コンビニおでん商戦2018 食べ比べたくなる大手3社の新戦略

コンビニおでん大手3社の新戦略 「女性とシニア」をターゲットにした商品を展開も

記事まとめ

  • セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンの新作おでんは一押しが分かれるという
  • ローソンは変わり種を強烈にプッシュ、ファミマはつゆの香りを大きく改良した
  • セブンのキーワードは「健康感」で「低カロリーセット」などで女性やシニアにアピール

コンビニおでん商戦2018 食べ比べたくなる大手3社の新戦略

コンビニおでん商戦2018 食べ比べたくなる大手3社の新戦略

コンビニおでんを購入する女性やシニアが増えている(セブン)

 ようやく秋の涼しさが感じられるようになり、街中のコンビニでは本格的な「おでん」シーズンが到来している。今年はセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンそれぞれに、独自のこだわりポイントがあるというが、その違いは何か。コンビニジャーナリストの吉岡秀子氏が解説する。

 * * *
 コンビニではあったかメニューの定番である“おでん商戦”が、いよいよ本格的に始まりました。

 今年はとんでもない酷暑だった反動なのか、消費者の「体感温度」は敏感になっているよう。「30℃を下回ると涼しいと感じ、おでんを買う方が出てきた」と、コンビニ関係者から聞きました。それを思えば商機到来。店では「おでんいかがですかー」と掛け声が大きくなっています。

 セブン-イレブン(以下セブン)、ファミリーマート(以下ファミマ)、ローソンの新作おでんの方向性を見てみると、今年はイチオシが結構バラバラです。

 これまでは3社とも「つゆ自慢」だったり「基本ダネのブラッシュアップ」だったり、共通したトレンドが明確に見えたのですが、これらはもはや改良のマストポイント。今年は通常よりも各チェーンの個性が色濃く出ていると感じます。

 ただし、おでんそのものよりも、近年顕著になってきた「買う側」の変化は3社とも同じ意見です。

「おでんを購入する女性やシニアのお客様が増えました」

 今やコンビニおでんの開発には、女性・シニアをターゲットにした視点が欠かせなくなっているのです。それでは各チェーンのおでんのポイントを解説していきましょう。

 まずはローソン。近年「串おでん」を充実させ、個性を発揮している同社は、今年もユニークな新作ダネに力を入れています。

「見た目にこだわった新商品や、串おでんを出します」(ローソン広報)

 コンビニおでんは「大根」「玉子」「白滝」の人気トップ3が強すぎるため、この3品が飽きられないよう、大根に味をしみやすく隠し包丁を入れたり、白滝のサイズを変更したりと細かい工夫を凝らすのが常ですが、変わり種を強烈に推してくるのがローソンの特徴。

 卵黄風ソースを鶏肉のつくねで包んだ「つくね団子(卵黄風ソース入り)」(110円)や透明なこんにゃく生地で枝豆とカニカマを包んだ「カニカマと枝豆のこんにゃく包み」(90円)など、手の込んだおでんダネが登場しました。

 また「ローソンのおでんの約6割は16時~23時の夕夜間により売れ、惣菜やカット野菜、お酒との買い合わせが多い」(同)らしいので、「おやつ」から「おかず・おつまみ」需要にシフトしているトレンドがわかります。

 お鍋をのぞいてみると、串物が目立つので、ちょっと居酒屋気分で注文できるのかもしれませんね。

 次はファミマです。大きな改良ポイントはつゆの「香り」です。地味に聞こえるかもしれませんが、食欲をそそる香りはおでんの風味を左右する大きなポイント。ここを変えるのは、勇気がいったと思います。

「焼津産のカツオと北海道真昆布を使用し、香り高い黄金つゆになっています」(ファミマ広報)

 確かに、だしの香りが以前とは違います。だからでしょう、「だし巻玉子」や「餅入り巾着」などによくしみます。その証拠に、

「今のところ、売り上げは前年比1割増しで伸長しており、つゆをたっぷり含んだだし巻玉子や、今年新しく定番商品に加わったロールキャベツが好調です」(同)

 ファミマのおでん購入者は、男:女=4:6と、女性の比率が高まっているので、やさしい味のおでんダネに人気が集まっているのかもしれません。その他、ユニークな改良では、「白滝」の麺を細くして本数を増量したのだとか。ここまでマニアックにするのも、やはり今年の「つゆ」に自信があるからなんでしょう。

 さて、最も独自路線を行ったなと思うのが、セブンです。昨年から始めた「セット売りメニュー」を強化。おでんダネの組み合わせは地域で違いますが、

1、低カロリーセット(大根・こんにゃく・白滝・がんも)4品330円
2、人気セット(大根、玉子、焼きちくわ、白滝)4品345円
3、おつまみセット(大根・焼ちくわ・ロールキャベツ・こんにゃく・牛すじ)5品520円
(1~3とも関東・北陸・東海3県の内容)

 と、3種類が出そろいました。セットメニューをそろえた理由は、

「混雑時に、おでん鍋の前でひとつひとつ注文するのは気が引けるというお客様の心理にお応えし、一度で定番をご注文できると便利では、と考えたのです」(セブン広報)

 セブンでは、だいたい一人で5個くらいのタネを買う客が多いそうですが、確かにレジでひとつひとつ注文するとなると、結構時間がかかります。「たいていの人は大根を注文されるので」、大根はマストとして、セットテーマに合ったメニューを考えたのだとか。常連客になれば「いつものおでん(=おつまみセット)」で話が済みそうですね。

 もうひとつ、セブンが今年のおでんで押し出すキーワードは「健康感」です。

「低カロリーセットは4品で83キロカロリー、糖質3.2グラムです。おにぎりひとつが約180キロカロリーですから、改めておでんがいかに健康的なメニューかわかっていただけるのでは」(同)

 これまでコンビニおでんは、すぐに食べられる「手軽さ」で人気を得て来た歴史があります。それに「健康的」というイメージが強まれば、前述したとおり、ターゲット客の女性やシニアによりアピールできるでしょう。

 新戦略をぐいぐい押すように、初めてつゆににんじん・玉ねぎを炊きだした「野菜の旨み」をプラスしたのも大きなポイント。ポトフのような上品な味のつゆになりました。

 どうですか? 3社のおでん、違うでしょう。ぜひ、はしごして食べ比べてみてください。今年はその価値アリです。

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