夜行列車が東急、東京メトロ、西武線を走る 史上初 目的地は運に左右される場所(写真21枚)

東京メトロ副都心線と東急東横線、横浜高速鉄道みなとみらい線の"夜行列車"を西武運行

記事まとめ

  • 東京メトロ副都心線と東急東横線、横浜高速鉄道みなとみらい線を"夜行列車"が運行
  • 西武鉄道が各社の協力のもと、元町・中華街駅から西武秩父駅まで運行したもの
  • 元町・中華街〜西武秩父間では土休日に40000系電車によって"S-TRAIN"が運行されている

夜行列車が東急、東京メトロ、西武線を走る 史上初 目的地は運に左右される場所(写真21枚)

夜行列車が東急、東京メトロ、西武線を走る 史上初 目的地は運に左右される場所(写真21枚)

東京メトロ線、東急線経由で横浜から秩父に到着した夜行列車(2017年5月27日、恵 知仁撮影)。

東急線、東京メトロ線などを経由する、「史上初」という夜行列車が走行。その列車へ乗車して「運に左右される目的地」へ向かい、「夜行列車の醍醐味」を体験しました。

横浜から秩父まで、4社直通運転の夜行列車

 東京メトロ副都心線と東急東横線、横浜高速鉄道みなとみらい線を経由するという珍しい“夜行列車”が、2017年5月26日(金)から27日(土)にかけて運転されました。西武鉄道が直通運転を行っている先述各社の協力のもと、元町・中華街駅(横浜市中区)から西武秩父駅(埼玉県秩父市)まで運行したもので、到着した秩父で星空や夜明けの雲海などを楽しもうという「元町・中華街駅発の夜行列車で行く秩父絶景ツアー」の一環で走ったものです。

 こうしたルートの夜行列車運転は今回が初めて。東京メトロ副都心線と東急東横線、横浜高速鉄道みなとみらい線に夜行列車が走ったこと自体、これが初めてでしょう。そんな貴重な列車へ、実際に乗車しました。

 22時16分、元町・中華街駅の2番線に夜行列車が入線してきました。使用される車両は、今年3月25日にデビューしたばかりの西武40000系電車です。座席を窓と平行の「ロングシート」、2人掛けの「クロスシート」に転換でき、通常は混雑に強いロングシート、有料座席指定制の列車「S-TRAIN」として運転するときはクロスシートと、目的に合わせて設備を変化させられるのが特徴のひとつ。今回の夜行列車は、クロスシート状態での運転です。

 この夜行列車は団体専用。間違って乗ってしまうことなどがないよう、一部の扉だけ係員の手により開かれ、待ち受けていた乗客たちは車内へ。そして22時21分、「史上初の夜行列車」は西武秩父駅に向けて発車しました。

 なお、夜行列車と同じ元町・中華街〜西武秩父間では、土休日に同じく40000系電車によって有料座席指定制の列車「S-TRAIN」が行楽向けに運行されており、埼玉方面から渋谷、自由が丘、横浜方面へ、また横浜方面から秩父方面へ乗り換えなし、着席して移動することが可能。車内にお手洗いもあります。

 また40000系電車を使った「S-TRAIN」、平日は所沢〜豊洲間で運転されており、着席での通勤・通学を提供しています。

「夜行列車」らしい車内放送 「星座早見盤」の説明も

「この列車は団体専用の夜行列車です。深夜1時25分に西武秩父駅に到着します。史上初の運行となる、元町・中華街発西武秩父行きの夜行列車の優雅な時間をどうぞお楽しみください」

 そうしたアナウンスが流れるなか、列車はみなとみらい線を走行。合わせてスピーカーから流れる「車内照明は練馬駅発車後に半減します」という放送に、「夜行列車」を感じます。

 夜行列車は22時28分ごろ、横浜駅に到着。みなとみらい線から、東急東横線に入ります。そして渋谷駅から東京メトロ副都心線、小竹向原駅(東京都練馬区)から西武有楽町線へ入り、日付が変わった5月27日(土)の0時02分ごろ、練馬駅へ到着。同駅を発車し、西武池袋線を走り始めてほどなく、“予告”どおり車内の照明が少々暗くなりました。

 また0時30分過ぎ、所沢駅(埼玉県所沢市)を通過したのち、こんな車内放送が。

「これより到着のおよそ10分前まで、放送を控えさせていただきます」

 これも「夜行列車」らしさを感じさせます。

 なお車内放送では、天体望遠鏡で知られる(株)ビクセンの「星のソムリエ」により、秩父での「スターパーティー(星空鑑賞会)」で用いる「星座早見盤」(車内で配布)についての説明も実施されました。

 また、この夜行列車は途中、東急東横線の菊名駅や日吉駅、西武池袋線の飯能駅などにも運行上の理由から停車していますが、乗車は元町・中華街駅のほか東横線の多摩川駅(東京都大田区)、西武池袋線の練馬駅(東京都練馬区)、ひばりヶ丘駅(東京都西東京市)のみで行われています。西武鉄道によると、今回の夜行列車は乗客およそ220人とのこと。

 さて、始発駅の元町・中華街駅からおよそ3時間が経過。時計の針が午前1時を回って、終点の西武秩父駅が近づいてきます。しかしここでひとつ、不安なことがありました。

「夜行列車の醍醐味(だいごみ)」を感じた三峯神社

 この列車は、到着した秩父で星空や夜明けの雲海などを楽しもうという「元町・中華街駅発の夜行列車で行く秩父絶景ツアー」の一環で走ったもの。不安なこと、それは天気です。

 横瀬駅(埼玉県横瀬町)を通過したところで車内の照明が通常に戻ると、まもなく終点の西武秩父駅。同駅から貸切バスに乗り換えて、標高1102mの三峯神社に移動、星空と雲海を鑑賞する予定……なのですが、西武秩父駅は霧雨模様。ただ、天気予報は回復方向で、時刻は午前1時半。まだ星空鑑賞まで1時間半、夜明けの雲海まで3時間あります。

 しかし、それから1時間少々で到着した「スターパーティー(星空鑑賞会)」を行う予定の三峯神社駐車場は小雨が降っており、残念ながら星が見える状況ではありません。

 とはいえ、まだ夜明けまでは1時間半あります。天気は、回復していく方向です。予報では。

 日が差し込むことなく、明るくなっていく風景。広がる白い世界……。自然のことですから、仕方がありません。

 幸い、雨は傘がなくてもなんとかなる程度。早朝の、肺を洗うような瑞々しい山の空気、幽玄な風景、これはこれで情緒があります。「夜に移動し、朝一番から楽しめる」夜行列車だからこそ味わえる、旅のひとときです。その後、ツアー参加者たちは朝食をとったのち、祈祷を受け、霧にかすむ三峯神社をあとにしました。

 ちなみに、三峯神社と西武鉄道の共同調査によると、昨年(2016年)5月の三峯神社における雲海の発生率は54.8%。2016年1年間では34.2%だったそうです。

【地図】夜行列車の運行ルート

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