「男性=下痢がち」なのは、体型が原因!?

「男性=下痢がち」なのは、体型が原因!?

IBSは、血液検査や便潜血検査などの検査をしても異常がみられないという。心当たりのある人は、早めに消化器科、胃腸科、心療内科を受診しよう 写真:node / PIXTA(ピクスタ)

プレゼン前にお腹がゆるくなった経験はないだろうか?緊張や不安など、日常のストレスによって引き起こされるお腹の不調は過敏性腸症候群(以下、IBS)といい、近年注目を集めている。実は、女性によくみられる便秘もIBSの症状のひとつであることが多いとか。その一方で、IBSには未だ解明されていない部分も大きいという。そこで、みらいメディカルクリニック茗荷谷の医師・松本昌和先生に、IBSについて話を聞いた。

●20〜30代の働き盛りに多い「IBS」
「IBSは、働き盛りの男女を悩ませる深刻な問題のひとつ。ストレスが原因で便通の不調を引き起こす疾患です。そのタイプには、主に『下痢型』『便秘型』、下痢と便秘を繰り返す『混合型』の3つがあります。世界の人口に対し有病率は10%ほどですが、20〜30代の若年者の有病率が高く、加齢に伴い減少していく傾向にあります。これは日本においても同じです」(松本先生、以下同)

若年層の男女だと有病率が11.0%に達するというIBS。複数の研究結果の統計によると、男性は下痢型が多く、女性には便秘型が多いとの数字が出ている。※機能性消化管疾患診療ガイドライン2014―過敏性腸症候群(IBS)より

「日本を含めた世界の統計データによると、女性のIBS有病率は男性の1.6倍です」

なお、日本医療データセンターが2013年に発表したデータでは、男性の患者数は2005年の45万9734人に対し、7年後の2012年には97万1397人に増加しているという。

つまり、誰にとっても他人事とはいえない疾患になってきているということだ。そして、前述の通り同じ有病者でも、その症状には性差がある。

●「男性=下痢、女性=便秘」なのはなぜ?
市販薬のCMでも下痢止め薬=男性向け、便秘薬=女性向けといったイメージはとても強い。事実、IBSの統計でも同様の結果が出ている。何ゆえこのような性差が生まれるのだろうか?

「男女で症状が異なるメカニズムに関しては、諸説ありますが、現状では“体型”、“セロトニンの量とホルモン”という2つの説が有力です」と松本先生。以下の2説を教えてもらった。

(1)男女の筋・骨格・構造による違い
「女性は子宮が骨盤内にあるために男性よりも骨盤が広い。また、筋肉量が少ないので腸が下がりやすい構造になっています。このような体型の特徴から、腸や便の動きを阻害して便秘になる傾向があります。一方、男性は女性とは逆の構造(子宮がない、筋肉量が多く腸が上がりやすい)のため、腸の動きが活発になり、下痢になりやすいと考えられています。この説はIBSにかかわらず、お腹の不調の出方そのものと関係している可能性があります」

(2)神経伝達物質セロトニンの量や、ストレスホルモンの分泌に関連する差
「脳が腸の運動を活性化させる際に分泌されるのが、脳内のセロトニンという神経伝達物質です。ストレスがかかるとセロトニンが分泌され、腸のセロトニン受容体に結合すると下痢を引き起こします。元々女性は男性に比べてセロトニンの分泌量が少ない(セロトニントランスポーターというセロトニンの再吸収にかかわる物質の発現量に差がある)のもまた、IBSの有病率や症状の違いに関係している、ともいわれています」

また、男性に多い下痢型IBSの発症には、あるホルモンと深いかかわりがあるという。

「極度の緊張や腸内環境の悪化などのストレスを感じると、脳の視床下部から『CRH』というストレス関連のホルモンが分泌されます。このCRHは下痢型のIBSを発症するという報告があります」

なお、IBSを発症した場合、どのようなことに気をつければよいだろう?

「アルコールやコーヒーなどの飲み物のほか、香辛料や脂質の多い食事も腸の刺激になります。そのほか、精神的ストレスを和らげる必要もありますね。男性は運動でストレスを発散する場合があるでしょうが、激しすぎるスポーツは精神的に負荷になる可能性があるのでNG。ヨガやウォーキング、適度なジム通いなど、無理なく続けられるものがおすすめです」

一方女性は、おしゃべりやスキンシップによってストレスが減少するとか。症状の男女差同様、ストレス発散方法も男女ともに異なるようだ。個人に合った解決策を見つけてみては?

(大貫未来/清談社)


※当記事は2016年10月19日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。

関連記事(外部サイト)