飛行機の電動化、その現状とは エアバス、ボーイングほか、各社の動静と今後

飛行機の電動化、その現状とは エアバス、ボーイングほか、各社の動静と今後

エアバスとシーメンス、ロールス・ロイスが開発を進めている「E-Fan X」(画像:エアバス)。

クルマでは一般的となったハイブリッド技術ですが、2017年12月現在、航空機の分野でも浸透しようとしています。各社が目指すハイブリッド電気飛行機とは、どのようなものなのでしょうか?

飛行機にもハイブリッド化の波

 エアバスが、ロールス・ロイスとシーメンスの3社共同で、ハイブリッド電気飛行機およびその飛行実験機「E-Fan X」を共同開発すると、2017年11月28日に発表しました。

「E-Fan X」は2020年の初飛行を目指しており、旅客機のBAe146をテストベッドに、4つあるエンジンのひとつを2メガワットの電気モーターと入れ替えてテストを行い、段階的に電気モーターをもうひとつ増やしていく予定と発表されています。

 エアバスとシーメンスは2016年4月、2020年までに電気もしくはハイブリッド技術を用いた機体の飛行試験を目指すと発表しており、2030年までに100席未満のハイブリット型旅客機を完成させると示唆しました。今回、そのハイブリッド電気飛行機の計画にロールス・ロイスも加わる事が明らかになりました。ロールス・ロイス社は、エアバス機に採用されている「トレント」や「V2500」などのエンジンを製造しており、そのノウハウを活かせる事となります。

ライバル社の動向は…?

 シーメンスはすでに電気飛行機を実用化し、様々な記録を塗り替えています。2016年7月、電気モーターを搭載したエクストラ社(ドイツ)の「330LE」で、速度337.50km/hと電気飛行機の速度世界記録を樹立しました。モーター本体は50kgと軽量で、従来の産業用モーターの5倍となる260キロワットの出力を可能としています。そして「330LE」はグライダーの牽引なども行い、そのパフォーマンスを発揮しています。

 このように電気飛行機で実績のあるシーメンスが計画に参加していることで、エアバスのハイブリッド飛行機もより実現に近づいていると言えるでしょう。

 エアバスのライバルであるボーイングは、アメリカのLCC、ジェットブルー・エアウェイズと共同出資して、2013年に航空機メーカー「ズーナムエアロ」を設立しました。2017年10月、ズーナムエアロ社が発表したところによると、2022年からハイブリッド小型電気飛行機の納入を開始するとのことです。その機体は座席数10〜50席、重量5.6t(バッテリー重量1.1tを含む)、最大出力は1メガワット、巡航速度550km/h、航続距離1000kmを目指すといいます。

 ハイブリッド化を実現する事により従来の運航コストよりも安価となるため、アメリカ国内にある多くの地方空港を活用し、リージョナル路線を充実させ地方経済の活性化につながると期待されています。

モーター14台!?  NASAの実験機とは

 一方、宇宙技術の最先端を行くNASAは、2016年6月に電気飛行機の研究用プロトタイプX-57「マクスウェル」を発表しました。X-57は、練習機として実績のあるイタリアのテクナム社「Tecnam P2006T」をベースに開発され、主翼にはふたつのクルーズ用モーターと12台の小型電動プロペラが取付けてあります。離着陸時には14台全てのモーターが使用され、飛行中は外側2台のみが使用されます。

 この電気飛行機は、「リーディングエッジ非同期プロペラ技術(LEAPTech)」と呼ばれるNASAのプロジェクトによって開発されており、外側2台のモーター以外、12台の小型モーターがそれぞれ非同期で動き、航空機の性能と乗り心地の向上や騒音低減などを実現すると言います。

 このようにハイブリッドや電気飛行機が登場することにより、運用コストや機体自体の低価格化がすすめば航空機はより利用しやすい身近な存在となり、様々な可能性が広がると言えるでしょう。

【画像】「E-Fan X」における共同開発の分担図

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