2016年の新設法人、不動産業は6.1%増加も 不動産代理・仲介業者の倒産は2割増で淘汰の動き

 全体の新設法人の増加ペースが鈍る中、不動産業は新設法人の増加率が高かった。しかし、競争激化により中小規模業者の倒産も増えている。

 東京商工リサーチは5月19日、「2016年 全国新設法人動向調査」の結果を発表した。調査は同社が保有する企業データベースから、2016年1月から12月の間に新しく設立された新設法人を抽出して分析したもの。

 2016年の新設法人は12万7,829社で、2010年から7年連続で前年を上回った。一方、2016年の増加率は2.1%増で前年を2.4ポイント下回り、リーマン・ショック後では前年比マイナスになった2009年を除いて最も低い伸び率となった。

 産業別にみると、10産業のうち7つの産業が前年より増加した。増加率トップは「建設業」の前年比9.2%増で、以下、「農・林・漁・鉱業」の同8.4%増、「不動産業」の同6.1%増、「製造業」の同6.1%増、「情報通信業」の同1.9%増、「運輸業」の同0.9%増、「サービス業他」の同0.4%増が続いた。一方、前年を下回ったのは「金融・保険業」の同8.2%減、「小売業」の同2.5%減、「卸売業」の同0.5%減だった。不動産業については新設法人が増加しているが、倒産も増加傾向にあるようだ。

 帝国データバンクは2016年度(2016年4月〜2017年3月)の不動産代理・仲介業者の倒産状況を集計・分析し、「不動産代理・仲介業者の倒産動向調査結果(2016年度)」を発表した。

 それによると、2016年度の不動産代理・仲介業者の負債1,000万円以上の倒産は93件発生し、前年の75件を上回って3年ぶりに増加した。2000年度以降の件数をみると、最も少なかったのが2000年度の36件で、最も多かったのが2013年度の106件だった。全業種の倒産件数がリーマン・ショック以降8年連続で減少する中、不動産代理・仲介業者の倒産はリーマン・ショック後も高止まりの状況が続いている。

 負債額別にみると、「5,000万円未満」の小規模倒産が68件で、全体の73.1%を占めた。以下、「5,000万円以上1億円未満」の12件(構成比12.9%)、「1億円以上5億円未満」の10件(同10.8%)が続いた。小規模倒産が多い背景について同社は、大手仲介業者によるネット検索が可能になり、地域の不動産業者の情報優位性が低下したほか、低価格の仲介手数料を売りにする事業者により、小規模事業者の収益性が悪化している可能性があると指摘している。

 日銀による量的緩和の継続で不動産業に追い風が吹く中、不動産業に参入する業者が増えている。一方で競争の激化により経営環境が厳しくなった事業者も少なくないようだ。