「電車」が初めて国の重要文化財に JR通勤電車の先祖ナデ6141 生活映す歴史資料

「電車」が初めて国の重要文化財に JR通勤電車の先祖ナデ6141 生活映す歴史資料

2017年9月に国の重文指定を受けた鉄道博物館のナデ6141(2017年10月14日、中島洋平撮影)。

鉄道博物館に収蔵されている1914(大正3)年製の電車「ナデ6141」が、国の重要文化財に指定されました。どのような点が評価されたのでしょうか。

複数車両を連結して走行できる「通勤電車の原型」

 鉄道博物館(さいたま市)で2017年10月14日(土)の「鉄道の日」、同館に収蔵されている電車ナデ6110形6141号(以下、ナデ6141)が国の重要文化財(美術工芸品)に指定されたことを受け、その記念銘板の除幕式が行われました。

 ナデ6141は1914(大正3)年に当時の鉄道院(国有鉄道)新橋工場で製造され、山手線や中央本線といった首都圏の電車区間で使用されました。国有鉄道では初の3扉車で、全長は当時としては大型の約16m。車体の前後に2軸の台車を取り付けたボギー電車としても、現存する国内最古の車両です。

「それまでの電車は30人くらいの定員でしたが、ナデ6110形は定員92人と約3倍の輸送力があります。また、複数の車両を連結し、ひとつの運転台で運行する総括制御方式を初めて採用しました」(鉄道博物館 宮城館長)

 このような特徴から、宮城館長は「ナデ6141はまさに通勤電車の原型」と話します。

国鉄・私鉄を渡り歩いたナデ6141 重文指定の決め手は?

 ナデ6141は1925(大正14)年に国有鉄道から目黒蒲田電鉄(現・東急電鉄)に譲渡され、その後は芝浦製作所、鶴見臨港鉄道(現・JR鶴見線)、日立電鉄(廃線)と移籍。工場の牽引車や、貨車の入換用に使われたこともありました。

 1972(昭和47)年に日立電鉄から当時の国鉄(日本国有鉄道)へ返還され、国鉄大井工場(東京都品川区)での復元・整備工事を経て、現在の鉄道博物館が開館した2007(平成19)年10月14日より、同館で保存、展示されています。

「移籍先の各所で大切に扱ってもらったことが重文指定につながりました」(JR東日本 白石総務部長)

 当時の姿をよくとどめていることも、指定理由のひとつだそうです。文化庁の山崎(「崎」の字は正しくは異体字)文化財部長によると、大正時代における通勤需要の増大を背景に誕生したナデ6141には、「近代の生活を映す歴史資料としての価値」があるといいます。

 鉄道博物館に収蔵されている国の重要文化財はほかに、1号機関車(150形)、鉄道古文書(明治時代における鉄道創業期の公文書群)、1号御料車(初代)の3件がありますが、これらは鉄道博物館の前身である交通博物館の時代に指定されたもの。今回のナデ6141は、鉄道博物館発足後、初めての指定です。

 なお、このナデ6141と同時に、地下鉄博物館(東京都江戸川区)所蔵の「地下鉄車両1001号車」も国の重要文化財に指定されています。「電車」が国の重要文化財となるのは、この2両が初めてです。

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