ソニー「αシリーズ」をキヤノン、ニコンが猛追! 2019年は買いか? プロカメラマンに聞く「フルサイズミラーレス一眼カメラ」の○と×

ソニー「αシリーズ」をキヤノン、ニコンが猛追! 2019年は買いか? プロカメラマンに聞く「フルサイズミラーレス一眼カメラ」の○と×

各社から発売されているフルサイズミラーレス一眼カメラ。Canonの「EOS R」(左下)、SONYの「α7V」(上)、Nikonの「Z7」(右下)


カメラ業界がデジタル移行以来の大変革期に突入している。

ソニーのフルサイズミラーレス一眼がプロたちにも支持され、一般層にも好調な売り上げを記録し始めたことで市場が活性化。さらに、ニコンとキヤノンの二大カメラメーカーも追随し一気に盛り上がりを見せているのだ。その人気の秘密に迫った!

■ミラーレス一眼と一眼レフとの違いは?

高画質を追求するカメラは、35mmフィルムカメラと同じサイズのセンサー、いわゆる"フルサイズセンサー"を搭載した"一眼レフ"デジカメだ、というのが長い間、多くのカメラユーザーの認識だった。だが、そんな常識を覆したのが、ソニーのフルサイズミラーレス一眼「α(アルファ)シリーズ」の好調ぶりだ。

2018年に入ってからは右肩上がりに売り上げを伸ばし、その勢いは一眼レフの売り上げに迫るほど。さらには、その魅力に気づいたプロカメラマンたちからの支持も集め始め、現状は、ソニーのひとり勝ち市場といっていいだろう。

そんな状況にカメラ界の二大巨頭、ニコンとキヤノンが、相次いでフルサイズミラーレスを発表。"待った"をかけたことで、今、大きな盛り上がりを見せている。

グラフは、フルサイズセンサー搭載機における、一眼レフとミラーレスとの販売台数構成比の推移を表したものだが、それによれば、フルサイズ一眼レフからフルサイズミラーレスへと流れが変わったのは、数年前のことだとわかる。

特に、2017年の10月を起点にして、ミラーレスが右肩上がりにシェアを拡大。そして、ニコンとキヤノンがフルサイズミラーレスを発表した2018年夏に、ついにシェアが拮抗(きっこう)。

「これからはフルサイズミラーレスに大きく舵(かじ)を切る」という両社の決断が、まるでお墨付きを与えたかのように、その後ははっきりと一眼レフをミラーレスが抜き去っていった。

そんなフルサイズミラーレスだが、いったい、一眼レフとの違いはなんなのか? 天体カメラマンの青柳敏史(さとし)さんに聞いてみた。

「ざっくり言うと、一眼レフにあるミラーが、ミラーレスにはありません。つまり、一眼レフは主に光学ファインダーを覗(のぞ)き込んでシャッターを切りますが、ミラーレスにはそれがない、というのが大きな違いです」

代わりにあるのが、EVF(電子ビューファインダー)。ファインダーの中に小さな液晶ディスプレイがあると思えばわかりやすいだろう。もしくは一眼レフでは主に撮影映像の確認や設定時に使う、背面ディスプレイをファインダーの代わりに使って被写体をとらえると言い換えてもいい。

「ミラーなどが取り除かれているので、ボディ内の構造がシンプルです。そのため、一眼レフに比べてボディが薄く軽くなるんです」

光学ファインダーではなく、EVFであることのデメリットはないのか?

「イメージセンサーがとらえた被写体をEVFに映し出すまでにタイムラグがあります。ただし最新のEVFでは、そうとうシビアな撮影をしない限りは、気にならない程度です。少なくとも天体撮影では問題ありません」

この点に関して、モータースポーツのカメラマンとして活躍する池之平昌信さんの意見も聞いてみた。

「5年くらい前にEVFを覗いたときは、厄介なものだなと思いました。まだまだタイムラグが長かったんです。ただ、今はだいぶ良くなりました。正直、EVFのタイムラグなどはささいなことで、ほかのメリットのほうが格段に多いです。

例えば耐久レースなどで夜になったとき。EVFは、直接被写体を見ているのではなく映像を見ているので、感度を上げて明るくすれば、暗視スコープを覗いているかのように、肉眼では見えないものまで見えるんです。暗くてもしっかりと周りの状況を確認しながら撮れる。このメリットはデカいですよ」

また、野球を中心にスポーツをフィールドとするカメラマンの益田佑一さんは、EVFを覗いていれば、露出などの設定が反映された映像が見られる点をメリットに挙げる。

「外で撮影していると、厚い雲が流れていることがあります。当然、フィールドが晴れたり曇ったりして、露出をコロコロと変える必要があります。そんなときに、一眼レフだったら設定を変えて一度試し撮りのように撮影し、プレビューで確認してまた設定を変える、というような動きが必要です。それがミラーレスであれば、EVFを覗いたままで確認できるので、シャッターチャンスを逃すことが少なくなりました」

■今までになかった写真が撮れる!

その益田さんが初めてソニーのフルサイズミラーレスに触れたのは2017年の11月のこと。その画質の良さに魅了され、さらに小型で軽量なことや、シャッター音が静かなことが気に入り、今では手放せない存在になったという。

「ゴルフの撮影では、ゴルファーがアドレスに入ったときから、撮影をしないというのがマナーとなっています。シャッター音で選手の集中を邪魔しないためです。

でもミラーレスはサイレントモードにすれば、シャッター音がまったく聞こえなくなる。だから、いつでも撮りたい瞬間を撮影できます。これは革命的なことでした」

特に、現在使用中のソニーαシリーズで気に入っているのが「瞳AF(オートフォカス)機能」だという。カメラが被写体の瞳を検出し、追従しながらフォーカスしてくれる機能だ。

「本当に正確に瞳に合わせてくれます。ある程度、被写体から引いた状態でも瞳を見つけ出して追いかけてくれるのには驚きですね。例えば野球選手やゴルファーを撮るときには、その表情を狙います。瞳AFがあれば、常に瞳にフォーカスしてくれるので、僕は構図を考えてシャッターを切るだけでいいんです」

例えば選手をフレームの右端で撮り、その次の瞬間にはレンズの向きを変えて左端に位置させても、ピントの合った写真が撮れると大絶賛。

「今まで撮れなかった写真が撮れるようになったことで、今度はこんなシーンをこんな構図で撮ってみようって、撮影するのが楽しくなってきました」

さらに、フォーカスポイントの広さをメリットとして挙げたのは、グラビアやポートレート撮影などで活躍する関純一さん。

フォーカスポイントとは、フレームの中でAFが有効な場所のこと。そのポイントが、一眼レフではフレームの中心部に集まっているのに対し、フルサイズミラーレスでは端のほうにまで広がっている。

「フルサイズミラーレスにして、画角が一番変わりました。今までは無意識に真ん中とか、フォーカスポイントのあるところでピントを合わせていたんです。

それがフルサイズミラーレスで自由度が高まり、今までは絶対にフォーカスを合わせなかった場所にも合わせるようになりました。そのおかげで、被写体を端でとらえて"動き"を出したりといった、今までではありえない構図で撮れるようになりましたよ」

■フルサイズミラーレスは素人こそ欲しいカメラ

現状のフルサイズミラーレス市場では、先んじて研鑽(けんさん)を積んできたソニーのαシリーズが、他ブランドをシェアで圧倒している状態。だがそれも盤石なわけではない。

今回取材したプロカメラマンたちからも、αシリーズに対しては、いくつかの不満が上がっていた。例えばWi−Fi機能など、通信系の充実度やパソコンとの連携などの使いやすさはキヤノンの一眼レフのほうが上だとか、細かい部分だが、ソニーのレンズ着脱ボタンが、カメラを構えた際、押しにくいレンズの右側に配置されていることに首をかしげるカメラマンもいた。

そう考えると、久しくプロ機の王者であったニコンとキヤノンがソニーに追いつくことも、遠いことではなさそうだ。こうしてカメラメーカーが同じ土俵で切磋琢磨(せっさたくま)してくれるのは、質や価格の面でもユーザーにはうれしい限り。

そして、いよいよ2019年は3社の三つ巴の戦いが始まる! と思いきや、パナソニックもフルサイズミラーレスの投入を宣言するなど、戦国時代の開幕を予感させる動きを見せている。

まさに、"フルサイズミラーレス元年"となった2018年。すでにボディだけなら、20万円台前半と比較的購入しやすい商品も出てきている。軽くてコンパクトで持ち運びがしやすく、そしてピントも合わせやすいなど、素人にこそ使ってほしい性能がぎっしり詰まったフルサイズミラーレスは今こそ買い! 自分へのお年玉として、手にとってみてはいかがだろうか。

取材・文/河原塚英信

関連記事(外部サイト)