コロナで増える地方不動産への関心 田舎の在宅勤務には注意点も

コロナで増える地方不動産への関心 田舎の在宅勤務には注意点も

茨城県鉾田市の「10万円物件」/(提供写真)

新型コロナウイルスの影響による人々の意識の変化が、住まいに表れつつあるという。にわかに増えているのが、不動産価格や賃料の安い地方への移住や都会以外に拠点を検討するケースだ。緊急事態宣言中に在宅勤務を行い、解除後も継続している人たちが、地方の激安物件を物色し始めているという。

 全国の空き家を取り扱う不動産会社リライト(横浜市)社長の田中裕治さんによると、少子高齢化により増加傾向にある空き家処分の依頼とともに、地方の空き家の内覧が増えているとのこと。

「新型コロナ以前は、弊社が取り扱っている『0円賃貸』などの超激安物件への問い合わせや内覧はたくさんありました。緊急事態宣言解除後に内覧を再開しましたが、ここにきて300万〜500万円台の物件の内覧が増えているほか、『キャンプができる土地を探している』『東京から車で3時間以内の場所に家を探している』『山を買いたい』という問い合わせが多数寄せられています。また、何年も買い手がつかなかった地方の土地が成約したのには驚きました」

 10万円で販売した茨城県鉾田市の一戸建て(築26年)の6月20日の内覧会には、さまざまな目的で購入を検討している人たちが集まったという。

「千葉県在住の40代の方は、普段は比較的都市部に自宅や職場があるため、週末の拠点として子供たちの海遊びや釣りができる場所を探しているとのことでした。ほかにも、自営業の方が空き家を生かしたビジネスや、物品制作の場として地元で雇用などを検討されている方も来られました」

 長野県長野市の300万円物件の内覧会には、神奈川、名古屋、兵庫とさまざまな場所から大勢訪れたという。

「その多くが在宅勤務で住む場所が制限されなくなったことで、環境のいい田舎への移住や、都会のほかに2拠点目として検討されている方が、思いのほかたくさんいました」

 仕事も在宅でこなせれば、ネット通販が発達しているので、地方での暮らしも以前ほど不便さは感じられないだろう。今後も激安物件は増えていく一方だが、こうした物件の場合、老朽化した設備の交換、残置物の撤去、木の伐採などに、別途費用がかかることが多いため、その点注意が必要だと田中さんは話す。

 多くの人が場所を問わず働けることで空き家の流動性が高まれば、新型コロナが日本の不動産市場に与える影響は悪いものばかりではなさそうだ。

(取材・文=伊藤洋次)

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