だから愛される! 沖縄ご当地バーガー「A&W」の歴史と人気の秘密を探る

だから愛される! 沖縄ご当地バーガー「A&W」の歴史と人気の秘密を探る

画像提供:マイナビニュース

●実は日本最古のファストフードレストラン! "エンダー"の2大看板はこれだ
沖縄県民から"エンダー"の呼び名で親しまれる「A&W」。正式名称は「エイアンドダブリュ」なのだが、基地で働くアメリカ人のネイティブな発音が「エンダー」と聞こえたことからそう呼ばれるようになったという(※諸説あり)。

沖縄1号店開業から50年以上の時を越えて今なお愛され、うちなーんちゅの胃袋をガッツリつかんだご当地バーガー。その魅力とは一体何なのか。まるで映画のセットのような店内で寛ぎながら、他では味わえないユニークな空間とメニューを紹介したい。

○古き良きアメリカの世界観が広がる空間

米国で生まれ、日本国内では唯一沖縄県だけしかないハンバーガーチェーン。実はこの「エンダー」こそが、国内最古のファストフードレストランという事実をご存知だろうか?もちろん、当時の沖縄県はアメリカの施政下に置かれていたので正式には日本ではないものの、歴史的にみて国内最古のファストフードレストランというのは差し支えないだろう。

今回お邪魔したのは、昭和44(1969)年にオープンしたA&W2号店の牧港(まきみなと)店。広大な敷地に総客席数84席、パーキングスペース105台(ドライブインエリア53台を含む)を備える同店は、A&Wの中でもぜひ訪れてほしい場所だ。お子様連れにうれしい遊具エリアや、車に乗ったまま注文して食事ができるドライブインエリアがあり、創業当時の面影をそのまま残している。

当初は訪れる人の全てが基地で働くアメリカ人であったといい、アメリカ本土と変わらないハンバーガーやドリンクメニュー、そしてなじみの深いドライブインスタイルが人々の心を和ませたという。今もその雰囲気は変わらず、時間帯や店舗によっては客の大半をアメリカ人が占めることもあるそうなので、運よくその場に居合わせた人は海外旅行気分を味わえるかもしれない。

○エンダーに来たら外せない2大看板メニュー

A&Wのフードはハンバーガーの他、サンドウィッチやホットドッグ、ご飯もののベントーミールなど幅広いメニューがそろっているため、初めて訪れた人は選ぶのに迷ってしまうかもしれない。そこでまず抑えてほしいのが、一番人気の「モッツァバーガー」(税込490円)だ。

ビーフ100%のジューシーなパティにベーコン、シャキシャキのレタスと2枚のトマトスライスをサンド。クリーミーな特製モッツァソースがたっぷりとかかり、肉と野菜のおいしさを引き立てている。さらに、自社工場で毎日焼き上げられる柔らかめのバンズもまた、多くの具材を邪魔しない仕事ぶりがさりげない。

「若者の食べ物」と思われがちなハンバーガーショップだが、エンダーの雰囲気は少し違う。店内を見渡すと地元の学生やサラリーマン、ご近所のマダムまで、みんながリラックスした表情を浮かべて、ボリュームたっぷりなバンズを頬張っている姿が印象的だ。アメリカ統治下の沖縄は貧しく、欧米式のレストランや料理の数々を誰もが憧れをもって眺めていたそうで、当時の憧れを今も記憶に残す高齢者のゲストが多いのも頷(うなず)ける。

さらに、ハンバーガーと相性抜群の「ルートビア」はA&Wを代表するもうひとつのメニュー。名前といい、見た目といいアルコール飲料のようなドリンクだが、一口飲めばきっと驚くはず。「コーラよりもパンチがある」「湿布のような味」など、飲んだ人の感想は人それぞれ。正直、味の好みは分かれるものの、どちらにせよ「忘れられない味」という表現は間違っていないだろう。

個性的な味わいは、病気の友人のために考案したヘルシードリンクから派生しており、約14種類のハーブを使ったレシピは販売開始から今に至るまで変わっていない。「ルートビア」という名称ながらアルコールは含まれておらず、禁酒法時代のアメリカでは爆発的な人気を博した。

そんな伝説を持つルートビア、店内では好きなだけおかわりできるのがうれしい。カウンターで店員に注いでもらうこともできるが、ルートビアサーバーが設置された店舗ではぜひセルフで注いでみよう。上手に注ぐコツは、ビールサーバーのようにグラスを傾けながら徐々に注ぐこと。クリーミーな泡になり、黒ビールのようなビジュアルになってくれる。

イートインはもちろんのこと、同店は現役のドライブインレストランとしても活躍している。ドライブインと言えば、本州などでは車で気軽に立ち入れる店舗というイメージだが、A&Wのドライブインはアメリカのそれと同じく、乗車したままの状態で注文から食事までを楽しめるのだ。

●ドライブインでさらにアメリカン気分! 本州進出の構想は!?
○ドライブインレストランとして利用するのも楽しい

イメージしにくいと思うので、まずは実際にドライブインで注文してみよう。ドライブインエリアに車を停車させ、メニュー下にあるボタンを押して待つこと数秒、「いらっしゃいませ! 」の明るい声が飛び出した。ドライブインでもイートインと変わらず全メニュー注文OK。マイク越しにオーダーを聞かれたら、好みの料理を注文しよう。

オーダー完了後、しばらくすると店舗から店員さんが商品を持って登場。お釣りの用意もされているので、その場で商品と引き換えに支払いを済ませればOK。ただし、5,000円札や1万円札といった高額紙幣を使う場合は、オーダー時に伝えておくとスマートだ。使用される高額紙幣に見合ったお釣りを用意してくれる。

さて、ここまでの説明で「ただのドライブスルーでは? 」なんて思った方もいるかもしれない。しかし、ドライブインレストランの真骨頂はここから!ドライブスルーの場合は、後続の車がいるために商品受け取り後は慌ただしく車を発進させることになるが、ドライブインレストランはそこから移動することなく食事を楽しめるのだ。誰にも邪魔されずにのんびりと、食後はリクライニングを倒してひと休みすることだってできる。

つまり、自家用車がそのままレストラン代わりになるということで、車社会であるアメリカの文化をそのまま沖縄に持ち込んだ結果が今に至っている。オープン当初もまた、上の写真のように車を停め、車内でお気に入りのカーステレオでも流しながらハンバーガーを食べていたのかもしれない。

今でもドライブインを利用する人は多く、ノーメイクで休日を満喫する女性やお風呂上がりのパジャマ姿で訪れる男性など、一人で気兼ねなくハンバーガーを頬張りたい時には特に有効。もちろん、単にお店に入るのが面倒、暑いので車から出たくない、というものぐさにもピッタリ。沖縄をドライブする時はぜひ一度体験してみてはいかがだろうか。

○沖縄でしか味わえない特別なハンバーガー

おしゃれでどこか懐かしさを感じる、オールドアメリカの世界に浸れるA&W。アメリカで生まれ、沖縄で育ったハンバーガーは、これからも地元に根差したおいしさを追求していくのだろう。

「それでもエンダーの空気感を持ち帰りたい! 」という人は、店内で販売されるオリジナルグッズをチェック。おなじみのロゴマーク入りのTシャツや、マスコットキャラクターのルーティのイラストがかわいいカレンダーなど、バラエティ豊富なアイテムがそろっている。沖縄のビーチに欠かせない島ぞうりもエンダー仕様。定期的にいろいろなグッズを製作しているので毎回訪れるたびに少しずつ集めるのも面白い。

沖縄のまぶしい太陽の下、レンタカーを走らせておなかがすいたらオレンジ色のロゴを探す。何気ない顔をしながら、「エンダー寄ってく? 」なんて言えば、あなたも立派なうちなーんちゅになれるかも!?

●information
A&W 牧港店
住所: 沖縄県浦添市牧港4-9-1
営業時間: 24時間
定休日: なし

※県内26店の内、ドライブインが設置された店舗は名護店・泡瀬店・美浜店・屋宜原店・牧港店の5店舗のみとなるのでご注意を!

○筆者プロフィール: 阿久津彩子
東京都出身、沖縄在住。沖縄の編集プロダクション「WORD WORKS OKINAWA」の運営&ライターを務める。沖縄の島野菜と果物の力強さに驚き、週末はファーマーズマーケット巡りにいそしむ。入手した野菜は同量のお肉と一緒に食すのが基本だが、過剰摂取なのか全くやせない。旬の味覚を存分に楽しめるおいしいお店から、本当は秘密にしたいオススメの穴場スポットまで、沖縄の最新情報を幅広くご紹介します。
(阿久津彩子)

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