トヨタ×BMWで17年ぶりに復活。雨の中のコース試乗でわかった新型スープラのグリップ限界領域

トヨタ×BMWで17年ぶりに復活。雨の中のコース試乗でわかった新型スープラのグリップ限界領域

日本では今春発売予定、新型スープラの実力は?

1月14日、トヨタはアメリカで開催された「デトロイトモーターショー」で、スープラの新型を世界初披露! 日本では今春発売の予定だ。徹底試乗した自動車ジャーナリストの塩見(シオミ)サトシが、新型の実力に迫りまくったぞ!

■新型スープラのエンジンは3タイプ!

2018年12月、千葉県・袖ヶ浦フォレストレースウェイは本降りの雨。先代の生産終了から実に17年ぶりの復活となった新型トヨタ・スープラ(プロトタイプ)に試乗する日だというのにだ。

だが、人間万事塞翁(さいおう)が馬。本来ならもっとずっと高い速度域に達しないと姿を見せないであろうこのクルマの限界領域を、雨のおかげで低い速度域で恐怖感なく確かめることができたのだから。

実車を見ての第一印象は「グラマラス」のひと言。若者の言葉を借りるなら「エモい」というやつだ。このデザインはトヨタが5年前のデトロイトショーで発表したコンセプトカーのFT−1がルーツだ。

フォーミュラマシンのノーズコーンを思わせる突き出たフロントマスク中央部分、ダブルバブル形状のルーフ、それに抑揚の強いスタイリングがうまくまとまっていて、非常に美しいクルマだった。彫刻のようであり生き物のようにも見えた。

クルマのデザインはコンセプト段階から市販に近づくにつれ、法規面、コスト面の制約といった"現実"によって当初の"理想"からかけ離れ、市販モデルとなった際にガッカリさせられるケースが少なくない。その点、スープラはいささか現実味を帯びたものの、十分にFT−1の面影を残して登場した。ガッカリ度は最小限だ。

それどころかボディから飛び出したリアコンビランプをはじめ、よくぞこのまま市販化にこぎつけたなと思わせる部分もある。ダックテール状のリアスポイラーが先代を思い起こさせる。

新型の寸法は間違いなくスポーツカーのそれだ。全長4380mm、全幅1865mm、全高1290〜1295mm。そしてホイールベースは2470mm。左右輪の幅を意味するトレッドはフロントが1594〜1609mm、リアが1589〜1616mm。

数値からわかるのは、全長に対してホイールベースがとても短く、トレッドはとても広いということだ。その比率は1.55。市販車としては有数のハンドリングマシンであるマツダ・ロードスターとほぼ同じ値だ。一般的にこの比率が小さいほど回頭性が良いクルマ、すなわちよく曲がるクルマとされるのだ。

3L直6ターボエンジン(最高出力340ps、最大トルク500Nm)を積むRZ、2種類の2L直4ターボエンジンのうちハイパワー版(同258ps、同400Nm)を積むSZ−R、ローパワー版(同197ps、同320Nm)を積むSZの計3グレードが設定される。

トランスミッションは全車8AT。試乗したのは最上級グレードのRZ。500 Nmというハイスペックに恐れをなし、試乗直前まで「雨よ、やんでくれ〜」と願掛けをしたが、一向にその気配はない。諦めてコースインした。

与えられた周回数が限られていたため、最初からスポーツモードで走らせる。クォーンと、直6エンジン以外ではありえない澄んだサウンドと滑らかな回転フィーリングに包まれる。体感で86の2倍くらいパワフルで、100倍くらい気持ちいい。

コーナーにさしかかりステアリングを切る。前述のとおり回頭性の良いクルマなので、わずかなステアリング操作でグイグイ向きが変わる。

ペースを上げる。コーナーの手前でブレーキング、ややブレーキングを残してステアリングを切る。ここでリアがスライドし始めると予想したが、しない。

ならばと立ち上がりでステアリングを戻しながらやや挑発的にアクセルペダルを深く踏んでみる。今度こそスライドするか......? しない。

フロント:255/35ZR19、リア:275/35ZR19のミシュランのパイロットスーパースポーツのウェットグリップの性能が高いのか。次の周回の同じコーナーで同じことをよりペースを上げて試みる。

遅めのブレーキング、ステアリングを切る。それでもリアはブレイクしない。続いて立ち上がりでアクセルペダルをぐっと深く踏む。出たーッ! 予兆なく突如ドカーンとリアが外に膨らみ、かなりのアングルがつく。

だが、横滑り防止装置オンだと瞬時にパワーが絞られて元の姿勢に戻る。

次に横滑り防止装置オフで臨む。同じように走らせてもなかなかグリップを失わないが、やはりあるときドカーンと唐突にリアが出る。カウンターステアを当てて必死にアングルを維持しようと奮闘していると、今度は身体が揺さぶられるほど急激にグリップが回復する。

はっきり言ってウエット路面でこのクルマをスライドコントロールするのは至難の業だ。ドライでも同じことが起こるはずだが、その速度域はとんでもなく高いはず。

グリップの限界自体は高いところにあるため、その範囲で乗る限り、キビキビとしたハンドリング重視のスポーツカーといえるかもしれない。

■週刊プレイボーイ増刊『クルマプレイボーイ』(2月21日発売)カラー特集『トヨタ×BMWで17年ぶりに復活! 新型スープラは買いか?』より

取材・文/塩見サトシ 写真協力/トヨタ

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