所得格差「ジニ係数」が過去最大、所得再分配後の格差はむしろ縮小のナゼ

所得格差「ジニ係数」が過去最大、所得再分配後の格差はむしろ縮小のナゼ

所得再分配によるジニ係数の変化(厚生労働省 平成26年所得再分配調査結果より)

 厚生労働省が、日本国内の所得格差に関する最新の調査結果を発表しました。所得格差を示すジニ係数は過去最大となりましたが、所得再分配後の格差はむしろ縮小しています。このところ格差問題がよく議論されていますが、日本の格差は拡大しているのでしょうか。それとも縮小しているのでしょうか。

所得格差を示す「ジニ係数」は0.5704と過去最大

 厚生労働省は15日、2014年における所得再分配調査の結果を発表しました。この中で所得格差を示す「ジニ係数」は0.5704と過去最大を更新しています。ジニ係数とは所得の格差を表す指標で、1に近いほど貧富の差が激しいことを示しています。この数字が年々大きくなっているわけですから、日本の格差は拡大しているということになります。

 格差が拡大している原因のひとつは高齢化と考えられます。高齢者は働き盛りの世代と比較すると、所得が大幅に減少します。日本では高齢化が進んでいることから、所得が低い人の割合も増えるわけです。当然ですが、非正規労働者が増えていることも、格差拡大に拍車をかけているでしょう。

中間層以下の所得税は実質的に無税

 しかしながら、この数字はあくまで名目上の所得から得られたものです。わたしたちは、名目上の所得をすべて消費や貯蓄に使えるわけではありません。そこから税金などが差し引かれるため、実際に使える金額(可処分所得)はもっと小さくなります。日本ではかなり極端な累進課税制度が導入されているため、特に高額所得者には多額の税金が課されます。

 年収が600万円以下の人は各種の控除があり、実質的には数%以下の税金しか徴収されていません。中間層以下の人は、所得税については実質的に無税に近い状況です(地方税は別途徴収される)。一方、年収が2500万円を超える人には実質的に35%程度の税金が課せられます。日本で1000万円以上の給与所得がある人は、給与所得者全体のわずか4%ですが、彼等が支払う所得税は給与所得者全体の半分近くに達します。つまり日本の所得税は高額所得者に大きく依存しているわけです。

所得再分配後の「ジニ係数」は0.3759と格差は縮小

 累進課税や各種社会保障給付など所得再分配が実施された後のジニ係数は0.3759となり、格差は大幅に縮小しています。しかも所得再分配後のジニ係数は前回調査よりも、わずかですが小さくなりました。つまり、お金持ちからたくさん税金を取ることで、最終的な所得格差は縮小したということになります。

 もっとも、OECD(経済協力開発機構)による国際比較では、日本は所得再分配後においても格差が比較的大きい部類に入ります。また日本の格差が大きいのは以前から同じであり、今に始まったことではありません。日本は貧富の差が少ない平等な国だといわれてきましたが、それは自分達だけが思っているイメージに過ぎなかったようです。日本では不景気が続いたことから高額所得者の数は減少しています。低所得者の割合が多いことが格差の原因のひとつと考えられますから、格差を縮小したいのであれば低所得層の底上げが必要でしょう。

(The Capital Tribune Japan)