日本企業は、中国市場での「活路」を見つけられたか 上海輸入博で見えた「売り込むべき」もの

日本企業は、中国市場での「活路」を見つけられたか 上海輸入博で見えた「売り込むべき」もの

日本企業は、中国市場での「活路」を見つけられたか 上海輸入博で見えた「売り込むべき」ものの画像

2019年11月10日まで上海で開かれた大規模見本市「国際輸入博」を取材した。

1回目だった昨年との際立った違いは、日本企業が先進的な医療機器や介護関係の製品を数多く出展していたことだった。今後、中国の高齢化の加速が確実な中、高齢化の「超先進国」である日本の各社は、中国市場での活路を見つけたようだ。

積極的だった医療、介護関連の出展

輸入博は中国政府の商務省などが主催。習近平国家主席自らが「世界貿易と経済成長、さらに開放型の世界経済づくりに寄与する」と提唱して、昨年始まった大イベントだ。米国を中心とした保護主義の拡大が懸念される中、世界第2位の経済大国としての「責任」を果たすことを国際的にアピールする場と言える。

今年は、155カ国・地域の約3900社が、「設備・機械」「食品」「健康」「サービス」などの分野に分かれて参加。来場者は延べ70万人と伝えられた。私が会場で取材した限りでは、国有企業や地方政府のほか、中国の中小企業、個人企業の経営者層も少なくなかった。会場ブースでは商談も活発に行われていた。

昨年の第1回では「模様眺め」の傾向が色濃かった日本企業は、今年、参加企業数も出展製品数も大幅に増加。中でも特徴的だったのが医療機器や介護製品の積極的な出展だった。

たとえば、日立製作所は「粒子線治療装置」を出展(本物はバスケットボールコートほどの大きさがあるため、大きな模型と参考写真の出展だったが)。この装置による放射線治療は患者の身体的負担が少ないというメリットがある。来場者は「粒子線とX線の違い」などを担当者に質問していた。日立(中国)有限公司の金森秀人総経理(社長)は、「安徽省徐州市の医療施設での導入が決まったほか、進めている商談が複数あります」と私に語った。

リコーが出展したのは「脳磁計測システム」だ。人の脳の神経細胞活動に伴って起こるほんのわずかな「脳磁場」を計る。微細なレベルで脳機能の状態をつかめるシステムで、認知症の診断や治療での活用も期待されている。山下良則社長は輸入博初日、「会期中の成約を見込んでいる。これからは中国の医療機器メーカーなどともっと緊密に協力していきます」と私に語った。

このほか富士フイルムが出展した医療者向けの「画像解析システム」にも注目が集まっていた。手術にあたる医師が、3?画像を通じて患部の様子や施術での留意点を把握できるシステムだ。

すでに1億7000万人が65歳以上

介護分野では、パナソニックの積極的な展示が目立った。ブースには「養老空間」という説明が掲げられ、たとえば、ベッドに車いすが組み込まれ、お年寄りなどが床を離れて車いすに移乗することをアシストする「離床アシストロボット」が展示されていた。「介護スタッフの持病が腰痛」と言われるのは、この「車いすへの移乗」介助の際に痛めるケースが多いという。こうした「アシストロボット」が介護現場に本格的に導入されることはスタッフにとっては大歓迎だろう。こういう製品の開発は、高齢化や介護先進国の日本ならでは。私はそう感じた。

「養老空間」ではこのほか、電動カートや入浴介助製品も展示されていた。やはり「スムーズな介護をしたり、お年寄りの外出をサポートしたりするためにどんな製品が必要か」という経験やきめ細かな工夫が生み出したものと見た。

中国の人口約14億人のうち、いま65歳以上が約1億7000万人。長年続いた「一人っ子政策」のほか、経済や生活水準の向上も高齢化傾向の一因となっており、いま約12%の高齢化率はこの先も右肩上がりで上昇していく。巨大な医療需要、そして介護ニーズがこの先膨らんでいくことは確実だ。

さらに政府の最近の発表では「要介護状態の人が4300万人」というが、実態はそれ以上存在するとみられている。そんな中国にこれから売り込んでいくべき製品が、日本企業にははっきり見えてきていると、「輸入博」会場で私は思った。

(在北京ジャーナリスト 陳言)