これから注目のテクノロジーは? 「5G」から「説明可能なAI」まで

これから注目のテクノロジーは? 「5G」から「説明可能なAI」まで

先進テクノロジのハイプ・サイクル:2019年

 ガートナーは8月30日に「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2019年」を発表した。

■ガートナーが「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2019年」発表

 ガートナーが発表した「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2019年」2,000を超えるテクノロジを分析した上で知見を抽出したもので、29の先進テクノロジと5つのトレンドをまとめている。

 このハイプ・サイクルでは特に、今後5〜10年にわたり、高度な競争優位性をもたらす可能性が高い一連のテクノロジに注目している。2019年版では方針を見直し、過去の同ハイプ・サイクルでは取り上げていなかった最新テクノロジを紹介することに注力。このため、2018年版に掲載されたテクノロジのほとんどが2019年版では除外されているが、そうしたテクノロジが引き続き重要であることに変わりはないとしている。

 このハイプ・サイクルでは「『過度な期待』のピーク期」において、グラフの頂点にあるのは「5G」「バイオチップ」があり、主流の採用までに要数年数は5Gが2〜5年、バイオチップが5〜10年とされている。その他に、この期間にマッピングされている技術は、「AI PaaS」「エッジ・アナリティクス」「自律走行(レベル5)」「低軌道衛星システム」「エッジAI」「説明可能なAI」「パーソニフィケーション」がある。

先進テクノロジのハイプ・サイクル:2019年

■「説明可能なAI」とは?

 このうち、「説明可能なAI」とはなんだろうか。この技術の開発に取り組む富士通の2017年9月のプレスリリースを見てみよう。

 人間の神経回路網をモデルとしたディープラーニングは、高い認識・分類性能が得られる一方で、なぜその答えが出てきたのかを専門家や開発者自身が説明できない。そのため「ブラックボックス型のAI」と呼ばれている。このような性質は、AIを使った専門家の判断に関して説明責任が問われるミッションクリティカルな領域への適用の妨げになると懸念されている。

 富士通研究所では、ディープラーニングをベースとした、複雑な事象も記述できるグラフ構造のデータを学習する独自のAI技術「Deep Tensor」を開発し、セキュリティ分野などで高い推定精度を達成。その他にも、自然言語処理技術やWeb上のデータを知識ベース化するLOD(LOD:Linked Open Data)技術の開発に取り組んできた。

 同社はこれらの技術を体系化し、データの意味や周辺知識を機械的に扱えるグラフ構造の知識ベースである「ナレッジグラフ」を構築。ナレッジグラフとは、意味付けされたグラフ構造の知識ベースで、さまざまな情報源から収集した情報を意味を表す関係性でつなぎ合わせたものを指す。

 富士通が開発したのは、Deep Tensorと外部データから構築したナレッジグラフを関連付けることで、Deep Tensorの推定理由や根拠を提示する技術だ。同社はゲノム医療における専門家の調査作業の効率化を想定した模擬実験として、生物情報学分野における公開データベースや医療文献データベースを用いた学習データとナレッジグラフを利用して、関係性が部分的にしか知られていないような事象に関して、裏付けとなる根拠を探し出し、ひもづけ可能であることの検証を行った。その結果、学術的な裏付けとなる根拠と、疾患の候補を同時に見ることができたという。

■5つの先進トレンド

 ガートナーは今回のレポートで以下の5つの先進テクノロジ・トレンドを取り上げている。

●センシングとモビリティ
 センシング・テクノロジは、IoT (モノのインターネット) の中核を担うコンポーネントのひとつで、膨大な量のデータを収集する。インテリジェンスを活用することで、さまざまな知見を獲得する能力が実現し、多くのシナリオにこうした知見を適用できる。たとえば今後10年間で、AR (拡張現実) クラウドは世界の3Dマップを生成することになるだろう。

センシング/モビリティ機能の活用を目指す企業は、3Dセンシング・カメラ、ARクラウド、軽貨物配送ドローン、自律型航空機/空飛ぶ車、自律走行 (レベル4/5) を検討すべきだとしている。

●オーグメンテッド・ヒューマン(Augmented Human)
 Augumented Humanは、AR(拡張現実)と同様に、拡張された人間を意味する言葉。認識能力/身体能力を向上させる機能の開発を可能にし、人間の身体に不可欠な要素となる。具体例としては、バイオチップ、パーソニフィケーション、拡張インテリジェンス、感情AI、イマーシブ・ワークスペース、バイオテクノロジ:培養組織や人工組織が挙げられる。

●ポストクラシカルなコンピューティングとコミュニケーション
 数十年にわたって、コンピューティング、コミュニケーション、インテグレーションの古典的なコア・テクノロジは、従来型アーキテクチャの改良 (ムーアの法則で予測された、CPUの高速化、メモリの高密度化、スループットの増大) によって進化してきたが、次世代テクノロジでは、まったく新しいアーキテクチャが採用される。

 企業が評価すべきテクノロジは、5G、次世代メモリ、低軌道衛星システム、ナノスケール3Dプリンティング。このうち、低軌道衛星システムは低遅延のインターネット接続を全世界に提供可能に、低軌道の小型衛星コンステレーションは、現在インターネットに接続されていない住居の48%が接続可能にする。これによって、インターネット接続が提供されていない国や地域に経済成長の機会をもたらす。

●デジタル・エコシステム
 デジタル・エコシステムは、デジタル・プラットフォームを共有する行為者 (企業、人、モノ) で構成される、互いに依存するグループを活用して相互に有益な目的を達成する。検討すべき重要なテクノロジの例としては、DigitalOps、ナレッジ・グラフ、合成データ、非中央集権型Web、非中央集権型自律組織が挙げられる。

●高度なAI/アナリティクス

 高度なアナリティクスは、洗練された手法とツールを使ってデータやコンテンツを自律的または半自律的に検証する機能を備えており、従来のビジネス・インテリジェンス (BI) よりも一般に優れている。注目すべきテクノロジの例としては、アダプティブな機械学習、エッジAI、エッジ・アナリティクス、説明可能なAI、AI PaaS (サービスとしてのAIプラットフォーム)、転移学習、敵対的生成ネットワーク、グラフ分析が挙げられる。

関連記事(外部サイト)