新幹線の連結・切り離しも再現 鉄道博物館に完成の新「鉄道ジオラマ」、ここがスゴイ!(写真38枚)

新幹線の連結・切り離しも再現 鉄道博物館に完成の新「鉄道ジオラマ」、ここがスゴイ!(写真38枚)

新ジオラマで都市部の中央駅となる「鉄博新都心駅」。JR以外の私鉄車両も多い(2017年7月11日、中島洋平撮影)。

鉄道博物館が開館以来9年ぶりに「鉄道ジオラマ」をリニューアル。新幹線「はやぶさ」「こまち」の連結や切り離し、都市部の緻密なダイヤまで再現されています。また新たに「鉄道文化ギャラリー」や、レストランもオープンします。

バラストの汚れ、線路の「カント」も再現

 鉄道博物館で2007(平成19)年の開館時から展示されてきた「鉄道ジオラマ」が全面リニューアルされ、2017年7月14日(金)にオープンします。これに先立ち11日(火)、約1年をかけて製作された新ジオラマが報道陣に公開されました。

 新しいジオラマは、横幅が約23m、奥行きが約10m。面積は従来のものとほぼ同じですが、仕切りガラスが撤去され、間近で見られるようになっています。車両はもちろん、線路や風景はすべて新規に製作されており、総延長およそ1200mに及ぶ線路にHOゲージの模型車両(新幹線は実寸の87分の1、在来線は80分の1サイズ)が走ります。所有するおよそ1400両のなかから、解説員が運行の特徴などを説明しながら列車を走らせる「解説プログラム」に応じて車両がセレクトされます。

 新幹線では、東北新幹線E5系「はやぶさ」と、秋田新幹線E6系「こまち」の連結や切り離しが再現されるほか、都市部の通勤路線を再現した箇所では、複々線(下り・上り2本ずつの線路)のほか、運転間隔を調整しながら1本の線路に複数の列車を走らせるといった、実際に近い運行を再現。路線は、「新幹線」、都市部の「通勤路線」、都市と郊外を結ぶ「長距離路線」、「貨物線」が各2路線、「地方の単線」「アプト式路線」「スイッチバック線」がそれぞれ1路線の計11路線です。

「たとえば線路が分岐するポイントの周りはレールの下のバラスト(砕石)を少し汚していたり、カーブの外側を少し盛り上げて傾斜(カント)をつけていたりするなど、実際の線路に近い工夫がたくさん盛り込まれています。リアルさを追求することで、模型車両の走行も安定しました」(学芸員 誉田 匠さん)

 風景もリアルさが追求されています。都会のサッカースタジアムに設けられている「オーロラビジョン」には、実際に映像を流すことも可能。駅舎のなかの自動改札機や、高架下の商店など、注意深く見ないとわからないところも再現しているそうです。誉田さんによると、「造形にこだわったのに、ジオラマを組み上げてみたら結局見えなくなった、という点も多数あります」とのこと。

 誉田さんは「ガラスを撤去したことで、容易に触れてしまう部分も多いです。観る人のマナーに期待するところが大きいですが、もしも壊れてしまったら、直していこうというスタンスです」と話します。

駅弁や駅そばの歴史も学べる「鉄道文化ギャラリー」新設

 新ジオラマと同時に、隣接して新たな展示スペース「鉄道文化ギャラリー」もオープンします。鉄道にちなんだ「文学」「映画」「音楽」「絵画」、そして駅弁や駅そばといった「食」の5テーマから、鉄道が創り出した幅広い文化を紹介するコーナーです。

 小説や随筆、マンガなどは約80作品の実物が展示されており、解説端末でそのあらすじや、鉄道が書かれている場面が紹介されます。映像や音楽についても壁面に作品のイメージビジュアルやジャケットが展示され、端末上で解説を読むことが可能。絵画コーナーでは、来館者の選んだ作品がデジタルサイネージに投影されます。

 取り上げられている作品は、たとえば1960年代に発表された三浦綾子さんの小説『塩狩峠』から、現在も連載が続く青山剛昌さんのマンガ『名探偵コナン』といった現在のものまで、幅広くラインアップされています。映画や音楽のコーナーも同様です。

「作品のラインアップは、来館者の年齢層に合わせています。それぞれの解説は、博物館や美術館で見られるような作品論的なものではなく、その作品で鉄道がどう扱われているか、という点に焦点を絞っているのも、ここならではです。『この作品でも鉄道について書かれていたのか』と思っていただけるでしょう」(学芸員 葛西寅彦さん)。

 そしてギャラリーの奥には、駅弁のサンプルが60種類以上展示されており、ガラスケース越しにそれらをタッチすると、モニターに解説が表示されます。これらの駅弁は、「30年以上販売されているもののなかから、エピソードが豊富なものを選んだ」(葛西さん)そうです。また駅弁コーナーの隣には、「そばうどん」ののれんがかかった駅そばカウンターが再現されており、デジタルサイネージによって、駅そばの歴史やうんちくを学べます。

「食堂車」テーマのフルサービスレストランも

 2017年7月14日(金)にはさらに、2階に日本レストランエンタプライズ(NRE)が運営する「トレインレストラン日本食堂」もオープンします。ここはもともと「レストランTD」というセルフサービス式のレストランでしたが、より高級感のある、鉄道博物館で初となるフルサービスのレストランに生まれ変わりました。

 昭和30年代から40年代、寝台列車の食堂車全盛期をイメージしたという同店では、ビーフシチュー(2000円。価格は税込み。以下同)、ハヤシライス(1800円)、ビーフカレー(1600円)など、食堂車で提供されていた料理をさらに「進化」させたメニューが提供されます。料理が盛り付けられる皿や、ナイフ、フォークといった食器も、2015年まで上野〜札幌間で運転されていた寝台特急「北斗星」で実際に使用されたもので、調理スタッフには同列車で腕を振るっていた人もいるそうです。

「当時の食堂車は、NREの前身である日本食堂のほか、帝国ホテルなども営業を担当しており、業者ごとにテーブルクロスの色が決まっていました。当店の白いテーブルクロスの下にかけたアンダークロスの色は、当時、日本食堂が営業を担当した食堂車で使われたクロスの色です」(「トレインレストラン日本食堂」斎藤店長)

「トレインレストラン日本食堂」の席数は140。営業時間は午前11時(土休日は10時30分)から18時までで、ラストオーダーは17時30分です。

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