シトロエンから独立した高級ブランド『DS』の新世代SUV「DS7 CROSSBACK」の実力は?

シトロエンから独立した高級ブランド『DS』の新世代SUV「DS7 CROSSBACK」の実力は?

DSオートモービルズから送り出されたDS7 CROSS BACK Grand Chic

DSオートモービルズというブランドをご存じだろうか? このブランドはフランス生まれの新たなブランドだが、その歴史は古い。いったいどういうことなのか?

実はDSというのはかつてシトロエンに存在した車種で、フランスらしい実にアバンギャルドなデザインで造られた一台だった。これぞまさにフレンチラグジュアリーといえるクルマであり、まさに名車中の名車ともいえるクルマだ。

そんなDSの世界観を受け継ぎ、2014年6月1日からスタートしたのが、DSオートモービルズというブランドだ。正確には09年に、シトロエンの一モデルとして「DS」は復活。DS3やDS5といったモデルを販売した。その後、シトロエンの高級ブランドとして14年に独立したというわけだ。

そんなDSオートモービルズから7月に送り出された新世代SUVが「DS7 CROSSBACK」というモデル。DS7 CROSSBACKは、欧州Cセグメントに属すコンパクトSUVで、ライバルとなるのはアウディのQ3やBMWのX3だが、ボディサイズはわずかに大きめ。アウディQ3とQ5の中間に位置するサイズ感だ。

DS7 CROSSBACKのメカニズムは、基本的にはシトロエンとパーツを共用するプジョー3008がベース。これは新世代のプラットフォームである「EMP2(エフィシエンシー・モジュラー・プラットホーム)」を用いたもので、この骨格をベースに独自デザインのボディを組み合わせているのだ。

このクルマ、何がスゴいかといえば、やはりデザインだろう。とにかく、独自の世界観によって構築されており、強烈な印象を与える。特にフロントマスクは地球外生命体を思わせるような感覚を持っており、この顔つきもイグニッションをオンにすると、ライトの灯体がクルリと回転して点灯する。その様はまるでモンスターが目を覚ますような感じすらある。

さらにボディは全体的にギラギラとした雰囲気が漂っているのもポイント。フロントグリルの強烈なメッキ使いに始まって、ボディのあらゆる部分にギラッとしたアクセントが入る。

さらにインテリアも印象的。DSは菱形(ひしがた)がモチーフ。インテリアはまさにこの菱形があらゆるところに盛り込まれている。例えばセンターコンソールやスイッチの座台なども菱形が使われている。

そして極めつきはダッシュボード中央に備わったスターターボタン。これを押すと、赤く光ってその上に位置する部分が回転して、時計が出てくる。しかもその時計はB.R.M(ベルナール・リシャール・マニュファクチャー)製という、こだわりのインテリアを展開。

そんなDS7 CROSSBACKに搭載されるエンジンは2種類。225馬力を発生する1.6リットルのガソリンターボと、177馬力を発生する2リットルのディーゼルターボで、これに組み合わせられるトランスミッションは共に8速AT。これを介して前輪を駆動する。

そう、このSUVは4WDではなく、FFを採用しているのだ。エンジンとトランスミッションは、基本的にプジョー3008と同じものとなる。が、やはりDSは独自の存在であり、その走りはとても個性的なものに仕上がっている。

ユニークなのはサスペンション。かつての名車DSは、シトロエン独自のハイドロニューマティックと呼ばれる形式のサスペンションを備えており、これは「雲の上を走るような」と形容される独自の乗り心地の良さを実現していた。

その後シトロエンはこのハイドロニューマティックの使用をやめた経緯があるが、今回は通常の電子制御サスペンションに、カメラで走行中の前方の路面をスキャンして、その情報を基にサスペンションの減衰力をフィードフォワードで調整するアクティブスキャンサスペンションというシステムを採用しているのだ。

もっともこのシステムが作動していなくても、乗り心地は基本的に良好で、20インチサイズのタイヤをさらりとはきこなしているのが印象的。ガソリンターボは実に気持ちいい加速を味わわせる一方、ディーゼルは低回転からの力強さでクルマをグイグイと引っ張っていく感覚があって頼もしい。

乗り心地も良いがハンドリングも実に軽快で、その大きさや重さを感じさせない。

見た目も中身もすべてが個性的な一台で、他のSUVとは一線を画す存在で、他人と違うクルマが欲しいという人にオススメできる一台だ。

●河口まなぶ
1970年生まれ、茨城県出身。日本大学藝術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌(モーターマガジン社)アルバイトを経て自動車ジャーナリスト。毎週金曜22時からYouTube LIVEにて司会を務める『LOVECARS!TV!』がオンエア中。02年から日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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