自動車税、減税なるか より公平な税負担 問題は代替財源

自動車税、減税なるか より公平な税負担 問題は代替財源

日本は諸外国に比べ、「自動車を持っているだけでかかる税金」が高い(画像出典:日本自動車工業会)。

2017年度より、自動車税の初年度分が免税になるという報道がありました。2015年に引き上げられた軽自動車税と対照的ですが、そこには税負担の公平化という狙いもあるようです。しかし、そもそも本当に実現できるのでしょうか。

自動車税が減税へ 税負担はより公平に?

 2016年8月下旬、「経済産業省が来年度から、自動車税について抜本的な負担軽減を求める方針」との報道がありました。具体的には、「来年4月以降に普通車を買った場合、初年度の自動車税を免じ、2年目以降も税率を排気量1000cc以下の車で3分の2程度に引き下げる」という内容です。

 経産省に真偽を確かめたところ、「『2017年4月以降に普通車を買った消費者は、初年度の自動車税を免じる』に関しては事実で、省として要望していきます。『2年目以降も税率を排気量1000cc以下の車で3分の2程度に引き下げる』については不明です」とのことでした。

 いずれにせよ経済産業省としては、経済を活性化するために普通車の税負担を軽くして、需要を喚起したい意向のようです。

 自動車税は、普通車の持ち主が毎年2万9500円から11万1000円(排気量別で10段階)収める税金です。持っているだけでかかる「保有税」の一種ですが、日本はこの自動車の保有税負担が世界的に突出して高いといわれています。

 ただし軽自動車税は年1万800円と、1000cc以下の普通車の約3分の1。軽自動車は居住性や加速性などの改善が著しく、いまや1000ccクラスの小型車と性能的にほとんど差がなくなっています。なのに税負担がこれほど違うのは、確かに不合理です。

軽と普通で違う納税先、減税で「割を食う」のは…?

 2015年4月、軽自動車税が7200円/年から1万800円/年に値上げされましたが、今回は逆に1000cc以下の普通車(コンパクトカー)の税金を下げるとすれば、税負担の公平性の見地から正しい方向だといえるでしょう。

 また、軽自動車は基本的に国内専用ですが、1000ccクラスの普通車はワールドワイドで量販が見込めます。日本自動車産業の国際競争力向上のためには、軽よりもコンパクトカーを優遇した方が得策という見方もできるかと思います。

 ところでこの減税策、実現できるのでしょうか。

 自動車税は、都道府県に収める地方税ですが、総額で年間約1兆5000億円にも達しており、都道府県にとって貴重な自主財源になっています。これを一方的に下げろといわれても、財政状況の厳しい地方県にすれば、「はいそうですか」とはのめないでしょう。

 昨年から値上げされた軽自動車税も地方税ですが、こちらは市区町村に収めるもの。「軽自動車税を上げたんだからいいじゃないか」でスンナリ行くものでもありません。地方県の立場としては「自動車税を下げるなら、代わりの財源をよこせ」と言いたいはずです。

 では、代わりに上げられそうな税金はあるでしょうか。

実は安い「燃料税」、しかし…税制改革は一利一害?

 自動車関連で真っ先に候補になりそうなのは、エコカー減税の縮小ですが、それではプラスマイナスゼロ。自動車の需要喚起にはなりません。

 続いて候補になるのは燃料税(揮発油税や軽油引取税)です。実は日本は、燃料税に関しては先進諸国のなかで安いほうだからです。日本の燃料税は、ガソリンが48.6円/L、軽油が32.1円/Lです。アメリカは例外的にバカ安ですが、欧州諸国はガソリンや軽油におおむね90円前後/Lの税金を課しています。

 燃料税を含めると、自動車所有者の平均納税額は、日本より欧州諸国のほうがおしなべて高くなります。「日本の自動車諸税は世界的に見て猛烈に高い」という説がありますが、実は高いのは保有税だけで、購入時にかかる税や燃料税は高くないのです。

 持っているだけで課税される保有税を下げて、走った分だけ課税される燃料税を上げたほうが、省エネに直結するという見方もできるでしょう。

 しかしこれを実行すると、走行距離の長い運送業界にとって大打撃となります。ただでさえ経営が苦しく、ドライバーの低賃金重労働が問題になっている運送業界としては、これまた到底受け入れられないでしょう。

 では地方県に泣いてもらって、自動車税を下げるだけがベストなのかというと、そのぶんクルマがないとどこにも行けない“クルマ社会”化が加速し、地方の公共交通機関をさらに衰退させる面もあります。

 結局八方ふさがりで、いい解決策は見つかりませんが、税制は国のあり方を決めるもの。日本をどんな国にしたいのか、その理念によって税制を決めるべき――としかいいようがありません。

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