戦闘機がミサイル撃ち放題? アーセナル・プレーンで現実はゲームに追いつくのか

戦闘機がミサイル撃ち放題? アーセナル・プレーンで現実はゲームに追いつくのか

「アーセナル・プレーン」コンセプトにおける想像図。大量のミサイル・誘導爆弾を搭載し滞空、ネットワークを通じて自由に友軍が射撃する(画像:アメリカ国防総省)。

戦闘機のミサイルを撃ち放題にする「アーセナル・プレーン」というコンセプトがあります。高度にネットワーク化した現代の空戦を、またひとつ進化させるかもしれません。

サッカーチームと同じ「アーセナル」を名乗る飛行機

 アメリカ軍は、近い将来の実用化を目指した新しい軍用機のコンセプト「アーセナル・プレーン」の開発を計画しています。

 アーセナル・プレーン計画は2016年2月、アメリカ国防総省によって公表されました。その名の「プレーン」とは飛行機の意ですが、一方の「アーセナル(Arsenal)」は、サッカーファン以外では日常生活においてまず耳にすることがない、なじみの薄い英単語です。

 強豪として知られるイギリスのサッカーチーム「アーセナルFC」の名は、もともと王立兵器廠(ロイヤル・アーセナル)の労働者らによるサッカーチームとして創設されたことに由来するそうですが、アーセナル・プレーンもまた「空中の兵器工場・弾薬庫」と呼べる航空機となることが見込まれています。

 実のところアーセナル・プレーンは、新しい軍用機とはいっても見た目上は何も目新しくありません。ひどく単純に言ってしまえば、アーセナル・プレーンとは「大きい飛行機にたくさんのミサイルを積み込む」ただそれだけであり、実際に既存のボーイング777やC-17輸送機、B-52戦略爆撃機、C-130輸送機が原型となるのではないかと推測されます。とはいえその搭載量は「アーセナル」の名にふさわしく、大型機を原型とするならば空対空ミサイル・空対地ミサイルを50から100発ほど携行することを見込みます。

空戦の常識を変える「ミサイル撃ち放題」というコンセプト

 従来から存在する爆撃機とアーセナル・プレーンにおける最大の違いは、大量に搭載した兵装は自機が使うためのものではなく、ネットワークシステムを通じて友軍が発射するために搭載しているという点にあります。

 例えばF-35戦闘機は高い情報収集能力とステルス性を持っていますが、搭載量はあまり大きくありません。そこで背後にアーセナル・プレーンを控えさせておき、必要に応じて照準情報と射撃コマンドを送信するようにすれば、F-35はアーセナル・プレーンが搭載する兵装を仮想的に自分のものとして使うことができ、F-35の搭載量は事実上無制限に拡張されたものと見なすことができるようになります。

 またアーセナル・プレーンの恩恵が受けられるのは戦闘機だけではありません。たとえば非武装のドローンがテロリストの幹部を発見した場合、その場所に対して即座に攻撃を行えるようになりますし、さらには最前線において戦う地上部隊も、人力や車両では持ち運ぶことが困難な強力な航空用爆弾を、いくらでも直接敵に撃ち込むことができます。

コンセプトは半ば実現しているも…?

 アメリカ空軍のB-1BやB-52Hといった現代型の爆撃機は、すでにこうしたアーセナル・プレーンのような能力を一部達成しており、イラクやアフガニスタンにおいて実戦投入されその有効性を実証しています。ゆえに既存の機体をアーセナル・プレーン化すること自体はそれほど困難ではないと思われます。

 事実、2016年2月には2017米会計年度(2017年10月以降)においてアーセナル・プレーンの開発予算が組まれると公式に発表されました。しかしその後続報はなく、実際に今年中のスタートとなるかどうかは現在のところ不明です。

 かつて冷戦時代、ボーイング747ジャンボジェットの機内に核弾頭巡航ミサイルを72発搭載した「CMCA(巡航ミサイル空中空母)」計画なる開発案がありました。結局CMCAはコンセプト倒れに終わってしまいましたが、目的こそ違えどそれを彷彿とさせる空中の弾薬庫、アーセナル・プレーン開発の動向には注目したいところです。

【画像】F-15もアーセナル・プレーンに?

関連記事(外部サイト)