涼を求めて棒ノ嶺で日帰り登山! 沢登りで滝を越え、花の群生の先に絶景を

涼を求めて棒ノ嶺で日帰り登山! 沢登りで滝を越え、花の群生の先に絶景を

画像提供:マイナビニュース

●マイナスイオンたっぷりの沢登りで登山の醍醐味を再確認
次第に暑さも増してきた今、涼をとりながらの登山は魅力的なもの。そして、梅雨ならではの景観を楽しみつつ、東京から日帰り登山を望むのであれば、埼玉県飯能市と東京都西多摩郡奥多摩町との境にある、標高969mの棒ノ嶺(棒ノ折山)はぴったりな場所だろう。思い立ったが吉日。準備を整えて、いざ飯能駅へ!

○観光拠点化が進む飯能駅

西武鉄道池袋線・飯能駅へは、池袋駅から約50分。この飯能駅からバスで約15分のところにある宮沢湖周辺に、2018年秋に北欧のライフスタイルを体験できる「メッツァビレッジ」が、2019年春にムーミンの物語を主題とした「ムーミンバレーパーク」が、それぞれ開業する予定となっている。西武鉄道はこれらの施設にあわせて、2019年3月竣工を目指し、飯能駅の内装のリニューアルを計画している。これからこの駅・この街が、どのように変わっていくのか楽しみだ。

そんな飯能駅から棒ノ嶺を目指すなら、国際興業バスに揺られて約45分、さわらびの湯で下車をしよう。国際興業バスでは現在、飯能市を舞台にしたアニメ『ヤマノススメ』のキャラクターを描いたラッピングバスを運行しており、利用した便はちょうどそのラッピングバスだったよう。車内はアニメ原画のほかキャラクターの車内放送もあり、特別な時間が楽しめる。

さわらびの湯というバス停名の通り、歩いて2〜3分先には日帰り天然温泉「さわらびの湯」が待ち構えている。帰りにこの温泉に立ち寄ることも踏まえて、登山計画をしておくといいだろう。棒ノ嶺の登山口へはバス停から約15分歩くことになる。なお、道中にはトイレがないように思われたので、バス停に到着したらここでトイレを済ませておきたい。

登山口に向かう間には名栗湖をせき止める有間ダムがあり、このダムの上を渡って登山道を目指す。散歩にでも来ていたのだろうか。ダムの側には小さな子どもを連れた家族の姿もあり、壮大な湖を前にして、すでに癒された気持ちになってしまった。しかし、登山はこれからだ。

○沢に待ち受ける圧巻の「ゴルジュ」

棒ノ嶺登山は、関東地方1都6県(東京都、埼玉県、群馬県、栃木県、茨城県、千葉県、神奈川県)をめぐる長距離自然歩道「関東ふれあい道」の中で、埼玉県が「水源のみち」と定めたコースの一区間となる。「水源のみち」そのものは健脚向きとされているが、棒ノ嶺山頂は登山口から3.3kmのコースであり、登山初心者でも比較的気楽に挑むことができる。実際、年配の方の姿も多く見かけた。ただし、道中にはごつごつした岩場や狭い急斜も多い。備えは万端にしておきたい。

大体の目安として、登りは休憩時間も踏まえて2時間半〜3時間程度、下りは2時間〜2時間半程度となる。土曜日に実施した今回の登山は、8:30飯能駅発のバスに乗り、さわらびの湯のバス停に9:11に到着。トイレ休憩を経て、10:00に白谷沢登山口から棒ノ嶺登山を開始。13:00に頂上でランチ休憩をして、13:45に下山を開始し、16:00にさわらびの湯に到着。温泉で疲れを癒やし、16:59さわらびの湯発のバスに乗り、17:44に飯能駅に戻るスケジュールをくんだ。

白谷沢登山口からしばらくは、道の片端が崖のように切り落ちた林道を歩く。登りっぱなしの道ではなく、適度に平地や下りもあるため、身体を慣らしながらゆっくり進むといいだろう。崖の底には川が見えたのだが、この川は名栗湖につながっているのだろうか。

林道から大きな岩がゴロゴロある道に変わる。その岩を避けるように、木の根がウネウネと張り巡らされており、山の奥に向かっていることを実感した。崖の下に見ていたはずの川が、次第に近づいてきたならば、ここからしばし沢登りとなる。

緑々と茂る木々からの木漏れ日が、大きな岩に色を添える苔が、絶えることなく水を通す滝が、登山に涼をもたらしてくれる。水は想像通り冷たく、何度も立ち止まっては小休止をしたくなってしまう。実際、この沢で休憩をしている人たちも多いのだが、先を行く人たちの邪魔にならないよう、休憩場所をとるようにしよう。

途中、高く立ちはだかった岩壁に遭遇する。この細い谷筋は「ゴルジュ」と呼ばれており、変化に富んだ道ゆえに、「どの岩を使って登ろうか」などと考えるのもちょっと楽しい。うっすらと汗を感じながらも、絶え間なく続く水の音で、疲れも暑さも引いていく。なお、冬季の凍結時はこの沢ルートは閉鎖となる。岩場によっては滑りやすいところもあり、特に大雨の後は安全に配慮するようにしよう。

沢登りの終盤には、鎖状の手すりを備えた急な岩場がある。棒ノ嶺登山の中で一番の頑張りどころと言えばここだろう。急がず一歩ずつ、着実に登っていこう。また道中、「マムシに注意」という看板も見かけた。マムシは登山道から一歩外れた、茂みや川辺などで遭遇する場合がある。登山道を外れたところを行く場合は、くれぐれも注意したい。

沢登りが終わったあたりがちょうど山の中腹。途中、休憩ができるように椅子が設けられているところもあるので、このあたりで休憩するのもいいだろう。

○今だけの可憐な花に思わず見とれる

再び道は林道となり、急な坂道も登場する。丸太の階段が設置された場所もあるので、自分にとって登りやすいコースをとるようにしよう。

登山口から2.2kmのところの尾根の分岐点には、「岩茸石」がそびえ立っている。正面から見ると絶壁感がすごいのだが、裏に回るとちょうどいい具合に足場にある岩があり、岩の上で記念撮影、ということも可能だ。

ここから頂上までは後1.1km。0.6km先には「ゴンジリ峠」が待ち受けているのだが、それまでの0.5kmの道、この梅雨の季節にあえて命名するのであれば、"コアジサイの隠れ里"とでも言ってみたい。地上で見知ったアジサイの花よりも随分繊細な小さな白い花で、場所によってはうっすらと青みや赤みを帯びていた。初めはポツポツと咲いていたのだが、さらに登ると群生した場所に行き当たる。思わぬ出会いに、テンションが上がる。

コアジサイを越えた先は、丸太の階段が続く。前の文で、「鎖状の手すりを備えた急な岩場」が一番の頑張りどころと言ったが、長く続く道という意味では、この丸太の階段の方がきついと感じる人もいるだろう。丸太の間隔は思いのほか広く、ちょっとリズムをとるのが難しいように感じた。またこの時、部分的に崩壊している階段もあったので、階段の横の坂を登った方が歩きやすかったのかもしれない。

丸太の階段を登りきると、視界が開けた平地が現れる。後ろから「頂上かしら」という声も聞こえてきたが、ここはまだゴンジリ峠。とは言え、ふと周囲を見てみると、木々の向こうに山々を見渡せる展望が広がっているのが分かる。

頂上まで後500m。山頂からはどんな風景が楽しめるのか、また、下りに選んだ滝ノ平尾根コースの様子も合わせて紹介しよう。

●下山は杉林を越えて--登山の疲れは天然温泉で即癒やす
○絶景ランチ、帰路は岩茸石の背後を行く

急な坂を越えて、山頂に到着。山頂は広く、ベンチやテーブルも設けられている。心地よい風に吹かれながら周囲を見渡すと、眼下に広がるのは広大な関東平野の絶景だ。そんな眺望を楽しみながらのランチで、道中の疲れも一気に吹き飛ぶ。

しっかり身体を休めて下山を開始。このまま来た道を下るでもいいのだが、今回はちょっと違う道を通ってみたい。岩茸石のところまで下ったら、「河又バス停」と記された、岩茸石の後ろに広がる滝ノ平尾根コースへ。登りに通った沢とは異なり、こちらのコースはひたすら杉林を抜けていく。途中、側にはロープが張られた急な坂もある。白谷沢登山口からの道よりも人は少ないので、最後まで自分のペースで進むことができた。

山を下っていると、何かが音をたてながら空を飛んでいることに気が付いた。さらに先に進むと、関係者以外立ち入り禁止と書かれた看板の奥に高台があり、その高台からラジコン飛行機を操縦している人の姿が。聞けば、10年以上前からここで飛行機を飛ばしているとのこと。「動力はないけれど、うまく風にのればプロベラ機よりスピードが出る。これはただの趣味だよ」と笑顔。こんなところで空を飛べたら、きっと飛行機も"飛行機冥利"に尽きるだろう。

○手ぶらもOKな温泉で早速ご褒美も

登山の後は予定通り、さわらびの湯に向かう。登山口から歩いていける距離にあり、入り口の側には冷水に浸ったラムネも待ち構えていた。入浴は大人ひとり800円。木の温もりを感じる館内、登山姿の人でにぎわっていた。2階建ての館内には温泉のほか、くつろぎスペースとして大広間やホールがあり、お土産コーナーも充実している。定期的に放送でバスの案内もしてくれるので、時間が許す限り、ここでゆったりするといいだろう。

シャンプー・ボディーソープは備え付けられており、バスタオルやメイク落とし、化粧水のほか、Tシャツや下着なども販売している。湯の泉質はアルカリ性単純泉で、湧出量は20L/分。男女ともに露天風呂が設けられている。すぐ側に山を感じながら天然温泉に浸かっていると、なんともぜいたくな気持ちになってくる。売店ではビールなどもお酒も販売しているので、登山を頑張った身体にご褒美というのもありだ。

またもと来たバス停から飯能駅へ向かう。行きも帰りもバスの中は混雑していたので、確実に座りたい人は早めに並んでバスを待つことをオススメする。棒ノ嶺登山の道中、子どもから年配の方まで幅広い年齢層の人を見かけたが、実際に登山をしたところ、登山口までの所要時間や登山路の様子・距離ともに、気軽に登山を楽しんでみたいという人のニーズにもマッチするように感じられた。特に6〜7月はコアジサイも楽しめるので、ぜひ今だけの風景も堪能していただきたい。
(松永早弥香)

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