相鉄・JR直通線、目玉は「新宿直結」にあらず? ダイヤから読み解く「真の野望」

相鉄・JR直通線、目玉は「新宿直結」にあらず? ダイヤから読み解く「真の野望」

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JR東日本と相模鉄道は2019年7月16日、相鉄・JR直通線のダイヤ概要を発表した。同線は11月30日に開業予定である。

神奈川県央部の相鉄沿線から横浜駅を経由せず、ダイレクトに東京都内へ直通する同線は、神奈川・東京の沿線エリアにどのような効果をもたらすだろうか。

データイムは1時間2〜3本

相鉄・JR直通線は相鉄西谷駅(横浜市保土ケ谷区)から、新規開業する羽沢横浜国大駅(同神奈川区)を経由し、JR線と接続する。相鉄・JR間を直通する列車は相鉄海老名駅〜JR新宿駅間の運転を基本とし、朝の一部列車はJR埼京線・大宮駅方面へ直通する。運行本数は1日46往復、朝通勤時間帯は1時間あたり4本、その他の時間帯は1時間あたり2〜3本の運行となった。

停車駅と所要時間をさらに見てみよう。JR区間(羽沢横浜国大以北)は全列車が各駅に停車し、相鉄線内は特急と各駅停車を運行、横浜方面と新宿方面の分岐駅になる西谷に新たに特急が停車する。所要時間は二俣川〜新宿を44分、大和〜渋谷を45分、海老名〜武蔵小杉を36分で結ぶ(いずれも最速)。

相鉄がアピールした所要時間の一つが「海老名〜新宿」ではなく「海老名〜武蔵小杉」なのは、いかなる狙いからだろうか。

「対新宿」にこだわらない相鉄

海老名〜新宿間は既に小田急小田原線が乗り換え無しで47分(昼間時快速急行利用)で結んでおり、所要時間では小田急優位なのは確実。海老名・大和から新宿という「点と点」の競合ではなく、相鉄沿線各駅から渋谷・大崎・恵比寿など東京南部へ乗り換え無しで移動できる点にメリットを見出す沿線ユーザーが多そうだ。

また相鉄・JR直通線は、JR武蔵小杉で横須賀線・湘南新宿ラインと合流する。武蔵小杉は特急「成田エクスプレス」も停車し、南武線・東急線と乗り換えできる川崎市内のジャンクションに発展している。同駅を通る横須賀線・湘南新宿ラインの増発や、同一ホームで横須賀線に乗り換えられることで品川・新橋・東京方面への利便性向上も期待される。相鉄いずみ野線列車の横浜行きと、相鉄本線からの新宿方面列車を二俣川で接続させるダイヤとなったのも、本線・いずみ野線双方から都心方面への需要を取り込む狙いがあるだろう。

乗り入れ車両はJRが埼京・川越線用のE233系、相鉄が12000系を使用する。実質的には相鉄とJR埼京・川越線の相互直通運転に近い形ながら、相鉄側からは原則新宿折り返しというダイヤになったのも、競合路線の存在や旅客の流動を考慮したものと考えられる。

相鉄としては新宿への直通ももちろんだが、それ以上に途中の武蔵小杉・渋谷などのターミナルへの直通性をもアピールしていくという姿勢だろう。

JR通勤型の特急も?

直通列車は相鉄線内では特急と各駅停車の2種別が運行予定とのことで、他社線とはいえ、JR通勤型のE233系が「特急」として走行する可能性が高い。通常、JRであれば特急列車は有料かつ専用の特急型車両が充当される中で、通勤型車両が特急として走行する例はない。鉄道マニア的な視点では、JR通勤型が「特急」の表示を掲出するシーンも、この新線開業の見どころとなるかもしれない。

また横須賀線・湘南新宿ラインが停車する新川崎駅には、この相鉄・JR直通線のホームはない。これは西谷からJR貨物線を経由した同線が、新川崎駅付近ではまだ貨物線を走行しているためで、それゆえ羽沢横浜国大の次が、武蔵小杉となっている。