中国軍「戦闘機」、なぜ日本海へ? 対馬海峡通過、戦闘機は初 その意図や目的とは

中国軍「戦闘機」、なぜ日本海へ? 対馬海峡通過、戦闘機は初 その意図や目的とは

中国軍の大型戦闘機、Su-30(画像:統合幕僚監部)。

中国軍の戦闘機が、初めて対馬海峡を通過し、日本海へと往復飛行しました。戦闘機がこのルートを飛行するのには、どのような意味や目的があるのでしょうか。

戦闘機の機種はSu-30

 防衛省統合幕僚幹部は2017年12月18日(月)、同日中に中国軍機5機が東シナ海から対馬海峡を通過し、日本海へぬける航路で飛行したことを明らかにしました。航空自衛隊は戦闘機をスクランブル発進させたほか、韓国空軍も中国軍機に対してスクランブル発進したことがわかっています。

 中国軍機による対馬海峡通過は過去にも例がありますが、対馬海峡はどの国の主権も及ばない公海であり、その上空もまた日本の領空外であることから、本件においては国際法上合法であり日本の権益を侵害するものではありません。

 しかしながら、今回の飛行において過去のそれと大きく異なっていた点がひとつあります。それは初めて戦闘機が含まれていたということです。防衛省によると機種はSu-30大型戦闘機2機、H-6K重爆撃機2機、そしてTu-154電子情報収集機1機が含まれていたとされています。

5機はなにをしに来たのか?

 中国軍機がいかなる目的で対馬海峡を通過したのかは不明ですが、機種編成および防衛省が公開した飛行ルートから察するに、恐らくはH-6K爆撃機を中心とした日本海における対艦攻撃、または本州日本海沿岸地域ないし北海道に対する巡航ミサイル攻撃を想定した訓練であった可能性があります。

 そしてそれが正しいとするならば、今回はじめて日本海へと進出したSu-30戦闘機はH-6K爆撃機の護衛機としての訓練を行っていたと思われます。なお、防衛省が公開した写真(スクランブル発進した戦闘機のパイロットが市販のデジカメで撮影する)では非武装でした。ただしこの写真が18日に撮影されたものであるかは不明です。

 Su-30は、ロシアのスホーイ社によって開発された長距離戦闘機です。広大なロシアを守るために極めて長い航続距離が求められ、機内燃料搭載量は実に10トン。これは航空自衛隊主力戦闘機であるF-15の機内燃料タンク約6トンに、投下型増槽約1.7トンを主翼下に2本懸架してほぼ同等という、膨大な数字です。しかもSu-30は、原型機であるSu-27には存在しなかった空中給油装置が追加されており、徹底した長距離進出能力が大きな特徴となっています。

 Su-30の公称スペックにおける戦闘行動半径は、空中給油抜き空対空ミサイル装備において1500kmです。今回Su-30がどの基地から発進したのかはわかりませんが、中国本土から日本海までは最短距離でも1000kmはありますから、まさに長距離戦闘機としての性能を発揮した飛行であったことがわかります。ひょっとすると東シナ海で一度ないし二度の空中給油を行ったかもしれません。

一方でわかりやすすぎる電子情報収集機の目的

 最後に1機のみ追随したTu-154電子情報収集機ですが、これはその名の通りレーダーや通信といった各種電波を逆探知し、それを記録するための偵察機です。

 Tu-154だけはその役割がはっきりしています。H-6KとSu-30の「戦爆連合」対馬海峡通過に際し、航空自衛隊および韓国空軍の戦闘機やレーダーサイトがどのような対応をとったのか、その電波情報を収集・解析し、今後の作戦立案にフィードバックする目的であったと思われます。

 ここ数年、中国機に対するスクランブル発進回数が激増しており、昨年度は史上最多となる年間1168回を記録しました。今後もこうした中国軍機の飛行はさらに増加する可能性があり、いずれ日本海への中国軍戦闘機到達も珍しくなくなるかもしれません。

 航空自衛隊では24時間当直勤務でスクランブル対応する隊員らの負担や、有限である戦闘機の寿命(飛行時間で計測される)が大きな課題となっています。

【図】2017年12月18日の中国機飛行ルート

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