中国に空前の新エネ車ブーム 2020年に2000万台は本当か

中国に空前の新エネ車ブーム、2020年に2000万台は本当か レアアース王国が生産基地に

記事まとめ

  • 世界的な電気自動車ブームが高まるなか、中国も新エネルギー自動車振興政策を出した
  • 計画では、2020年に中国では年間200万台の新エネ車を生産・販売の予定
  • カン州で新エネ車の製造が集中するのは豊富なレアアースがあるからだという

中国に空前の新エネ車ブーム 2020年に2000万台は本当か

中国に空前の新エネ車ブーム 2020年に2000万台は本当か

中国に空前の新エネ車ブーム 2020年に2000万台は本当かの画像

世界的な電気自動車ブームが高まるなか、中国も乗り遅れまいと、新エネルギー自動車振興政策を出したりしている。各省も電気自動車の育成に励み、家電の後を追って電気自動車関連企業が雨後タケノコのごとく設立されている。

その中で、江西省南部の小さな町――カン州市は、今、新エネルギー自動車完成車の生産集積地になろうとしている。8つの大型新エネルギー自動車完成車プロジェクトが拠点を構え、その投資総額は475億元(約8000億円)に達し、うち投資額が60億元以下だったのは一件のみだった。カン州経済開発区には既に90以上の新エネ車および関連企業が進出し、中には大手企業、民営電気自動車企業があり、台湾の電気自動車ブランドもあった。

レアアース王国「江西省カン州」が生産基地に

計画では、2020年に中国では年間200万台の新エネ車を生産・販売の予定だが、既に多くの地方政府が一斉に新エネ車の生産に乗り出しており、週間新聞『経済観察報』は、2020年には中国の新エネ車の生産能力は2000万台を超えるだろうと見積もる。

ほとんどの中国人も知らないカン州で新エネ車の製造が集中する原因は、そこに豊富なレアアースがあるからだ。

「希土王国」(レアアースの王国)という異名を持つカン州には、電池生産に使う素材が豊富にある。鉛、ニッケルはもちろん、このごろ値段が高騰しているコバルトも非常に多く、ここに起業する電池メーカーは数多くある。それにともなって電気自動車メーカーもカン州に殺到した。

しかし、レアアースがなくても、浙江省の湖州・嘉興、安徽省の銅陵、江西省上饒、陝西省渭南、寧夏の銀川と霊武、甘粛省蘭州など、かつて自動車産業とは無縁で、従来の伝統的な自動車生産地の重鎮にひれ伏し、仰ぎ見ていた中西部都市は現在、カン州と同じように、ややもすれば数十億、数百億の新エネ車プロジェクトに拠点として選ばれる幸運の地となっている。

市場があればこれも強みの一つであろう。南京、杭州などの長江デルタ地帯や重慶は、豊かになった消費者が多数あり、ここも新エネ車を作っていこうとしている。またいままでの自動車生産基地である長春、武漢、北京、上海、広州も、このブームに乗り遅れまいと、今、急いで新エネ車の生産を始めようとしている。

企業の公開情報、各省・各主要都市発改委(発展改革委員会)のプロジェクト審査許認可公告に関する『経済観察報』の概算統計によると、2015年から2017年上半期にわたり、中国国内には202件の新エネルギー自動車完成車生産プロジェクトが実施され、関連投資金額は1兆262億元(約17兆円)、公開された生産能力計画は2124万台に達した。これは2020年までの計画とされていた新エネ車生産・販売目標200万台の10倍に相当する。2013年と2014年に実施したプロジェクトと合わせると、新エネ車完成車製造への投資は1.5兆元をはるかに超えるとも推定される。

化石燃料車の生産企業の新設を許可しない政策

また、『経済観察報』の統計によると、新エネ車投資は中国の各省・自治区・直轄市の全域にわたっている。135の都市で、新エネルギー自動車プロジェクトが誕生し、20の省に「新エネルギー自動車産業パーク」が建設され始め、10カ所近くの新興ランドマークの「自動車城(モーター・タウン)」が姿を現した。河南、安徽、陝西、四川、貴州、雲南省などの中西部省も、安い土地コストと地方政府の強力な企業招致政策により、「新エネルギー自動車産業パーク」の人気投資地区となった。

政策による奨励が兆単位投資の原動力だ。2016年10月、国務院常務会議は、「原則として従来の化石燃料自動車生産企業の新設を審査許可しない」と明確に指摘した。2016年12月、国務院は「『第13次5カ年計画(十三五)』国家戦略型新興産業発展企画」を正式に発表し、新エネルギー自動車の戦略的新興産業のポジションを再び明らかにした。現在まで、香港、マカオ、台湾地域を除く中国全土すべての省は、新エネ車産業促進の関連企画と補助措置を公表した。

自動車製造に対するインターネット、電気自動車部品メーカー、科学技術企業の強いバックアップの元、従来の自動車より、技術的な敷居の低い新エ車(最も中心となったのが電気自動車)投資は投資側と地方政府の双方に好ましいビジネスとなった。2015年の全中国新エネ車完成車投資プロジェクトは48件で、投資総額は2189.83億元だった。2016年には100件に上り、投資総額は5019.72億元に達した。2017年になると、公表された完成車プロジェクトが上半期だけでも50件を超え、投資総額も2700億元を上回り、新エネルギー自動車完成車生産能力は570万台を突破した。

過去30年間、中央政府部門が厳しく従来の自動車産業政策をコントロールしてきたのとは異なり、現在の新エネルギー自動車投資はかなり市場化されたもので、これが社会資本の大規模な自動車産業投資への参入にチャンスを提供した。2017年上半期において、地方政府と社会資本の協力による新エネルギー自動車産業基金はびっしりと隙間なく、全国各地に設立された。

多国籍の自働車部品企業も続々

中国の自動車製造ブームで、多くの自動車部品供給者が満面の笑みをたたえている。中でも最も喜んだのは大手多国籍部品メーカー、例えばドイツのボッシュ(Bosch)である。ボッシュの2016年度の中国販売額は915億元で、前年同期比19%のプラスとなった。2016年、中国市場はボッシュ全体の販売総額の17%に貢献し、最も重要な業績成長地となった。ボッシュの4大業務において、自動車及びスマート交通技術業務の中国における成長は、業績成長の主な駆動力となっている。

『経済観察報』6月の報道によれば、世界的に有名な20あまりの欧米系多国籍部品企業の中で、2016年に営業収入が下降したのはわずか5社だけで、大部分が増加傾向を見せ、その中国エリアの業績成長貢献度は非常に顕著であった。

もちろん、中国本土の自動車部品企業も利益を受けた。中国の上場企業において、上半期の業績を予告した上場会社のうち、自動車部品企業は最も目立った存在である。

20数年前には、中国各省ともテレビ、冷蔵庫などの家電生産ラインを導入して、省と省は熾烈な戦いを繰り広げ、ハイアール、ハイセンス、TCLなどに収斂していった。しかし、家電が落ち着いてから今度は各省とも電気自動車産業へ一斉に参入し、新しい乱戦の模様となっている。これが落ち着くまでまた二十年かかるだろうか。ちょうど2040年ごろ、世界では主な国がガソリン車に別れを告げて、電気自動車の時代に入るが、その時の中国電気自動車メーカーは何社まで残るだろうか。       (在北京ジャーナリスト 陳言)