大前研一氏 日本人は「もう○歳だから」は禁句にすべき

大前研一氏 日本人は「もう○歳だから」は禁句にすべき

大前氏が年齢に縛られない働き方について語る

 新しいことにチャレンジする前に自分の行動を抑制してしまう「メンタルブロック」は厄介なものだが、この考え方を捨て去れば転職、副業、起業といった第二の仕事にも挑戦できる。経営コンサルタントの大前研一氏が、メンタルブロックがない成功例について紹介し、年齢に縛られない働き方について解説する。

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 そもそも日本人は年齢についてもメンタルブロックがあり、中高年になると新しい仕事にチャレンジしない傾向が極めて強い。しかし、「もう○歳だから」は禁句にすべきだと思う。このメンタルブロックを外せば、第二、第三の仕事に挑戦できるはずだからである。

 その好例が、私が学長を務めているBBT(ビジネス・ブレークスルー)大学・大学院の教授の1人で、今年傘寿(80歳)を迎えた廣瀬光雄さんだ。

 廣瀬さんは大日本印刷アメリカ法人の社長、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人代表取締役社長を務めて定年退職したが、日本のゴルフ場が次々につぶれていく惨状を見て一念発起し、学生時代からの友人であるジャック・ニクラウスの「ゴルフ場は束ねれば束ねるほど経営が効率的になって儲かる」というアドバイスを基に事業計画を作り、「PGM(パシフィック・ゴルフ・マネージメント)」を創業した。そして倒産したゴルフ場を次々に買収し、いきなり東証一部上場を果たしたのである。

 廣瀬さんは引退後、PGMのほかに医療情報ポータルサイトを運営する「ケアネット」、企業コンサルティング会社「マベリックジャパン」の2社を設立し、ケアネットも東証マザーズに上場している。廣瀬さんは日本における“シニア起業の神様”と言えるだろう。

 廣瀬さんのようになるためには常に新しいことを学び続け、新しい出会いからネットワークを広げていかねばならないが、そもそも日本は社会人になってから高等教育機関で学び直す人が非常に少ない。文部科学省の調査によれば、大学入学者に占める25歳以上の割合は、わずか1.9%である。OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均が18.1%だから、日本の低さは際立っている。

 たしかに日本の経営大学院の中には、いつまでたってもハーバード大学やスタンフォード大学が作った古くさいケーススタディを教えているところもある。そんな大学院で学んでも何の足しにもならない。また、日本企業には単に昔取った杵柄で、新しい世の中の動きに無頓着なままトップに居座り続けている怠惰な経営者も少なくない。それは「老害」でしかないだろう。

 だが、廣瀬さんのようにメンタルブロックにとらわれずに日々新たな勉強を続けていれば、転職や副業はもちろん、シニア起業も可能になるのだ。40代、50代でも決して遅くはない。ぜひ学び直して新しいスキルを身につけ、「人生100年時代」を豊かで充実したものにしていただきたい。

※週刊ポスト2017年12月22日号

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