JAL「コンコルド」の夢再び! 最新技術の超音速旅客機、米西海岸日帰り実現は意外と近い!?

JAL「コンコルド」の夢再び! 最新技術の超音速旅客機、米西海岸日帰り実現は意外と近い!?

羽田空港のJALファーストクラスラウンジに展示されているJALカラーの超音速旅客機、ボーイング2707の模型。実機が日の目を見ることはなかった(2017年7月、恵 知仁撮影)。

巡航速度マッハ2.2、時速換算で2335km/hという超音速旅客機を開発するアメリカのベンチャー企業と、JAL(日本航空)が資本業務提携で合意しました。一度はあきらめた「超音速」の夢、JALはどのように実現するのでしょうか。

赤い「鶴丸」が現在の3倍の速さに?

 現在どの航空会社も運航していない「超音速旅客機」の導入に向け、JAL(日本航空)は2017年12月5日(火)、超音速旅客機の開発を進めるアメリカのBOOM TECHNOLOGY(ブーム・テクノロジー、以下「ブーム」)社と資本業務提携に合意したことを発表しました。

 それによると、JALはブーム社へ1000万ドル(約11億円)の資金を提供するほか、技術面やプロモーションにおいてサポートを行い、20機分の優先発注権を獲得、一方のブーム社は機体の開発と導入サポートなどを担うといいます。

 そのブーム社が開発している超音速旅客機のスピードは、洋上飛行時で巡航速度マッハ2.2、時速に換算すると2335km/hというもの。現在の航空機は時速800km/hから900km/hですので、その3倍近いスピードです。航続距離は8334km、座席は全席ビジネスクラス仕様で45席から55席とのことです。

 JALは今回の提携について、「お客さまへ従来とはまったく違う『時間』を提供できる未来を創造すべく、協業してまいります」としています。

アメリカ西海岸が日帰り可能に!?

 航続距離8334kmというこの超音速旅客機ですが、この数字はどういったラインにあり、どのような運用が考えられるのでしょうか。

 東京からのおおまかな距離でいうと、たとえば西方面だとロシアのモスクワが約7500km、スウェーデンのストックホルムが約8200kmです。東は、アメリカ西海岸のシアトルが約7700km、ロサンゼルスが約8750km、南は、オーストラリアのシドニーが約7800km、メルボルンが約8200kmになります。

 JALによると、たとえば現状で9時間程度を要するアメリカ西海岸は、「超音速旅客機であれば、4時間半から5時間程度で行けるのではないか」と話します。この所要時間であれば、東京からの日帰りも現実味を帯びてくるでしょう。マッハ2.2を出すのは洋上飛行時とされていることからも、太平洋で隔てられたアメリカ西海岸への運航は適しているかもしれません。

 かつての超音速旅客機「コンコルド」も、超音速での飛行はほぼ洋上に限られていました。飛行時の機体から発生する「ソニックブーム」と呼ばれる騒音が、時に地上の窓ガラスを揺さぶるほど強烈だったからです。アメリカでは本土上空での超音速飛行が禁止されていました。

「コンコルド」はイギリスとフランスの企業が共同で開発し、巡航速度マッハ2.02(2145km/h)という超音速旅客機です。初飛行は1969(昭和44)年3月。これに先立つ1968(昭和43)年12月には、ソ連(現・ロシア)で開発されたツポレフTu-144という超音速旅客機が初飛行を遂げていますが、この機材は結局わずかな期間、貨物機としてのみ使われ運航を停止したため、「コンコルド」は実質的に、旅客用として使われた史上唯一の超音速旅客機といえます。

 また、同時期にアメリカでも、「コンコルド」を上回る巡航速度マッハ2.7を目指したボーイング2707が開発されていましたが、先述した「ソニックブーム」の問題などから計画が中止されています。

JALにもあった「コンコルド」導入計画 なぜ断念したのか

 実は、JALでも1960年代に「コンコルド」やボーイング2707の導入が検討されていました。仮発注も行われ、JALの塗装を施した両機の模型も作られたほどでした。

 しかしその後、JALは「コンコルド」の発注をキャンセルし、ボーイング2707は製造元のアメリカで計画そのものが中止されます。「コンコルド」については、ほかの多くの航空会社も同様にキャンセルしたことで、最終的にはブリティッシュ・エアウェイズ、エールフランスの2社に量産機16機が納入され、生産が打ち切られました。その後、同機は2003(平成15)年にすべて退役しましたが、後続はなく、「超音速旅客機」は歴史の表舞台からいったん姿を消します。

「『コンコルド』導入を断念した経緯について、当時の記録は残っておりませんが、燃費が悪く運航コストが高かったこと、高運賃となりながらも客席数が多いことから、恒常的に座席利用率が低くなり、事業として成立しないためと認識しています」(JAL)

 JALは加えて、先述した騒音の大きさや、安全性への懸念についても指摘しています。それがなぜ今回、超音速旅客機の導入を目指すこととなったのでしょうか。

「技術の進歩により、安全で性能が良く、経済性のある機体の実現に挑戦するベンチャー企業が出現したことから、『移動時間短縮』という価値の創造に向け、その可能性を追求したいと考えたためです」(JAL)

 ブーム社が開発する超音速旅客機が技術的に安全を確保でき、かつ経済的にも実現可能と判断したからこそ提携に至ったようです。

 ブーム社はこの超音速旅客機について、2018年度中にデモンストレータ機の飛行を開始するとのこと。実機の就航時期は、早ければ2023年との情報もあります。アメリカ西海岸への日帰り出張が可能になる日は、思ったより早いかもしれません。

【画像】最新技術の超音速旅客機、機内は?

関連記事(外部サイト)