「JR最高」で宇宙も楽しめる観光列車「HIGH RAIL 1375」デビュー その特徴は?(写真38枚)

「JR最高」で宇宙も楽しめる観光列車「HIGH RAIL 1375」デビュー その特徴は?(写真38枚)

「HIGH RAIL 1375」の運行開始にともない、小淵沢駅で出発セレモニーが開催された(2017年7月1日、恵 知仁撮影)。

あることで「JR最高」の観光列車「HIGH RAIL 1375」が、JR東日本の小海線に登場。路線や沿線の特徴を生かし、「宇宙」や旬の味覚などを楽しめるのもポイントです。その車内やサービスを解説します。

JR線でもっとも空に近い場所を走行

“JR最高”が特徴のひとつである観光列車が2017年7月1日(土)、運行を開始しました。JR東日本が送り出す「のってたのしい列車」のひとつ「HIGH RAIL 1375(ハイレール・イチサンナナゴ)」です。今年7月から9月まで開催される観光キャンペーン「信州デスティネーションキャンペーン(信州DC)」に合わせて登場しました。

 この「HIGH RAIL 1375」が運行される、山梨県北杜市の小淵沢駅と長野県小諸市の小諸駅を結ぶ小海線(78.9km)は、JR線でもっとも標高が高い地点を走行。列車の名前はこのことに由来しており、「1375」は小海線の清里〜野辺山間にある「JR鉄道最高地点」の標高です。

 ちなみに、JR線で標高がもっとも高い場所にある駅は、小海線の野辺山駅(長野県南牧村)で1345m。標高が高い場所にあるJR駅トップ10のうち、実に9駅が小海線で、同線にはその車窓からもよく見える「八ヶ岳高原線」という愛称がつけられています。

 そんな“JR最高”が特徴のひとつである「HIGH RAIL 1375」のコンセプトは「天空にいちばん近い列車」で、実際にJR線でもっとも空に近い場所を走ります。車内空間は「小海線沿線の豊かな実りを育む『大地』から思いをはせる『空』『宇宙』へのつながり」「大人には少しノスタルジック」「子どもにはワクワク」なものにしたといい、内外装、提供される料理ともそうしたさまざまな仕掛けがされているほか、“実際に「宇宙」を楽しめる”のも、この「HIGH RAIL 1375」の特徴です。

あえて夜に走る観光列車「HIGH RAIL」、その当然なワケとは

「HIGH RAIL 1375」による列車は、小淵沢10時30分発の中込行き臨時快速「HIGH RAIL 1号」、小諸14時22分発の小淵沢行き臨時快速「HIGH RAIL 2号」、そして小淵沢18時20分発の小諸行き臨時快速「HIGH RAIL 星空」の3本が運行され、「星空」では途中、実際に宇宙を楽しみます。

「星空」は野辺山駅に約1時間停車。そのとき駅前の公園にて、「星空案内人」が眼前に広がる宇宙を解説してくれるのです。野辺山は国立天文台がおかれている場所で、同駅がある長野県南牧村は天文学者が選ぶ「日本で一番綺麗な星空ベスト3」に入った場所。雨天時は、屋内で星空映像の上映会が行われます。

「HIGH RAIL 1375」は内外装、サービスにも「星空」がちりばめられています。

 外装のデザインは、車体をキャンパスに見立て、金属風の質感をベースに、小海線の夜空や車窓を流れる八ヶ岳の山々を描いたもの。ロゴデザインには「JR鉄道最高地点」を走る列車として山々から宇宙までを表現し、天空のロマンとファンタジーのイメージを込めたといいます。

 車内では、座席を星座の柄にしているほか、星をイメージした黄色い枕カバーを採用。2号車の「ギャラリーHIGH RAIL」ではドーム型の天井に星空映像が映し出され、「HIGH RAIL 星空」として走る場合はそこで星空案内人による映像上映会も実施されます(小淵沢〜野辺山間)。また「ギャラリーHIGH RAIL」には約30冊の天文関係書籍が用意され、車内Wi-Fiで小海線沿線から「空」「宇宙」を感じて楽しめるという車内限定オリジナルコンテンツの配信も行われます。

 ちなみに車内Wi-Fiでは、沿線の観光案内やリアルタイムの走行映像も配信され、運転士気分を楽しめるとのこと。インターネット接続はできません。

「HIGH RAIL 1375」の車内、座席は? 1人でもグループでもOK

「HIGH RAIL 1375」は2両編成で、1号車には向かい合わせの4人掛け「BOXシート」(8席)、2人が並んで窓を向き座る「ペアシート」(14席)、窓側に向けられた1人掛けの「シングルシート」(7席)という3タイプの座席を用意。それぞれテーブルがあり、飲食などがしやすい構造です。

 1号車には物販カウンターも用意され、「HIGH RAILコーヒー」や「ポッポ牛乳」「信濃ワイン(赤・白)」「小海線ベーグル」といった飲食物や小海線沿線のお土産、またクッションや星座グラスといった「HIGH RAIL 1375」のオリジナルグッズが販売されます(一部営業しない時間帯もあり)。

 2号車には「ギャラリーHIGH RAIL」と、21席のリクライニングシート、トイレを設置。インテリアデザインは1号車、2号車とも先述した四季の星々をあしらった座席になっているほか、金属風の質感をベースにしたリベット調の窓枠、アート調の装飾を施した黒板風の壁面など随所に意匠をこらし、「ワクワクするような旅の時間」を提供するとのこと。

「HIGH RAIL 1375」はディーゼルカーで、1号車は宮城県の小牛田運輸区に所属していたキハ110系、2号車は盛岡車両センターに所属していたキハ100系を改造して誕生しました(改造後の車番はそれぞれキハ112-711、キハ103-711)。キハ110系、キハ100系ともローカル線の普通列車などに使われていた車両ですが、改造でその姿を大きく変えています。

 ちなみに1号車のキハ110系は1991(平成3)年から2013(平成25)年まで小海線を走っていた車両で、このたび古巣へ帰ってきたことになります。なお改造は、JR東日本の長野総合車両センター(長野市)で行われました。

車内では「高原列車」らしい味覚も 列車によって異なるメニュー

 車内で食事を楽しむこともできます。

 小淵沢発中込行きの「HIGH RAIL 1号」は、オリジナルブランチです。小海線が通っている長野県佐久市の、農林水産省「料理マスターズ」でシルバー賞を受賞した創作料理店「職人館」の館主、北沢正和さんが監修し、同じく佐久市の「Maru Cafe」が調理。佐久で作られたフレッシュチーズと農薬や化学肥料を使わず育てられた野菜のサンドイッチや、旬の野菜や花びらが入ったクラッカー、信州サーモンと地豆を使ったサラダ、そばの実を用いた一品など、その土地ならではの食材が生かされた9品が提供されます。内容は季節により異なり、価格は飲み物(お茶)がついて2500円です。

 小諸発小淵沢行きの「HIGH RAIL 2号」はスイーツ。旬の素材や地元の農産物を生かした菓子作りにこだわる佐久市の老舗和菓子店「和泉屋菓子店」によるスイーツが提供されます。内容は季節によって異なり、価格は飲み物(アイスコーヒーかアイスティー)がついて1500円です。

 夜に小淵沢駅を発車する「HIGH RAIL 星空」は特製弁当。この列車専用の弁当が用意され、オリジナルのブランケットもしくはレジャーシートが付属します。価格は3000円です。

 それぞれ、事前にJR東日本の旅行センター「びゅうプラザ」やおもな旅行会社、インターネットで予約する必要があります。

「HIGH RAIL 1375」は運賃+指定席料金でOK 旅行商品も用意

「HIGH RAIL 1375」による列車は、「信州DC」期間である7月から9月までは60日に180本が運転され、7月21日(金)より8月31日(木)は火曜日を除き週に6日、1日3本が走ります。それ以外の「信州DC」期間中は金曜日と土休日に1日3本の運転。10月以降の運転日は未定です。

 停車駅は小淵沢、清里、野辺山、信濃川上、小海、八千穂、臼田、中込、岩村田、佐久平、小諸。乗車は「HIGH RAIL 1375」を利用する旅行商品の購入ほか、一般の列車と同様に乗車券と合わせ指定席券を購入する形でも可能です。指定席料金は通年で大人820円、子ども410円。6月30日(金)現在で、運行初日の7月1日(土)と翌2日(日)はほぼ満席とのことですが、この先、日にちや列車によってはまだ空席があるそうです。

「HIGH RAIL 1375」の導入目的についてJR東日本長野支社は、「小海線沿線には県内有数の眺望や自然豊かな恵み、文化など多くの観光資源があり、『のってたのしい列車』を導入することで地域の活性化および広域観光流動の拡大を図っていくためとしています。

「内容に磨きをかけて、秋と冬も小海線の列車として定着させていきたいです」(JR東日本長野支社 小堀明夫営業部長)

「これからの観光に欠かせないものです。力を入れて応援していきたいと考えています」(長野県南牧村 大村公之助村長)

 運行開始の7月1日(土)から、車両のイラストや停車駅各駅の標高がわかるオリジナル台紙つき記念入場券が小淵沢駅、清里駅、野辺山駅、小海駅、中込駅、佐久平駅、信濃鉄道小諸駅で発売されており、価格は1590円。合計1375セットの限定発売です。

 また、この「HIGH RAIL 1375」のラッピングレンタカーも登場。9月30日(土)出発分まで、駅レンタカー佐久平営業所(長野県佐久市)に1台が配置され、通常から25%引の12時間まで4050円、24時間5260円という料金で利用できます(免責保証料、オプションは通常料金)。車種はホンダ「フィット」です。

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