ホンダN-BOX、軽自動車ながら安全性能で高評価を受ける理由

ホンダN-BOX、軽自動車ながら安全性能で高評価を受ける理由

66車種「安全性能」ランキング 1位は?

 ドライバーの高齢化に伴い、車が持つ「安全性能」がますます重大な関心事となっているが、一般ユーザーが各車の安全性能の違いを比較することは難しい。

 しかし、その手がかりとなるデータがある。国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)が共同で行なう「衝突安全性能評価」である。

 NASVAの試験は、年間の新車販売台数上位の10数車種を対象にしている(同じ車種でも複数のグレードがある場合は、最も販売台数が多いものを採用)。採点は208点が満点で、内訳は「乗員保護性能」が100点、「歩行者保護性能」が100点、そして「シートベルト着用警報装置」が8点となっている。

 本誌・週刊ポストでは、同調査の試験を受けた車種のうち、現在も販売中である10社66車種を総合評価点数の高い順に掲載。

 トップ3にランクインしたのは、1位/インプレッサ(スバル)、2位/CX-8(マツダ)、3位/レガシィ(スバル)の順。エンジン技術やボディ形状、歩行者保護システムなどで高評価を得た。

 一方で評価が低かった下位3車種は、下から「フィアット500」、「エブリイ」(スズキ)、「スペーシア」(スズキ)となった。この評価について各メーカーの見解はこうだった。

「結果を真摯に受け止めております。現在、次期新型車の開発中で、安全性能含め様々な領域について改善を図っております」(フィアットの販売元であるFCAジャパン広報部)

「安全性能の客観的評価として理解しております」(スズキ広報部)

 ランキング下位に軽自動車や、小型の乗用車が多いことについては次のような理由もあるという。

「サイズの制限が厳しい軽自動車は、車体が普通車に比べて小さく軽くなってしまうので、NASVAが行っているような“普通車と同じ条件での衝突試験”を行なうとどうしても見劣りする結果が出てしまう。

 軽自動車の魅力は『低価格』で『燃費がいい』ということ。そのメリットを残そうと思ったら、重量のある高強度素材は使いにくくなる」(ある自動車メーカーの開発担当者)

◆「事故を避ける技術」の評価は?

 異彩を放つのが、軽自動車で1位、全体でも12位の「N-BOX」(ホンダ)だ。自動車に詳しいジャーナリストの福田俊之氏がいう。

「もともとホンダは衝突安全ボディの設計で他社に遅れをとっていたが、他社の技術者を引き抜くなどの挽回策で2000年代に安全技術が飛躍的に向上した。また、ホンダは“普通車と差をつけない”として、フレームの構造を限りなく普通車に近づけている。その分、新車で約140万円からと軽自動車としては比較的値段が高い」

 ランキングに登場する車種を製造する全メーカーに取材したところ、各メーカーはNASVAの評価を概ね肯定的にとらえている。

「公正な方法で試験・評価をされたものであり、妥当と考えます」(スバル広報部)

「ある一定条件下での比較として、妥当な評価基準であると考えています」(日産ジャパンコミュニケーション部)

 だが、試験では“すべての事故”を再現できるわけではない。実際に事故が起きた場合の安全性という面では課題があるという。

「実験結果として安全性能が高くても、現実の事故ではエアバッグの圧力が強すぎて乗員が怪我をするなど、想定外の事態が起きます。たとえ最高クラスでも当たり所が悪ければ、車は潰れる。得点の高さはあくまで一定条件下でのものと踏まえる必要があります。

 また、近年は自動ブレーキや車両感知システムなど『事故を未然に防ぐ技術の開発』が自動車業界の新たなテーマとなっている。自動車の安全性能を測るうえで、今後は衝突安全だけなく『予防安全性能』の評価も点数に加える必要が出てきています」(福田氏)

 事故を絶対に起こさないとはいえない以上、「運転事故で命を落としたくない」「誰かを傷つけたくない」というのは全ドライバー共通の願い。安全性を見極める手がかりとして役立てたい。

※週刊ポスト2018年10月12・19日号

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