NYやパリで日本酒バーが大人気!進化し続ける日本酒ブームの裏側

NYやパリで日本酒バーが大人気!進化し続ける日本酒ブームの裏側

@DIME アットダイム

今の日本酒ブームの背景には、若手蔵元の活躍がある。さらに『ユネスコ無形文化遺産』に和食≠ェ登録され、海外での日本酒の注目度が急上昇。NYやパリで日本酒バーが人気を集め輸出量が急増中。このブームの先行きとは?


原料となる米の精米歩合を比較した写真。磨くほど粒が小さくなりスッキリした味に。精米技術も進化。

■清酒の輸出金額は10年間で2.7倍に!


国税庁調べ


「青木酒造」代表
青木貴史さん
1974年生まれ。1717年創業、米どころで知られる新潟県南魚沼の蔵元・青木酒造の12代目当主。慶應義塾大学で学ぶ。下は人気の『鶴齢』。

■若手世代が味やイメージを次々とイノベーション

 オヤジの酒だった「日本酒」のイメージが、大きく変化しつつある。最近では旭酒造の『獺祭(だっさい)』や新政酒造の『新政No.6』などが、個性的な味やブランド展開などで一大ブームとなった。その動きは全国の老舗蔵元へも飛び火し、若手世代たちが中心となって、それに追いつけ追い越せと言わんばかりに続々と新商品を発表しているのだ。料理を選ばず飲めるフレッシュな味わい、スタイリッシュなラベル、女性向けの商品やスパークリングなど、商品の特徴も多様化。海外で人気を集め、逆輸入≠フ形でブームとなる酒も少なくない。

創業298年の歴史を持つ青木酒造もそのひとつ。12代目当主・青木貴史さんは慶應義塾大学で学んだ経歴を持ち、味作りだけでなく、マーケティングやブランディングにおいても独自理論で展開し、日本酒通たちが一目を置く存在となっている。「伝統を守りつつも、どう革新させていくか。とても難しい命題ですが、15年ほど前の焼酎ブームの時に危機感を覚えた蔵人たちが、地道に努力を重ねた結果が実を結びつつあるのだと思います」

●ワインのようなしゃれたボトルも人気の秘密!


東大卒蔵元でも有名な新政酒造『新政No.6 S-type』。


海外への輸出を想定し、ラベルに英字表記も並列。

〈進化のポイント〉
●高学歴の若手世代が新たな商品開発に着手
●醸造技術の進化で、日本酒の味わいが多様化
●おしゃれなラベルデザインなどでイメージを刷新
●フレンチやイタリアンに合う飲み方などを提案
●日本酒バーなどで手軽に飲むイメージを演出

■最新設備を取り入れ、酒造りをデータ化

◎杜氏と二人三脚で機械を使いこなす

 かつて「日本酒の味は杜氏の職人技で決まる」と言われていたが、昨今は味をブラッシュアップする際、設備投資に踏み切る蔵元が増えている。というのも、ここ数年、アミノ酸など旨味成分の研究が進み、醸造技術も進化。酒造りに適した機械や素材も開発され、杜氏の舌頼み≠フ世界から脱却しつつあるからだ。『獺祭』の旭酒造や新政酒造、青木酒造も積極的な設備投資を実施している。前出の青木さんはその必要性をこう説く。

「私たちは温度・湿度を自動管理するシステムを導入。シリコン素材の圧搾機をいち早く取り入れ、理想的な淡麗旨口≠実現させました。細かな温度管理ができる冷蔵庫も、欠かせません。とはいえ、すべてが機械頼みではダメ。糖度やアミノ酸など旨味の分析結果などを細かく杜氏と協議しながら、酒造りを進めています」

 プロの経験と勘を生かしつつ、ハイテク醸造マシンを活用。その結果、次世代日本酒の個性的で安定した美味≠ェ次々と生み出されるのだ。

●データに加え、杜氏の経験も重視している


白衣を着てサンプルを分析する青木酒造の杜氏。データと五感を駆使して、新世代日本酒は作られる。

●理想の酒造りを叶える湿度&温度を管理


最良の麹を作るための条件を自動的に整える機械。これに人の手でアレンジを加え、さらなる美酒に。

■女性に好まれる新感覚の華やかな商品が続々登場!

〈カワイイボトルにも注目!〉女性にウケる酒厳選7

[にごり酒]

発酵終了直前のもろみ≠完全に濾さず、澱を残したのが「にごり酒」。濃厚で甘味が強く、女性の人気は高い。はっきりした味わいがあり、日本酒通にも人気。生きたままの酵母菌ごと瓶詰めするため、発泡する種類のものも多い。

●赤色酵母を使用し、華やかなピンク色


美しいピンク色でお花見にもGOOD!『ピンどぶ』1922円(720ml)

●有名蔵元・八海山のきりっと旨い発泡にごり


アルコール度数が14.5度とやや高めで飲みごたえ十分『発泡にごり酒 八海山』1650円(720ml)

●フルーティーでクリーミー。おしゃれなボトルも◎


肉料理に合うと人気急上昇中の『KAWANAKAJIMA Silky White』1100円(500ml)

[低アルコール]

一般的な日本酒より、アルコール度数が7度ほど低く、8〜12度の低アルコール日本酒。軽快な口当たりが特徴で、白ワインを思わせる香りと、柔らかな甘さがあることから、日本酒になじみがなかった層からも支持を集める。

●ほんのり酔える度数8%の美酒


フレッシュな果実に似た飲み口の『ひめぜん』952円(700ml)

●ラベルが36種類あり、全部飲み倒すのもアリ!?


きりっと冷やすとぐいぐい飲める、フルーティーさが持ち味の『抱腹絶倒』1000円(500ml)

[甘口]

桃やパイナップルにも似た香りがある甘口の日本酒も人気急上昇中。「日本酒=淡麗」の常識を覆すほどの力強い甘みがありながらも、べたつかない飲み口。華やかな余韻も魅力。

●春先限定で発売される希少性も人気の秘密


期間限定の『花美蔵 本醸造 無濾過蔵出し原酒』2200円(1800ml)

●華やかな香りでこれぞ大吟醸という1本!


昔ながらの製法でていねいに搾られた『大吟醸斗瓶囲いしずく酒』9072円(1800ml)

◎フレンチに一番合うのも「SAKE」!?

 世界の食事情に詳しいフードライターの小石原はるかさんは、最近の海外での日本酒ブームをこう紹介する。

「今、フランスでは『醸し人九平次』が大人気です。柔らかな口当たり≠ノ配慮した日本酒が増えた結果、欧米でもファンが増えている印象があります。逆に、日本のフレンチやイタリアンのレストランでも、外国人客からあなたの国のSAKEも合うよ≠ニ教えられ、日本酒を出すようになった店が増えていますね。海外で支持され、逆輸入される形で人気に火がつく銘柄は多いです」

 洋食店ばかりではない。焼き肉店やステーキ店でも多数の日本酒の銘柄を揃える店舗が増え、肉との相性≠ノ対する評価も高まっている。

「東京・鶯谷の『初花一家』や神田の『吟花』は特に本格的な品揃えです。焼き肉と日本酒のマリアージュはヤミツキになりますよ(笑)。ワインのメーカーズディナー(産地別のワインと料理を楽しむ食事会)のように、日本酒の蔵元さんとコラボしたイベントを開くレストランも増えています。南青山の『レフェルヴェソンス』も、新政酒造とコラボしました」

 このほか、最近の若手蔵元の試飲会は常に大盛況。ちょっと一杯≠ゥら広がる深い世界をのぞいてみてほしい。


『鶴齢』の青木酒造がイタリアで商談会を催した時のひとコマ。パスタ料理との相性もバッチリで、現地の評価もうなぎ昇り。

〈おしゃれ&美味!〉新時代「日本酒」はコレを押さえよ!

外国人ばかりに楽しませてはもったいない!和食や魚だけではなく、肉やフレンチなど、どんなジャンルにも合い、食中酒として料理を引き立てる美酒を、小石原さんが紹介!

●「咲き誇る花」を目指した女性蔵元が造る酒


長い海外生活を経験した女性蔵元が、洋食にも合うようにと造った最高級日本酒『無濾過原酒 純米大吟醸生貯』3300円(720ml)

●柔らかなのど越しで軽やか、かつカジュアル


家飲みにもピッタリ!山田錦をていねいに精米した、柔らかくのど越しがいい純米酒『五凛 純米酒』2600円(1800ml)

●縁起のよい酒名で記念日などにもオススメ


無濾過ならではの濃厚さと、若々しいフレッシュな口当たりで、絶大な人気を集める。『開運 無濾過純米』2760円(1800ml)

●ジャケ買いならぬ「ラベル買い」はコレ


大胆なネーミングとデザインに、思わず「ラベル買い」した銘柄。肉料理との相性がよく、都市部で人気を集める『死神』2760円(1800ml)

●甘口なのにスッキリ!中華料理との相性◎


お米の柔らかな旨味・甘味が生きており、やさしい味わいが持ち味の『菊姫 金劒』2560円(1800ml)

●シュワシュワ感が新感覚な味を演出


瓶内で2次発酵しており、炭酸ガスを使用していない発泡日本酒。クリアな味わい。『亜麻猫スパークリング』1650円(720ml)

写真協力/青木酒造、時事

◎価格など各種データは取材時のものです。

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