スマホ専業証券会社OneTapBuy「銀行においたまま買付」の先進性と課題

スマホ専業証券会社OneTapBuy「銀行においたまま買付」の先進性と課題

@DIME アットダイム

 スマホ専業の証券会社であるOne Tap BUY(以下、「One Tap BUY」)が、「銀行においたまま買付」というサービスを2016年10月4日から開始した。このサービスは、銀行口座にある預金を直接One Tap BUYでの株式注文代金に充当できるのが特徴だ。サービス開始時点での対応銀行はみずほ銀行のみ。利用には1回あたり108円の手数料をOne Tap BUYに支払う(2017年3月末までは無料)。そんな「銀行においたまま買付」の仕組みについて紹介しよう。


「銀行においたまま買付」のイメージ図。買付注文時に、銀行に代金引き落とし指示を送り入金通知を受領する。

■リアルタイムで銀行口座から代金を引き落とす仕組みを使っている

 直接買い付け代金に充当できるとはいえ、勝手に銀行口座から代金を引き落とされるわけにはいかない。そこで利用のために「口座振替契約」を銀行と結ぶ必要がある。水道料金やガス料金を毎月銀行口座から引き落としてもらうように、「特定のサービスに対して、自分の銀行口座から代金を勝手に支払ってもいいですよ」という契約だ。この契約をした後、即時で口座振替ができる「アドバンストデビット」というみずほ銀行のサービスを使うことで、注文と同時に銀行へ口座振替の依頼が行き代金が引き落とされる。

ちなみに、「アドバンストデビット」は目新しいサービスではなく、三井住友銀行では「スーパー口座振替サービス」、三菱東京UFJ銀行では、「リアルタイム口座振替」という名称で提供されており、フィンテックが過熱し始めた2015年より前からサービスが提供されている。また他の証券会社でもこれらの銀行のサービスを使った「即時入金サービス」が提供されているので、「銀行から証券会社にリアルタイムで送金できる」ことは業界初ではない。


買付画面での入金連携の画面例。

 
口座振替の契約画面の例。One Tap BUYからみずほ銀行のインターネットバンキングサイトに遷移し手続きを行う。手続きはスマホで完結する。


みずほ証券のオンライン取引サービス「ネット倶楽部」では、みずほ銀行からの即時入金サービス(リアルタイム口座振替)を提供している。
https://netclub.mizuho-sc.com/docs/pc/fee/sokuji_nyukin.htmlより引用。


マネックス証券では、即時入金サービスを使った投資信託の積み立てサービスを提供している。図の左側に、対応している金融機関の一覧がある。みずほ銀行のスーパーデビットはアドバンストデビットの前身のサービス。
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/guest/G606/tsumitate/tsumitatetejun.htmより引用

■One Tap BUYの本質は「相対取引」専門の証券会社であること

 One Tap BUYによるプレスリリース後、ニュースサイトなどでは、「証券会社への送金手続きをせずとも株式の買付や代金決済できる」という記事が目立っていた。しかし、本質はそこではない。One Tap BUYでは、顧客から受けた注文を証券取引所に取り次ぐのではなく、One Tap BUYがあらかじめ買付しておいた株式に対して顧客が直接取引する。この取引方法を「相対(あいたい)取引」という。

相対取引であれば代金が変わる可能性がゼロになる。なぜなら、価格が瞬時に増減する取引所への注文と異なり、One Tap BUYが株式ごとの価格を一つに決めている。One Tap BUYが稼働していて、One Tap BUYに株式の在庫があれば瞬時に取引が成立する。取引所への注文のように、取引成立から自分の手元に株式がくるのに3営業日かかることもないし、取引時間が決まっている(東京証券取引所なら平日の9時〜15時)わけでもないので、取引の手続きミスや急激な相場の動きによる代金の増減リスクもないのだ。

 価格が一つに決まってかつ、One Tap BUYとだけの相対取引になるので、注文と同時に銀行口座から買付代金を引き落とせていることを理解しておきたい。


One Tap BUYの相対取引の説明。
https://www.onetapbuy.co.jp/order.htmlより引用

 証券取引関連のフィンテック企業として注目を集めるOne Tap BUYには、まだまだたくさんの課題がある。取引可能な銘柄が米国株30銘柄だけなことや「銀行においたまま買付」の対応銀行がみずほ銀行のみなことである。「投資は"もっと"身近」になるために、同社がどのような取り組みを行っていくか期待したい。

文/久我吉史

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