戦からフィードバックされているそうです。

ダンパーinダンパーを特徴とするHCC。シャシーカップはシャシースポール(R.S.)に対してバンプラバーが10mm高く、66mm(スポール)に対して76mm(カップ)に設定。その違いは?というと、ダンパーが動いた時、シャシーカップのほうが先にバンプストッパーに当たって抑え、そこからHCCが作動する。戻るときはそのままのエネルギーで戻るのではなく、ダンパーが戻して行く=ダンパーが制御する、ということ。シャシースポールのほうはHCCとバンプストッパーが同時に働きますが、シャシーカップは先に抑えて働かせる…という違いがあります。

ン〜? これは理論的なことをアタマで考えるよりも、井出さんのインプレッションを聞いたほうが分かりやすそうです!

「このHCCを試すため、わざと縁石に乗ってみました! それでもドーンという突き上げ感はなかったですね。ドンと縁石に乗ってもダンパーがしっかり制御されているため、サスペンションがバーンと速く戻ってこないので、しっかりと、かつしなやかに追従してくれる感覚が分かりました。だから乗り心地もいいんですよ」(井出さん)。

この『乗り心地のいいスポーツカー』は、ルノーの狙いのひとつでもあるそうです。「乗り心地もいいR.S. カップで、誰にでもサーキットを速いラップで走って欲しい!」、サーキットが得意なR.S. カップですが、サーキット超専用の尖った仕様にはしていない、ということです。

また「DASS(ダブル・アクシス・ストラット・サスペンション)」は初代のR.S.から使用されている機構。今回のR.S. カップではその進化版が採用されています。ステアリング操作やサスペンションの上下動で暴れだす動きを制御し、常にタイヤの中心に仕事をさせる、そんな機能です。

「このフィーリングだったらストリートの路面が悪いところでも足の堅いイヤ〜な感じはなく、スムーズに走れますね!」(井出さん)。

●「R.S. カップ」専用のトルセンLSDは『逃げない』
R.S.カップ専用のトルセンLSD。開発段階での要望は「オープンデフ!」、しかしレーシングカーではないのでどんな路面状態(雪・雨等)でも日常的に使えなければ意味がありません。いろんなトルク配分パーセンテージをシュミレーションし、採用された答えがR.S.カップ用に専用開発された「ジェイテクト製トルセンType-B」です。これもまた、試乗テストをしたうえでのインプレッションを聞いてみます。

「R.S. カップに採用されているトルセンLSDですけど、R.S.の電子制御R.S.デフと比べて『効き』というのが明らかに感じられました。それがまたクルマの全体的なスタビリティの仕事もしていて、クルマがしっかりとボディ剛性、サスペンション、すべてトータルでクルマが軽やかに、そしてターンインするときはなるべく軽い状態でスムーズにコーナーに入っていく。そこからアクセルを開けてトラクションをかけたい、横に逃がしたくない!というときには、このトルセンLSDがうまく機能しているということを感じられましたね」(井出さん)。

シャシーカップやトルコンLSD、バイマテリアル・フロントブレーキ、また4コントロールや4HCC等々、「R.S. カップ」専用の新システムと「R.S.」共通のシステム、そのひとつひとつを1台のクルマとして組み合わせてセットアップしていった結果が、井出さんが最初に感じた『軽やか』への答えなのでしょう。

「先ほど聞いたんですけど、セッティングする開発メカニックはよく、すべてがひとつのチェーンに繋がっている…と言っているそうです。ひとつ性能を上げたら他も全部上方向へ合わせていく。やはりクルマのセッティングというのはバランスが大切なんですよね!」(井出さん)

サーキットが得意とはいえ専用ではない。ハイパフォーマンスではあるけど日常的にも使える。だから、あえて4ドア。でも5MT! ルノーの作る「市販車スポーツカー」の目指すところが見えますね!

次回その3では、井出さんお気に入りポイントのひとつ「マニュアルミッション」の感覚と「1.8L直噴4気筒+ボールベアリング式ツインスクロールターボ」、そして「タイヤ」など、ルノー開発陣のノウハウを全てつぎ込み、トータルにセットアップされた「メガーヌR.S. カップ」をさらにチェックしていきます。

(試乗:井出 有治/文:永光 やすの/写真:平野 陽)

【関連記事】

スペシャル機構をさらにセットアップ! 井出有治お気に入りの「メガーヌR.S.」に、待望の「6MTシャシー・カップ」が登場(その1)
https://clicccar.com/2019/03/05/712717/

普通に乗っても楽しい「メガーヌR.S.」はフランスF3時代の思い出の香り・井出有治の「コレ乗りたい!」その1【東京オートサロン2019】
https://clicccar.com/2019/01/21/686975/

「メガーヌR.S. カップ」はしなやかかつ軽やかなのに、スポーティ度はアップ!? これがルノー流スポーツカーの作り方(その2)(http://clicccar.com/2019/03/07/713858/)

【関連記事】【ランボルギーニ・ウラカン ペルフォルマンテ・スパイダー試乗】スーパーカーとしてはかなり乗りやすいタイプ!?スペシャル機構をさらにセットアップ! 井出有治お気に入りの「メガーヌR.S.」に、待望の「6MTシャシー・カップ」が登場(その1)【ランボルギーニ・ウルス試乗】SUVとしての魅力・使い勝手もしっかりと持つ、不思議な「スーパーカー」SUV