セブン減損600億円、確執を超えて改革の対象に聖域はなし

セブン減損600億円、確執を超えて改革の対象に聖域はなし

写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ

 セブン&アイ・ホールディングスは9月30日、総合スーパー事業や百貨店事業の不振から約600億円の減損が発生すると発表しました。カリスマ経営者と呼ばれ、24年の長期にわたってグループトップに君臨してきた鈴木敏文前会長兼最高経営責任者の電撃辞任から約5カ月。新社長の井阪氏は、旧体制の負の遺産処理に奔走している状況です。

約600億円の減損が発生

 セブンは、主力のセブン−イレブンのほかに、総合スーパーであるイトーヨーカドーや、百貨店のそごう・西武などいくつも業態を抱えています。イトーヨーカドーとそごう・西武は、このところ販売不振による店舗閉鎖が続いており、資産価値の見直しが必要な状況となっていました。イトーヨーカドーは、店舗に関する減損が150億円、そごう・西武については122億円、買収に際して支払ったのれん代に関する減損が334億円となり、すべてを合計すると606億円に達します。

 この結果、10月6日に発表した半期決算(2016年3〜8月期)では、純利益が前年同期比60.4%減の334億8000万円となりました。通期の業績見通しについても、純利益が前年度比で50.3%減の800億円にとどまる見通しです。

イトーヨーカドー閉鎖を巡り確執も

 イトーヨーカドーは、同社の祖業ともいえるビジネスであり、なかなか不採算店舗の整理を進めることができずにいました。2014年5月に社長に就任した戸井和久氏は、2020年までに全店舗の2割にあたる40店舗を閉鎖する方針を示しましたが、就任1年半で突如辞任してしまいます。はっきりした理由は分かりませんが、立て直しの方針をめぐってグループトップの鈴木氏と確執があったともいわれています。

 また、そごう・西武は、シナジー効果が薄いという指摘があったにもかかわらず、鈴木氏が主導して買収を進めた企業です。このため、鈴木氏がトップ在任中は、売却について議論できる状況ではなかったようです。

改革の対象に聖域はなし

 今回、井阪氏は一連のリストラについて、「鈴木氏とは相談していない」と断言しています。あえて鈴木氏とのやり取りがなかったことを強調したのは、改革の対象に聖域はないということをあらためて社内外に示すことが目的だと考えられます。

 とりあえず、百貨店の減損処理を実施したことで、そごう・西武ののれん代は消滅し、ゼロ・ベースで勝負できる土壌がようやく整いました。また、そごう神戸店など3店舗をエイチ・ツー・オーリテイリングに譲渡する計画も併せて発表しています。百貨店については一息ついた段階といえそうです。

 一方の総合スーパー事業については、人口動態の変換から今後も不採算店舗が発生する可能性があります。スーパー事業の低下をどこまで食い止められるかが今後の勝負となるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)