国産小型旅客機MRJ “3度目の正直”本格飛行試験拠点の米国空港に到着

国産小型旅客機MRJ “3度目の正直”本格飛行試験拠点の米国空港に到着

米国グラント・カウンティ国際空港に着陸するMRJ第1号機(三菱航空機提供)

 三菱航空機(愛知県豊山町)は29日、開発を進める国産初の小型ジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)の第1号機が、飛行試験の拠点となる米国北西部ワシントン州のグラント・カウンティ国際空港に、同日午前(現地時間28日夕)に到着したと発表した。納入までの最大の難関とされている、国土交通省の機体安全に関する認証「型式証明」の取得に向け、同所で本格的な飛行試験を重ねて、2018年半ばに予定している初納入の実現を目指す。

「大きな一歩前進」関係者喜び 2500時間の飛行試験など「開発を加速」へ

 第1号機は、26日午後1時28分に愛知県営名古屋空港(愛知県豊山町)を出発。その後は、北海道の新千歳空港やロシアのカムチャツカ半島、米国アラスカ州を経由し、29日午前9時44分(現地時間28日午後5時44分)に、グラント・カウンティ国際空港に到着した。同社関係者は「アメリカへのフライト成功は、MRJ初納入への大きな一歩前進」と話し、MRJの開発加速へ力を込めた。

 同空港は、年間の晴天率が約90%と高く、飛行スケジュールの自由度も高いことから「飛ばしたいときに飛ばしやすい」(関係者)など、型式証明取得に必要とされる飛行試験2500時間分の実施のための条件が整った場所とされる。同社は飛行試験拠点としてモーゼスレイクフライトテストセンターを同空港に設けており、もう1つの海外拠点である米シアトルエンジニアリングセンターと日本の本社という3拠点体制で、飛行試験を重ねていく。

 第1号機の飛行試験開始は、現地での体制が整い次第始めるという。そのほかMRJは2〜5号機まであり、2〜4号機は1号機と同様に米国へ移して、試験や調整を行う。残りの5号機は日本に置いて、1〜4号機の試験で得られたデータや修正を加えるなどして調整していく。

米国行き1カ月遅れで影響心配も 「2018年前半」型式証明取得目指す

 MRJの米国行きについては当初、8月27と28の両日、県営名古屋空港を離陸したが、空調システムの不具合で両日とも引き返し、調整のため約1カ月、延期されていた。今回は3度目の挑戦でつかんだ成功だった。

 MRJの初納入先は全日本空輸(ANA)で、当初より4度延期して2018年半ばに予定されている。米国行きが1カ月遅れたことで、納入スケジュールへの影響を心配する声もあるが、三菱航空機関係者は型式証明取得について「2018年前半までを目指す」と強調。5度目の納入延期は避けたい構えだ。

 型式証明は、国土交通省が審査や承認をする機体の設計安全認証。機体の強度や飛行性能など数百の基準を満たす必要がある。型式証明が無ければ、旅客機として空を飛べないため、型式証明の取得は、MRJ納入への最大の難関とされている。

(斉藤理/MOTIVA)