フォルクスワーゲン「Car-Net」にみるカーコネクティビティの理想形

フォルクスワーゲン「Car-Net」にみるカーコネクティビティの理想形

@DIME アットダイム

■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ

 フォルクスワーゲン『パサート』に新たに組み込まれた「Car-Net」というソフトウェアデバイスが使いやすくて便利だった。最新の『パサート』ではスマートフォンやタブレット端末などを接続すると様々な機能を使うことができるようになっているが、「Car-Net」もそのうちのひとつだ。

 操作は簡単で、接続後にカーナビ画面に現れるアイコンの中から「Car-Net」を選ぶだけ。何ができるかというと、付近の駐車場やガソリンスタンド、飲食店などを検索することができる。それらがどれだけ離れたところにあるのかという距離だけではなく、駐車場ならば空いている台数、ガソリンスタンドならば燃料の価格などもほぼリアルタイムで更新されたものを知ることができる。

 

 

 

 それだけの機能ならば、スマートフォンやタブレット端末を接続させずに単体でも可能なことだし、「Car-Net」を司っているNAVITIME社のアプリを用いれば同じことができる。ただ、それでは辿り着くまでのプロセスが長くなってしまう。しかし、これを用いればショートカットが可能となるから早く確実に辿り着く。

 もちろん、「Car-Net」を使わなければ、『iPhone』をカーナビ画面に拡大して表示し同じように操作できる「CarPlay」や同様の「Android Auto」「Microsoft Links」なども使うことができる。それらは『パサート』だけでなく新たに発表された2017年モデルのフォルクスワーゲン各車で強化されているコネクティビティー強化策の一端である。

 いま、各自動車メーカーはインターネットに常時接続することのメリットを最大限に活用しようとしている。そうすればカーナビ専用機とは違って最新の地図データを常に使うことができるし、それらに付随してGoogle Mapsのストリートビュー機能も使える。初めて訪れる場所や土地勘に乏しいところで、ストリートビューはとても便利である。

 

 カーナビ専用機のアドバンテージはVICS情報による渋滞情報が得られることだと言われてきたが、その点についてもインターネット経由ではリアルタイムの通行量を反映したナビゲーションの精度が向上してきており、専用機の決定的なアドバンテージとはならなくなっている。

 いずれにしても、インターネット経由のナビゲーションはカーナビ専用機が宿命的に有していた地図データと操作ロジック、メカニズムの古さによる不便からユーザーを解放した。また、日本車に較べて一世代あるいは二世代も古いカーナビ専用機を用いていた輸入車が少なくなかったこれまでの状態を一気に挽回することにも成功したのである。

 エンターテインメントでも、スマートフォンやタブレット端末の中に持っているものを視聴することだけでなく、インターネット経由のストリーミングによるものを楽しむことができる。筆者も、インターネットに常時接続が可能なクルマに乗っている時には、いつも家庭やオフィスでインターネット経由で聴いているイギリスとアメリカのジャズ専門放送局をノイズなしで楽しんでいて、そのメリットを十分に享受させてもらっている。

 カーラジオは移動しながら聴くものだから、電波をキャッチできにくくなったり、聞こえなかったりする。インターネット経由ではそれがない。カーナビやエンターテインメント以外の機能でも、インターネットに接続することの利点は多い。自動運転化にも重要な役割を果たしており、今後のクルマにとって必要不可欠なものだ。

 接続の方法もクルマによって違いが出てきている。フォルクスワーゲンはスマートフォンやタブレット端末を介して、いわばテザリングで接続しているが、それに対してクルマがアカウントを持ち、SIMカードを挿入して用いられるものもある。

 フォルクスワーゲンと同じグループに属しているアウディやポルシェなどがそうだ。どちらの日本仕様も、購入から3年間は通信料金が車両代金に含まれており無料だが、4年目からはオーナーが更新するかどうかを選べる。つまり、更新すれば代金が発生するのでユーザーに金銭的な負担を強いることになる。

 その一方で、フォルクスワーゲンの方式ではクルマに接続しなければならないという手間は掛かるが、4年目からの料金が発生しない。金銭的な負担はない。どちらが好ましいかは現状では結論を出しにくいし、進化が速い分野なので、今後も変わっていくだろう。クルマのインターネットへの接続はまだ始まったばかりの機能の一つであり、ユーザーサービスである。

 まだ不慣れなユーザーも少なくないことを考えれば、「Car-Net」がそのメリットを手軽に享受できる点が良心的で高く評価できる。フォルクスワーゲンに興味がある人はぜひ試してみることを勧めるし、他メーカーでも同種のものを普及させるはずだから、これからクルマを買おうと考えている人には、インターネットへの接続は重要なチェックポイントとなるだろう。

■関連情報
http://www.volkswagen.co.jp/ja/service/carnet.html

文/金子浩久

モータリングライター。1961年東京生まれ。新車試乗にモーターショー、クルマ紀行にと地球狭しと駆け巡っている。取材モットーは“説明よりも解釈を”。最新刊に『ユーラシア横断1万5000キロ』。

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