翻訳家・湯川れい子氏インタビュー “ラップ英語にトライしたい”

翻訳家・湯川れい子氏インタビュー “ラップ英語にトライしたい”

翻訳家・湯川れい子氏にインタビュー。第一線で輝き続ける彼女の新たな目標とは?

 アメリカ音楽に魅了されて音楽評論家となり、その後、ディズニーのアニメーション映画『美女と野獣』『アラジン』などの訳詞を手掛けるなど、英語のスペシャリストである湯川れい子氏。現在も、ミュージカルの訳詞を担当して第一線で輝き続ける彼女の新たな目標とは?

――評論家、作詞家、翻訳家など音楽のフィールドで幅広くご活躍されていますが、最近、特に印象深かったお仕事は何ですか?

湯川:ブロードウェイのミュージカル『ビューティフル』(7月26日(水)〜8月26日(土)帝国劇場)の日本公演の楽曲の訳詞ですね。これは、キャロル・キングの半生を描いた作品ですが。今、60年代から70年代のキャロル・キングの歌を聴いてきた人はそうはいませんよね。私は歌詞も一緒に歌えるぐらいに頭に入っていますし、お話をいただいた時、「これはもう、私にしかできない!」と引き受けさせていただきました。ところが、ふたを開けてみたら、まあ難しいこと! 例えば、声は音楽に乗っていても、歌詞自体を「あなたはぁ〜〜〜」と歌い伸ばしているだけだと「わぁ!日本語にしたら歌にならない……」となります。また、言葉の解釈も難しくて「you are so beautiful」を日本語にすると、キレイか可愛いかになりますが、英語だと「素敵ね」「よくやったわね」「すごいじゃない!」などと使い方の幅も広い。どう読み取るかに、大変苦労しました。

――ミュージカルの訳詞! 奥が深そうです。

湯川:訳詞は、原曲を日本語にしたあと、再び日本語の内容を英語に訳してアメリカに送り、チェックしてもらいます。その結果、「ここは日本語にせず、原曲の英語詞を生かします」といった流れにもなることも。もがき苦しみましたが、とてもいい勉強になりました。

――今後、新たに取り組んでいきたいことはありますか?

湯川:ラップの聴き取りでしょうか。

――ええ! ラップですか!?

湯川:ラップで使われる言葉は、私の知っている英語とは異なるので、まったく歌詞が聴き取れないんです。ギャングスタ・ラップなんて、「分かったら本当に面白いだろうな」と思いますね。ミュージック・ビデオを見ても訳も出てこないし、時間ができたらネット・サーフィンでも何でもして、「全部聴き取れるようになってやるぞ!」と考えています(笑)。

――50年以上の実績を積まれても、まだまだ言葉への興味が尽きないのですね。

湯川:そうよね。だって言葉は生き物でしょう?その時代の空気を吸い、生きていますから、面白そうだなあと思ったら、時間がある限り「知る」挑戦をしたいですね。50年を過ぎても、まだまだ発見の日々ですよ!

【プロフィール】
■湯川れい子
1960年、ジャズ評論家としてデビュー。早くからエルヴィス・プレスリーやビートルズを日本に広めるなど、独自の視点によるポップスの評論・解説を手がけ、音楽評論家として活躍。ディズニーのアニメーション映画『美女と野獣』『アラジン』などの訳詞も手掛ける。また、作詞家としては『ランナウェイ』『六本木心中』『恋におちて』などが大ヒット。最近は、世界的な人気を誇るアメリカの歌手、キャロル・キングの半生を描き、ブロードウェイで人気を博したミュージカル『ビューティフル』の訳詞を担当。主演のキャロル役は、水樹奈々と平原綾香がダブルキャストで務める。7月26日(水)〜8月26日(土)に帝国劇場で上演。

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