ライフネット生命出口会長「お金は楽しいことだけに使うべし」

ライフネット生命出口会長「お金は楽しいことだけに使うべし」

働き方やお金との付き合い方など、さまざまなテーマで講演や執筆活動などを行う

「若い人たちが心おきなく人生にチャレンジできるよう、わかりやすくて、安くて、便利な生命保険をつくろう」

その志を胸に、還暦を目前に生命保険会社「ライフネット生命」を立ち上げた出口治明さん。起業後はSNSやメールを通じて次世代の「生の声」に耳を傾け、最近では『働く君に伝えたい「お金の教養」』(ポプラ社)を上梓するなど、「若者の人生とお金」に対する思いが深い。

スペシャリストとしてお金との付き合い方を指南する出口さんだが、私たちと同じ30代の頃、どんなお金の使い方をしていたのだろうか。当時を振り返ってもらった。

●部下より貯金が少なかった!?

出口さんが保険会社の中堅社員として働いていた1970年代後半〜1980年代後半は、日本経済が右肩上がりで、明るいムードに満ちていたという。

「当時、貯金はほとんどしていなかったですね。おおらかな時代でしたから、昔は給与明細が会社の自席に配られて、自由に人の明細を見ることもできた。当時社内預金と呼ばれる、銀行よりも高い金利を付けてくれる制度がありました。だから、明細でその人の預金状況もわかるんです。ある時、僕が外出先から帰ってくると、部下が僕の給与明細を見ていて『出口さん、僕より預金が少なくてどうするんですか』って注意を受けたことがあります(笑)」

●お金は楽しいことに使い、それ以外は財布の紐を締める

だからといって、やみくもに散財していたわけではない。結婚資金など目的のある貯金はした上で、出口さんならではのお金の使い方をしていたという。

「お金は、自分が『楽しい』と思うことにしか使わないと決めていました。給与として入ってくるお金が一定のなか、どう楽しいことに使うかルールを定めていました。それが『オールオアナッシング』です。本や旅、観劇など、興味のあることにはお金をバンっと出し、そうでないことにはできる限り使いませんでしたね」

このポリシーは、出口さんの大学時代の経験が大きく影響しているという。

「学生時代は京都で過ごしていたのですが、街の至るところにおいしいと評判の飲食店がありました。料金を見ると、一人5000円くらい。奨学金やアルバイトをして生活していた学生ですから、なかなか行けないですよね。でも、どうしたら行けるかを考え、普段の食費を生協の学食などで安く抑える代わりに、その浮いたお金で1カ月に1回、最高レベルの食に触れることにしました。たとえ毎日の食事が質素でも、その1回を食べられる方が僕にとっては楽しかったのです」

●貸した金は返ってくると思わない方がいい

出口さんいわく、「死ぬ時にお金を持っていても無駄なのだから、どんどん使った方がいい。悔いなし、遺産なしがベスト」とのこと。また、お金を楽しいことに使えば、穏やかな気持ちでお金に向き合えるのだとか。

「会社に入った頃、先輩からの金言で『人に貸すお金、株を買うお金、異性にプレゼントするお金は返ってくると思うな』と教わったんです。たとえ誰かにお金を貸しても、そういうもんだと思っていれば腹は立たない。しかも、僕は楽しいことにお金を使うと決めていたから、貸したお金も自分が出したいと思ったから出す。返ってこなくても嫌な気持ちにはなりません」

ちなみに、会社に勤めていた時代、出口さんにもほほえましい失敗エピソードがある。

「午前中に上司とケンカして、イライラした気持ちを落ち着けようと、おいしいランチを食べに行ったんです。部下に『おごるから行こうぜ』と言って、3人くらい連れて。4人でお腹いっぱいお寿司を食べて、いざお会計の時に財布を見たら、お金が足りない! 慌てて、外で待っていた部下に『すまん…』と言ってお金を借りました。このお金は、あとでちゃんと返しましたよ(笑)」

南澤悠佳(ノオト)=取材・文
林 和也=撮影


※当記事は2016年09月14日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。

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