公道試乗で分かった、世界中で売れているEV・テスラ「モデル3」はマジでスゴかった!

公道試乗で分かった、世界中で売れているEV・テスラ「モデル3」はマジでスゴかった!

昨年から日本でも右ハンドルのデリバリーが開始されたテスラ・モデル3。乗ったら、そのスゴさが分かった!

世界中で売れに売れているEVといえば、テスラ。昨年、ニッポンでも量販車のモデル3がデリバリー開始となり、大きな話題を集めた。

ということで、モータージャーナリストの塩見 智(しおみ・さとし)がガッツリ試乗した!

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■テスラの最新EVはズバリ買いなのか!?

先走り寸前の超先進的性能をいち早く実用化し、自動化の面でも電動化の面でも自動車業界に一石を投じ、その合間に見た目がキテレツこの上ないサイバートラックを発表して失笑と称賛を同時にゲットするなど、とにかく話題に事欠かない芸人的自動車メーカーのテスラが、最もまじめに造ってしっかり売りにきたのがモデル3だ。昨年9月に、右ハンドルのデリバリーが開始されたのを機に乗ってみた。

これまでのモデルS、モデルXはいずれも素晴らしい性能を持っていたが、スタバでいうベンティサイズ、すなわちデカすぎた。その点モデル3は小さくはないものの、全長4694mm、全幅1849mm、全高1443mmと、早い話が背の低いトヨタRAV4くらいのサイズ。日本の路上でも持て余すことはない。

ただし、全長約4.7mのクルマにしては車内が広い。なぜか? 前後輪の間隔を示すホイールベースが2875mmと長いからだ。EV専用車はもともとエンジン部分が設計されないから全長の割にホイールベースを長くとれるのだ。だから後席足元や荷室部分がだだっ広い。そしてルーフはほぼ全面がはめ殺しガラスなので開放感ばっちり。

運転席に乗り込んでインパネを見て驚く。スイッチ類が全然見当たらない。これはまだ造りかけで、「これからいろいろ装着するの?」と思ったほどだ。大げさではなく物理的なスイッチはステアリングホイールの左右親指の位置にくるダイヤルスイッチくらいで、ステアリングポストの左にワイパーレバー、右にATセレクターがある程度。そして中央にでかいスクリーンがどかーんと鎮座する。

エアコン吹き出し口は? インパネの段差のようなところから吹き出す。そして吹き出した風の下から別の風を当てることで風向きの上下を調整しているじゃないか。スッキリしすぎ! でもとてつもなくすてきだ。「インパネ・オブ・ザ・イヤー」を差し上げたい。操作はステアリングスイッチとタッチスクリーンで行なう。こういうのでいい!

テスラの造るEVは加速力やユニークな操作系などが刺激的だが、クルマの基本性能、すなわち走る、曲がる、止まる、加えて乗り心地は既存の自動車メーカーの造るクルマに及ばない......とされてきた。実際、ある時期まではそうだったと思う。だが今回モデル3に乗ってみて、その時期は過ぎ、テスラは旧来の尺度で測ってもいいクルマだと感じた。

試乗したロングレンジAWDデュアルモーターは655万2000円(40万円の補助金あり)。この価格帯のクルマとして乗り心地はベストとは言わないが、不満もない。ボディにしっかりとした剛性感があり、サスペンションの動きも自然。シートの形状やサイズも問題がなく、視界は良好。基本性能に優れたクルマといえる。

そしてEVとしての性能は申し分ない。SやXに備わる過激に速いモードなどは設定されないが、速さは十分に確保されており、推奨はしないがシグナルグランプリでたいていのクルマをぶっちぎることができる。

75kWhのバッテリー容量が搭載されており、カタログ上の航続距離は560km。近い容量のEVでは、日産リーフe+が62kWhで458km、メルセデス・ベンツEQCが80kWhで400kmとなっている。560kmともなれば現実的に8掛けしても448kmで、正直、まぁ十分だ。

それにテスラ車はほかのEV同様に日本全国のCHAdeMO式急速充電器が使えるのに加え、大都市に限られるものの独自の充電器であるスーパーチャージャー(CHAdeMOの2倍以上の速さで充電可能)が使える。

そしてテスラといえばオートパイロット。現在市販されている乗用車としてトップレベルの高度運転支援機能が備わっている。車線の中央を維持する機能が素晴らしく、車線内をゆらゆらするようなことがなく、ビシッと真ん中を走行し続けてくれる。あえてそれを無視してステアリングを切ろうとしてもけっこうなトルクで維持を続けようとするのは好みが分かれるところだろう。

ウインカーを操作すれば、安全を確認した後に自動で車線変更してくれる。一連の機能に慣れてくると運転が操作というより監視に近い。

ただし、日産やBMWのようなハンズオフ機能は実装していない。まだ実装できないのではなく、とっくの昔にアメリカで実装していたのだが、アメリカのリテラシーの低いユーザーが無謀な手放し運転で事故を起こしたり危険動画を投稿したりしたため、現在はハンズオフ機能をあえて備えていない。しかしやり始めたところが出てきた以上、時間の問題で備わるだろう。

話題先行のテスラだが、モデル3に限っては実に地に足が着いたマジメEVだと感じた。間違いなく、買いだ!

●塩見 智(しおみ・さとし) 
1972年生まれ、岡山県出身。関西学院大学文学部卒業。1995年に山陽新聞社入社。『ベストカー』編集部を経て、2004年に二玄社『NAVI』編集部に入社。09年『NAVI』編集長に就任。11年に独立。執筆媒体多数。ラジオやイベントの司会も手がける。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。公式Twitter【@Satoshi_Bagnole】

撮影/本田雄士

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