旧信越本線・横川〜軽井沢間の廃トンネル、弾道ミサイルの避難場所に 自治体どう対応?

旧信越本線・横川〜軽井沢間の廃トンネル、弾道ミサイルの避難場所に 自治体どう対応?

軽井沢駅に残る旧信越本線のホーム跡。避難場所に指定されたトンネルは、ここから横川方面へ約1kmのところにある(画像:pixta)。

1997年に廃止されたJR信越本線の横川〜軽井沢間には、かつて使用されていたトンネルや橋などが姿を残していますが、このうちあるトンネルが、北朝鮮の弾道ミサイル発射を想定した軽井沢町の避難所に指定されました。どのように利用されるのでしょうか。

浅間山の噴火時にも使える

 北陸新幹線としなの鉄道の軽井沢駅(長野県軽井沢町)から東へ約1kmのところにある、旧JR信越本線(横川〜軽井沢間)のトンネルが、北朝鮮の弾道ミサイル発射を想定し、軽井沢町の避難場所に指定されました。

 トンネルは、県境を越えて隣接する群馬県安中市が管理するもので、軽井沢町は2017年8月1日(火)に使用に関する覚書を安中市と交わしています。軽井沢町消防課に話を聞きました。

――なぜ廃トンネルを避難場所に指定したのでしょうか?

 弾道ミサイル発射時には、鉄筋コンクリートの頑丈な建物や地下施設などに避難するよう国が指導していますが、軽井沢町にはそのような施設があまりありません。そこで、「旧信越本線のトンネルがあるじゃないか」という話になり、安中市と協議のうえ、有事の際に軽井沢町民が使えるようにしました。

――トンネルはどこにあり、長さはどれほどで、何人が避難できるのでしょうか?

 横川〜軽井沢間のうち最も軽井沢側のトンネルで、群馬県安中市との境界線上に位置します。上下線それぞれのトンネルがあり、長さはいずれも約400m、幅は4.8mです。ひとりあたりの占有面積を1平方メートルと考えると、2600人ほどが避難できます。

――実際の避難運用はどうするのでしょうか?

 市街地の外れに位置しているうえ、いざミサイルが発射されればわずかな時間で着弾するでしょうから、町民全員をここに避難させる予定ではありません。(町の北西にそびえる)浅間山が噴火した際にも役立つという想定で、あくまで避難場所のひとつとして使えるようにしたということです。

※ ※ ※

 信越本線の横川〜軽井沢間は、1997(平成9)年の北陸新幹線・高崎〜長野間開通にともない廃止されました。日本屈指の急勾配区間であったことから、明治期の開通以来、「アプト式」と呼ばれる特殊な線路が導入されたり、いち早く電化されたりしており、橋やトンネル、発電所といったさまざまな施設が国の重要文化財や近代化産業遺産に指定されています。今回のトンネルは文化財には指定されていませんが、「施設がきれいに残っていたから避難所として使えた」(軽井沢町消防課)と話します。

 軽井沢町は今後、市街地にある鉄筋コンクリート造のホテルなども避難場所として利用できるよう、所有者などと協議を進めるといいます。

ミサイル着弾時、山のトンネルは有効?

 内閣府は弾道ミサイルが発射された場合の行動について、「できる限り頑丈な建物や地下に避難する」として、その「地下」の例に「地下街や地下駅舎などの地下施設」を挙げていますが、内閣府の担当者は、「今回のような山岳トンネルも避難場所として有効」だといいます。

「着弾の可能性が警告された場合には、建物がない場合でも物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守ったり、なるべく窓のない場所に移動してください。これは、着弾そのもののに備えるというより、着弾で起こる爆風や熱風に備えたものです。何もない場所で立ちっぱなしでいるよりは被害を防げると考えています」(内閣府の担当者)

 担当者によると、「避難場所の策定や、避難訓練の実施を自治体に呼びかけており、今後もこのような避難場所の指定は増えると思います」と話します。

【画像】避難場所に指定されたトンネルの位置

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