カレーハウスCoCo壱番屋(ココイチ)のカレーは"本場"インドで受け入れられるのか?

カレーハウスCoCo壱番屋がインド進出を発表 在日インド系住民からは厳しい声も

記事まとめ

  • 「カレーハウスCoCo壱番屋」(ココイチ)が、来年のインド出店を発表した
  • 日本在住のインド系住民からは「違和感を持たざるをえないというのが、正直なところ」
  • インドの灼熱の気候では、もったりした日本のカレーを食べる気にならないという意見も

カレーハウスCoCo壱番屋(ココイチ)のカレーは"本場"インドで受け入れられるのか?

カレーハウスCoCo壱番屋(ココイチ)のカレーは"本場"インドで受け入れられるのか?

ココイチのカレーは本場インドで受け入れられるのか?

カレーチェーン最大手「カレーハウスCoCo壱番屋」(ココイチ)が来年のインド出店を発表した。すでにアメリカや中国など、海外にも積極的に進出している同社だが、果たして"本場"への"逆輸入"に勝算はあるのか!?

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■「日本のカレーはどうにも物足りない」

「カレーハウスCoCo壱番屋」(ココイチ)を運営する壱番屋が7月8日、インド進出を発表した。来年中に1号店を開店し、以後5年間で10店のオープンを目指す計画だ。

なぜ、よりにもよって"カレーの本場"インドに出店しようなどという大それたことを考えたのか? 壱番屋の広報担当に聞いた。

「もちろん、人口約13億人という巨大マーケットの魅力もありますが、今回のプロジェクトはむしろ、当社の"夢"の実現なのです。日本におけるカレーはもはや国民食。しかし、その国民食はインドという国がなければ当然、存在していません。本家のインドで、日本的に進化したココイチのカレーの味を問うてみたいというのが、当社の浜島俊哉会長が10年ほど前から抱き続けてきた悲願でした」

"日本のココイチ"としての進出なので、なじみのあのスタイルも極力残す方針だ。まずカレーソースは、日本の工場で作ったものを輸出する。

「インドには、日本式にスパイスと小麦粉を練ったルーからカレーを作る文化がありませんので、日本から持ち込んだほうが安定したココイチの味を出せるのです。ただし、宗教上の理由から肉類を召し上がらない方が多いので、すでにほかの海外店舗向けに展開中の、動物由来の原材料を使用しないカレーソースを持っていきます」(広報担当)

コメは日本産ではないが、ふっくら、もっちりと炊き上がるジャポニカ種だし、ココイチといえばの、ライスの量や辛さ・甘さが調整できるオーダーシステムも採用。もちろんトッピングも可能だが、こちらは現地で調達できる食材次第で、多少のローカライズはありえるとのこと。

準備は万全。あとはインドの人たちに、ココイチのカレーが受け入れられるか否かだ。ということで、ココイチのインド進出に関し、日本在住のインド系の人々がどう感じているのかを聞くことに。

まず訪ねたのは、日本最大のインド人コミュニティがある東京・西葛西で、第1号のインド系住民として41年前から居を構えるジャグモハン・スワミダス・チャンドラニ氏。彼は本業の紅茶輸入・卸販売会社経営のほか、西葛西と横浜で計3店の人気インド料理店も営み、日印両国の食文化に精通している。

チャンドラニさん、日本のカレーってどう思います?

「スパイスのパンチや香りやうまみに欠けて、どうにも物足りないですね。そもそも小麦粉とスパイスでルーを作る時点で、カレーとは思えません。甘くて粘り気のあるジャポニカ米も、カレーといえばパラパラしたインディカ米に合わせるのが常識の私たちには、ちょっと食べづらいかな。日本のカレーは長年、独自の発展を遂げてきたものですから、『インドから来た食べ物です』と言われても、『え?』という感じです(笑)」

その日本式カレーの雄、ココイチがインドに進出します。

「インド人としては違和感を持たざるをえないというのが、正直なところでしょうね。われわれは外国料理に対して決して閉鎖的ではありませんが、インド料理については基本がブレたものを嫌います。日本人の和食に対する思いと同じですよ」(チャンドラニ氏)

でも、辛さ調整システムもあるので、インドの人にはウケるのでは?

「そもそも普通のインド人は、極端に辛いものを食べませんし、注文の際に『辛くして』とも言わず、そのお店の味つけのままで楽しみます。辛いのが好きな人は、辛い味つけの店に行くだけのこと。だから、辛さ調整ができることはアピールポイントにはなりません」(チャンドラニ氏)

いろいろ難しそうですね。

「ただ、チャレンジとしては非常に面白い。大いにけっこう。ウエルカムですよ。応援したいですね」(チャンドラニ氏)

続いて、同じ西葛西で、『食べログ』評価の高いインド料理店スタッフに聞いた。

「インドは朝10時始業の会社が多く、昼休みがありません。サラリーマンは出社前に家でしっかり朝食をとって昼食を抜き、ディナーでまたたっぷり食べます。だから、ランチタイム需要を見込んだ商売のやり方だと厳しいでしょうね」(スタッフのラジ氏)

■「ターゲットになるのは1億人いる富裕層」

トリは、東京・銀座にある1949年オープンという日本最古のインド料理専門店「ナイルレストラン」の3代目、ナイル善己氏だ。父は日印ハーフで2代目店主のG・M・ナイル氏というインド人クオーターで、現地ゴア州の高級ホテルレストランでの修業経験も持っている。

「僕は日本人の母親が作るルーカレーや学校給食のカレーも食べて育ってきているので、日本式カレーのおいしさは当然わかりますし、ココイチにもたまーに行きます。1、2週間おきに食べても飽きのこない、日本人に好まれる味だなとは思いますね」

で、インド出店は成功しそうですか?

「いろいろと厳しそうですね。まずインドは衛生面や食材の温度管理でまだまだ不安がある土地です。そして、現地で暮らしてみるとわかりますが、あの灼熱(しゃくねつ)の気候では、もったりした日本のカレーを食べる気にならないんですよ。スパイシーでスコンと抜ける感じのさらさらしたカレーこそ、インド人の体が欲する食べ物。ココイチは地元民が利用するより、インド駐在の日本人が憩いの場として通う可能性のほうが高いのではないでしょうか」(ナイル氏)

とはいえ、可能性がまったくないわけでもないという。

「インドだとココイチは高級店になるんでしょうが、同じく高価格帯のマクドナルドやケンタッキーフライドチキンのメニューは今、地元の裕福な子供たちに大人気なんです。インドの富裕層は1億人いるといわれていますから、もし彼らの間で"カレー"ではなく、"日本の変わった食べ物"と認知されて流行になれば、ビジネスとしては成立するかもしれません」(ナイル氏)

なんとかインド人に日本式カレーの底力を見せてほしい。

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