法律改正後も、中古住宅のインスペクション(建物検査)は流通戸数の8%にとどまる

法律改正後も、中古住宅のインスペクション(建物検査)は流通戸数の8%にとどまる

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 中古住宅における既存住宅状況調査(インスペクション)の実施件数が前年比2倍に増加したが、今後の利用意向を持つ人は少数にとどまっているようだ。

 宅地建物取引業法の一部を改正する法律が施行され、平成30年4月1日から既存住宅状況調査(インスペクション)の結果が、中古住宅の取引における重要事項説明の対象となった。インスペクションとは「調査・検査・査察」などの意味を持つ英単語で、不動産取引では「住宅の設計・施工に詳しい建築士などの専門家が、住宅の不具合の状況について調査を実施し、欠陥の有無や補修すべき箇所などを客観的に検査すること」とされている。

 国土交通省は、宅地建物取引業法に基づくインスペクションの制度施行から半年が経過したことを受け、既存住宅状況調査技術者が所属する事業所を対象に「既存住宅状況調査技術者アンケート調査」を実施した。調査期間は平成30年10月25日から11月16日で、調査対象事業所3,513件、調査対象技術者5,441名から有効回答を得た。

 平成30年4月から9月までの半年間で、アンケートに回答した技術者が実施したインスペクションの件数は前年度比約2倍の5,932件に達し、中古住宅の流通戸数の8%程度と推計された。他方、事業所別にインスペクション実施件数の増減を聞くと「実施なし」が81.1%で大半を占め、「増加」は13.4%にとどまり、「減少」が4.4%、「横ばい」が1.1%となった。

 そこで、平成30年にインスペクションの実施件数が0件だった事業所(N=2,849件)を対象にインスペクションを実施しない理由を複数選択で聞くと、「建物状況調査の依頼が見込めない」が59.0%で最も多く、「業務の具体的な実施方法が不明」(23.1%)と「採算に合わない・売り上げに貢献しない」(21.8%)が続いた。また、すべての事業所にインスペクションを実施する上での課題を同様に聞くと、「制度がまだ認知されていない」が76.7%で最も多く、「宅建業者が消極的」(33.2%)と「売主・買主が消極的」(29.4%)が続いた。

 一方、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)と公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)は、国内に居住する20歳以上の男女2,400名を対象にアンケート調査を実施し、その結果を3月に公表した。調査期間は1月24日から28日。

 中古住宅の売買で注目されるインスペクションによって、どのような効果があると思うか聞くと、「安心して住み続けるための診断ができる」が33.7%で最も多く、「リフォームの必要性や、規模を確認することができる」(24.5%)と「安心して売買ができる」(23.0%)が続いた。

 今後インスペクションを利用する可能性について聞くと「まだ分からない」が61.3%で大半を占め、「是非したい」は10.3%にとどまり、「利用しない」の28.4%も下回った。

 中古住宅の購入にあたってインスペクションによる効果はある程度認知されているものの、今後の利用にあたってはまだ慎重な姿勢な人が多いようだ。

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