「日本カー・オブ・ザ・イヤー」、ボルボ「XC60」受賞に見る新しい流れとは?

「日本カー・オブ・ザ・イヤー」、ボルボ「XC60」受賞に見る新しい流れとは?

2017年の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」が発表され、ボルボ「XC60」が同社のクルマとして初めて受賞しました。輸入車が選ばれるのはこれで2度目、そこから見えてくるものとはなんでしょうか。

2017年の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」が発表され、ボルボ「XC60」が同社のクルマとして初めて受賞しました。輸入車が選ばれるのはこれで2度目、そこから見えてくるものとはなんでしょうか。

ボルボ車初の栄冠、輸入車の受賞は2度目

 毎年、年末近くになると発表されるのが「日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)」です。その年を代表する1台を、自動車メディアが中心になって定めるもの。1980(昭和55)年にスタートし、38回目を迎えた本年度はボルボ「XC60」が大賞となりました。輸入車としては、4年前のフォルクスワーゲン「ゴルフ」に続いて2台目。ボルボとしては初の栄冠です。

「『日本カー・オブ・ザ・イヤー』なのに日本車じゃないの?」と思う方もいるかもしれません。しかし、この賞は「その年に日本で発売されたクルマ」が対象です。ちなみに、欧州やアメリカの「カー・オブ・ザ・イヤー」に日本車が選ばれたこともあるように、その地で販売されていれば、どこの国のブランドにも獲得できる権利があります。

 とはいえ、これまでの「日本カー・オブ・ザ・イヤー」では日本車が優勢でした。そして、今年のボルボ「XC60」も圧勝というわけではありませんでした。

「日本カー・オブ・ザ・イヤー」は、60人の選考委員が25点の持ち点を5台に振りわけ、そのうちの1台に必ず最高点の10点を与えるという投票方法をとっています。つまり、選考委員は必ずベストの1台を決めています。そこで、ベストの10点を何人の選考委員から獲得できたのかとチェックしてみると、ボルボ「XC60」は9人。ところが、これは1位ではなかったのです。

もっとも選ばれたのは「カムリ」?

 最も多くの選考委員からベストの10点を得られたのは、トヨタの「カムリ」で14人でした。つまり、選考委員が1台しか投票できないのであれば、「カムリ」が1位となったのでしょう。2位は11人のスズキ「スイフト」。3位が10人のホンダ「N-BOX」。ボルボ「XC60」は、その次の4位でした。

 ところが、ボルボ「XC60」は、ベストではないけれど、60人中54人から点数を得ていました。つまり、幅広く良さを認められ、その結果として最も多くの点数を得て、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の大賞に輝いたのです。

日本車と輸入車がイーブンに見比べられる

「日本カー・オブ・ザ・イヤー」は「日本車も輸入車も分け隔てなく、良い悪いで評価される」という賞です。とはいえ、実際に日本市場で圧倒的に売れているのは日本車です。また、なんとなく「日本の賞なんだから、日本車だよね」という空気もあったのでしょう。

 しかし、近年になって、そんな雰囲気は徐々に変化してきました。記録を見直してみれば、10年ほど前から賞レースでは、常に2位や3位に輸入車が食い込んでいたのです。

 たとえば2008-2009年の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の1位はトヨタ「IQ」でしたが2位はシトロエン「C5」。2009-2010年も3位がフォルクスワーゲン「ゴルフ」。2010-2011年も2位に「ポロ」。2011-2012年はメルセデスベンツCクラスが2位。2012-2013年はBMW3シリーズが3位。2013-2014年は「ゴルフ」が大賞受賞。2014-2015年、2位Cクラス。2015-2016年、3位BMW2シリーズ。2016-2017年、3位アウディ「A4」といった具合です。

「日本市場だから」はもはや通用しない?

 つまり、1位に圧倒的な日本車がいなければ、いつでも輸入車が大賞獲得をうかがうという状況だったのです。また今年は、「カムリ」「スイフト」「N-BOX」の3台に票がバラけたことで、ダークホースであった「XC60」が浮上した理由とも言えます。問題は圧倒的な存在がいなかったこと。ドングリの背比べでは、次席にいる輸入車に栄冠が回ってしまうこともあるのです。

 もしも、来年以降も「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の大賞に輸入車が選ばれたのならば、それは、圧倒的な存在の日本車がいなかったということ。それは、そのまま日本車の魅力が低下しているのと同じことでしょう。もう、「日本市場だから日本車有利」という前提は揺らいでいるのです。

 日本車ファンとしては、輸入車に負けない、圧倒的な存在感を放つ魅力的な日本車が次々と登場してくれることを祈るばかりです。

【画像】ボルボ「XC60」のインテリア

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