アマゾンに対抗できるか セブン・アスクル連合の実力

アマゾンに対抗できるか セブン・アスクル連合の実力

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「(アスクルの)倉庫の火災がきっかけだった」。コンビニの雄・セブン&アイ・ホールディングス(HD)と事務用品通販大手のアスクルが2017年7月6日、発表した業務提携。東京都内での記者会見に登場したセブン&アイの井阪隆一社長は、提携に至った経緯をこう説明した。

業務提携により、両社はセブン&アイの通販サイト「オムニセブン」と、アスクルが運営する日用品の通販サイト「ロハコ」で互いの商品を取り扱うほか、生鮮食料品の宅配サービス「IYフレッシュ(仮称)」を共同で始める計画だという。

倉庫火災を機に業務提携の話が進んだ、との説明

きっかけになった倉庫火災が起きたのは2月16日。アスクルの埼玉県三芳町の物流倉庫が大規模火災に見舞われ、鎮火まで12日間も要した。約4万5000平方メートルを焼失するなど被害は深刻で、同社の2018年5月期の連結営業利益は前年同期比60.5%減の35億円に落ち込む見通しだ。

この火災後、セブン&アイの井阪社長が旧知の関係だったアスクルの岩田彰一郎社長にお見舞いを送り、岩田社長がそのお礼をかねてセブン&アイの本社を訪れた。その際、井阪社長が「できることがあれば何でもさせて」と伝えた。これが契機になって両者が会議を重ね、食材の宅配ビジネスで思惑が一致。今回の業務提携の話が進んだというのが記者会見の説明だった。

だが、その説明を額面通り受け取ることはできない。セブン&アイは2015年に鳴り物入りで「オムニセブン」を始めたが、売り上げは低迷している。もともと、鈴木敏文・前会長が力を入れ、鈴木氏の次男康弘氏(元取締役)が担当していた事業だ。将来的にネット通販大手の米アマゾンに対抗することを目指すも、伸び悩んでおり、鈴木前会長の退任後は抜本的なテコ入れが必要な状況に陥っている。アスクルのノウハウを取り込めることは、現在のセブン&アイにとって願ってもない話と言える。

生鮮食品を宅配する「アマゾンフレッシュ」

オムニセブンが足踏みする一方、アマゾンは次々と新たな領域に進出し、ビジネスを拡大している。日本法人アマゾン・ジャパンは17年4月から、生鮮食品を宅配する「アマゾンフレッシュ」を開始。米アマゾンは6月に米高級スーパーのホールフーズ・マーケットの買収を発表し、リアル店舗に進出する。

こうしたアマゾンの動きを意識しないわけはない。岩田社長は記者会見で、「世の中にアマゾンしかないのは生活者にとって快適ではない。別の選択肢を提供する」と語った。

拡大を続けるアマゾンに対抗するには、単独の力ではもはや難しい。「例えばアマゾンが生鮮食品への進出を打ち出したが、この分野ではスーパーを抱えるセブン&アイに一日の長があり、これをアスクルの配送網と結びつけるのは、かなり有望」(全国紙経済部デスク)との評もある。これに限らず、矢継ぎ早に新サービスを打ち出し、協業で早期に相乗効果を出せるかがカギを握る。