熊本の観光特急「あそぼーい!」、地元・阿蘇で運行再開 震災後初、復興の力に(写真20枚)

熊本の観光特急「あそぼーい!」、地元・阿蘇で運行再開 震災後初、復興の力に(写真20枚)

久しぶりに阿蘇へ帰り、幼稚園児や「くまモン」たちから歓迎を受ける観光特急「あそぼーい!」(2017年7月8日、恵 知仁撮影)。

熊本の観光特急「あそぼーい!」が、熊本地震後はじめて地元・阿蘇に復活。鉄道や国道がいまだ一部で不通になっている阿蘇。厳しい状況が続くなか、「あそぼーい!」に大きな期待が集まっています。

熊本市方面は鉄道がいまだ不通 厳しさ続く阿蘇

 JR九州の観光特急「あそぼーい!」が2017年7月8日(土)、その名の由来である熊本・阿蘇での定期的な運行を再開。2016年4月の熊本地震後、はじめてのことです。

 観光特急「あそぼーい!」は2011年6月、豊肥(ほうひ)本線の熊本駅と宮地駅(熊本県阿蘇市)を結ぶ列車として登場。しかし熊本地震で豊肥本線が被災し、その区間での運転ができなくなりました。豊肥本線は現在も熊本市方面と阿蘇方面のあいだ(肥後大津〜阿蘇間)で不通状態が続いており、復旧工事は始まっているものの、いまだ運転再開の見込みはたっていません。

 そうしたなか今回、豊肥本線の熊本駅とは反対側、大分駅方面から走る形で、観光特急「あそぼーい!」が阿蘇へ帰ってきました(震災後、定期的に運行される観光特急「あそぼーい!」は阿蘇を走っていなかったが、団体列車としては走ったことがある)。2017年12月までの金、土、日曜日を中心に、別府〜阿蘇間で1往復、大分〜阿蘇間で1往復、あわせて1日に4本が運行されます。

 JR九州によると、熊本地震で大きな被害を受けた熊本・大分地区は、政府の「九州ふっこう割」などにより少しずつ観光客が戻っているものの、豊肥本線や国道の一部がいまだ復旧していない熊本県の阿蘇地区は、厳しい状況が続いているとのこと。

 また、阿蘇市経済部観光課の秦 美保子課長は「鉄道で熊本市方面から阿蘇へ来られなくなり、インバウンドのお客様が以前のこの時期なら大勢いらしたのですが、いまはとても少なくなりました」と話します。

 そうしたなかJR九州は、阿蘇の復興を観光面で後押ししたい思いなどから今回、豊肥本線の大分側から阿蘇へ観光特急「あそぼーい!」を運行することにしたそうです。阿蘇市観光課の秦課長は「熊本市方面からは難しくても、大分方面からはこの『あそぼーい!』など鉄道で来られることを多くの方に知っていただけると復興の力になる」といいます。

厳しい状況にある九州、「あそぼーい!」帰郷の大きな意味

 阿蘇へ帰ってきた観光特急「あそぼーい!」の一番列車(92号)は、別府駅を9時16分に発車。そして11時30分ごろ、地元の幼稚園児やキャラクター「くまモン」「あか牛くん」たちが出迎えるなか、終点の阿蘇駅に到着しました。そして「あそぼーい!」は11時48分、大勢に見送られ今度は「あそぼーい!91号」大分行きとして阿蘇駅を発車しています。

「『あそぼーい!』が帰ってきて、駅に大勢の観光客が降りたつという以前の“当たり前の光景”がよみがえってきました。復興の元気になります」(阿蘇市経済部観光課 秦 美保子課長)

 また今回、観光特急「あそぼーい!」が“帰郷”するにあたり、一番列車の始発駅である別府駅で出発セレモニーが行われる予定でしたが、2017年7月に福岡・大分県を中心に発生した豪雨災害を受け、中止になっています。

 ただ阿蘇市観光課の秦課長によると、阿蘇駅では、熊本地震で被災したときに応援してもらったこと、被災地である阿蘇から厳しいときにこそ復興に向けた元気を伝えたいという思いから、「あそぼーい!」の歓迎、見送りイベントを行ったそうです。

 なお「あそぼーい!」は熊本地震発生後からこれまで、博多駅と門司港駅(福岡県北九州市)のあいだ、博多駅とハウステンボス駅(長崎県佐世保市)のあいだで運転されていました。

観光特急「あそぼーい!」はどんな列車? 特に「両端」と3号車が個性的

 観光特急「あそぼーい!」は4両編成で、定員127名。その各所に、観光特急らしい仕掛けが用意されています。デザインを担当したのは、豪華寝台列車「ななつ星in九州」などで知られる水戸岡鋭治さん(ドーンデザイン研究所)です。

 編成両端の1号車と4号車は運転席が2階にある構造で、列車の最前部、最後部が展望席の「パノラマシート」になっており、運転士気分で列車の旅を味わうことが可能。4号車にはラウンジも設置されています。

 3号車は親子で楽しめる「ファミリー車両」です。親子が並んで座ることを想定した、子ども用の小さな椅子が常に窓側になる「白いくろちゃんシート」、絵本が集められた図書室、寝転べる和室、木のボールに埋まって遊べる「木のプール」が用意されています。飲食物やグッズなどが購入できる「くろカフェ」には、子ども用の低いカウンターも。

 ちなみに「くろちゃん」は、本名を「あそ くろえもん」という黒い犬のキャラクター。観光特急「あそぼーい!」ではその各所で、くろちゃんが愛嬌を振りまいています。

 2号車には、グループ利用に向く大きなテーブルを備えたボックスシートがあるほか、3号車以外の各車両に、特急の座席として一般的なリクライニングシートが備えられています。車内では客室乗務員がパネルを持って巡回し、記念撮影するサービスも行われます。

 2017年7月8日(土)、阿蘇へ帰ってきた観光特急「あそぼーい!92号」の車内では、「パパが飲んでいる泡が出た飲み物、なんだかわかるかな〜? ビールです。『くろカフェ』には子ども向けのビールもあります。大人気分を楽しんでみませんか?」といった車内放送も。現在、全国各地にさまざまな観光列車が走っていますが、「あそぼーい!」は観光特急らしい非日常性と遊び心を親子で楽しめるのが大きな特徴です。

関連記事(外部サイト)