地方より都市部で深刻? 「買い物弱者」対策、待ったなし

地方より都市部で深刻? 「買い物弱者」対策、待ったなし

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食料品など日常の買い物が難しい「買い物弱者」が都市部で増えている。買い物弱者問題はすでに過疎地で表面化しているが、今後は高齢者人口が多く、地縁も薄い都市部でいっそう深刻化するとの見方は強まっている。

経済産業省の推計によれば、日本全国の買い物弱者は約700万人に上るといい、増加傾向にあるとされる。超高齢化が進展する中、歩くことが難しくなったり、車を運転できなくなったりする高齢者が増えていることに加え、郊外型の大型スーパーの増加などで、近距離の身近な商店街が衰退していることなどが要因だ。

地方ではドローンや自動運転車に期待が高まる

農村や山間部のような過疎地での買い物弱者はよく知られるが、2017年夏現在、「これからは都市部の問題こそ焦点になってくる」との声が増えている。流通問題に詳しい専門家によれば、都市部では高度経済成長期に続々と建てられた団地が多く、たくさんの高齢者が住んでいる。こうした団地やマンションなどの部屋は地方の家屋と比べれば非常に狭く、荷物を置ける倉庫やガレージもないのが一般的だ。このため、一度の買い物で多くの品物を買うことができず、何度も足を運ばなければならない。

さらに、都市部では車の交通量が多く、歩道も狭い場所が少なくないため、足腰の弱い高齢者が歩くこと自体、容易ではない。地方のように近隣との関係も希薄であるため、ちょっとした買い物などを頼める人もいないなど、支援をうけにくい環境にあることも大きい。

一方、地方では、買い物弱者対策として、ドローン(小型無人飛行機)のほか、ドライバーが運転操作をしなくても走行できる「自動運転車」への期待が高まっており、実際に実用化に向けた実験も始まっている。商品の宅配は買い物弱者にとって欠かせないが、人権費が高いため、配送料が高額となり、小売業などもなかなか使えないのが実情だ。ドローンや自動運転車が実用化されれば、こうした問題を解決できる可能性が高い。しかし、「住宅が密集し、交通量が多い都市部では、安全性の問題などから、ドローンや自動運転車を手軽に使うことも難しい」(前述の専門家)とも言われている。都市部での買い物弱者対策は簡単ではないということだ。

小売り各社が「宅配サービス」

ただ、さまざまな対策も進んでいる。「すかいらーく」をはじめ外食や小売り各社が「宅配サービス」を始めたり、イオンなどが一部地域で移動販売車を走らせたりしているのが一例だ。高齢者が多く住む地域で自治会などが市場を運営したりするケースも出ている。

しかし、いずれも「限定的な取り組みに過ぎず、根本的な買い物弱者対策とは言えない」と、専門家は指摘する。行政の真剣な取り組みはもちろん必要だが、小売りや外食各社が、今後は間違いなく中心顧客となるお年寄りの利便性を高めるため、本格的な対策に乗り出さなければいけない時期を迎えている。