新幹線と縁が深いミネラルウォーター 国鉄が始めJRが受け継いだ水の商い

新幹線と縁が深いミネラルウォーター 国鉄が始めJRが受け継いだ水の商い

1982年に大宮〜新潟間が開業した上越新幹線(2011年11月、恵 知仁撮影)。

さまざまな商品が販売されているミネラルウオーターですが、そのなかには新幹線と縁が深いものも存在。その歴史は国鉄時代にさかのぼります。普段、知らずに飲んでいるかもしれません。

新幹線のトンネル工事で

 さまざまな種類があるミネラルウオーター。そのなかには、新幹線と縁が深いものもあります。JR東日本の駅にある自動販売機や店舗などで販売されている「From AQUA」です。同社グループのJR東日本ウォータービジネスの商品ですが、単に「JRが扱っているから新幹線と縁が深い」というわけではありません。

 この「From AQUA」は群馬、新潟県境にそびえ、「日本百名山」として知られる谷川連峰(谷川岳)から湧き出た天然水。「From AQUA」はルーツが、その谷川連峰の下を通って東京と新潟を結ぶ上越新幹線のトンネルにあるのです。

 上毛高原駅(群馬県みなかみ町)と越後湯沢駅(新潟県湯沢町)とのあいだにある、長さ22.2kmの上越新幹線・大清水(だいしみず)トンネル。1971(昭和46)年からその工事が始められますが、1978(昭和53)年8月、そこで毎分33トンにもおよぶ凄まじい出水が発生。トンネル工事の大きな障害になってしまいます。

 それを克服し、大清水トンネルは1979(昭和54)年に完成。障害になった湧水は融雪作業で使われるようになりますが、ここで作業スタッフが“あること”を発見していたそうです。

国鉄が水を調査した結果…

 上越新幹線の大清水トンネル内で、作業スタッフが発見していたこと。それは「その湧水がおいしいこと」だったそうです。

 これを受けて国鉄(当時)は、谷川連峰の天然水を商品にすることを企画。水質調査を実施したところ、大清水トンネルの上にある谷川岳に降った雨や雪融け水が、様々な地層を通り抜け、おいしい水になって湧き出ていることが判明したといいます。

 ちなみに、大清水トンネルと並行するように在来線(上越線)の清水トンネルも谷川連峰の下を通過しており、川端康成の小説『雪国』冒頭にある「国境の長いトンネル」は、この清水トンネルのこととも。

 さて、この谷川連峰の天然水、1984(昭和59)年にまず群馬県内で販売が開始されますが、そのとき、商品名は「From AQUA」ではありませんでした。

「゛」がない水、それが意味することとは?

 この谷川連峰の天然水を使った商品名は当初、「大清水(おおしみず)」というものでした。ルーツである大清水トンネルの読みかたは「だいしみず」ですが、「おいしい水」と語呂をあわせるため、そして濁点を省くことで「にごりのない水」という意味を込め、ネーミングされたそうです。

 天然水「大清水」に関する事業は、1987(昭和62)年の国鉄分割民営化にともないJR東日本へ移管され、そののちJR東日本の子会社であるジェイアール高崎商事をへて、JR東日本ウォータービジネスへと移りました。そして2007(平成19)年、「大清水」は「From AQUA」へリニューアル。現在にいたります。

 また、上越新幹線の大清水トンネルにルーツをもつ湧水は、「From AQUA」以外にもペットボトル緑茶「朝の茶事」で使用されています。

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