温泉地の売り「旅館」でいいのか? 活性化狙うANA総研、その手段は「歩」&「食」

温泉地の売り「旅館」でいいのか? 活性化狙うANA総研、その手段は「歩」&「食」

チェックポイントを巡る形で行われた「ONSEN・ガストロノミーウォーキング in 別府八湯」(2017年11月18日、恵 知仁撮影)。

ANA総研が「温泉地の魅力向上」を図っています。方法は「ONSEN・ガストロノミーウォーキング」。温泉地には「コンテンツがない」という課題があり、それをどう解決し、魅力を向上させるのか、大分・別府で開催されたものに参加しました。

温泉宿をチェックアウトしたら「さようなら」?

 ANA総合研究所が「ONSEN・ガストロノミーウォーキング」という、「温泉地」の新たな楽しみかたを提供し、地域活性化を図るイベントを推進しています。

「温泉地」は旅先として有力ですが、ANA総研の小川正人会長は、温泉地が「その温泉地のコンテンツ」を持っていないことがあり、その場合、“売り”は「温泉地」ではなく、それぞれの「旅館」になっていると話します。そのため旅館をチェックアウトしたのち、訪問者はその温泉地から離れてしまうそうです。

 航空事業を展開するANA(全日空)グループのANA総研は、地域交流の活性化と流動人口の増加を目指すにあたり、インバウンドにとっても“キラーコンテンツ”である「温泉」「日本食」「景勝地」を一度に楽しめるツーリズムで、「温泉地」の魅力向上をはかることが重要と考えているとのこと。

 そこでANA総研は、提携しているCEEJA(アルザス・欧州日本学研究所)があるヨーロッパ・アルザス地域の取り組みをヒントに、「温泉」と「食」「自然」「文化・歴史」といった地域資源をウォーキングで楽しむイベント「ONSEN・ガストロノミーウォーキング」を、環境省やほかの民間企業と展開。こうした「コンテンツ」を作ることで、「温泉地」の魅力を向上させる取り組みを行っているといいます。

 具体的にどのような「コンテンツ」が作られているのか、2017年11月18日(土)に大分県別府市で行われた「ONSEN・ガストロノミーウォーキング in 別府八湯」に参加、取材しました。

 なお「ガストロノミーツーリズム」は、その土地を歩きながら、その土地ならではの食をたのしみ、歴史や文化を知る旅のことで、欧米で普及している旅のスタイルといいます。「gastronomy」は「美食法」などの意味です。

「ONSEN・ガストロノミーウォーキング」へ参加してみた

「ONSEN・ガストロノミーウォーキング」は、2017年5月に本格的スタート。大分県別府市で11月18日(土)に開催されたものは、その11回目で、約260名が参加しました。

 まず、別府市街地にある別府公園で開会式を行ったのち、バスで明礬湯の里へ移動。そこをスタートに、以下の流れでゴールまで進みます。ポイント名のうしろは、そこで楽しめる地元の「食」です。

明礬湯の里【スタート】:湯けむりサイダー、温泉蒸したまご。

岡本屋売店:地獄蒸したまごサンドイッチ。

鉄輪地獄地帯公園:別府ざぼんサイダー、ざぼんのお酒、かぼすハイボール、ざぼん漬

海地獄:地獄蒸し焼きプリン(海地獄入場券付き)。

大谷公園:地獄蒸し野菜セット、日本酒。

冨士屋 Gallery 一也百:温泉コンフィチュールのカナッペ。

大黒屋:地獄蒸し手羽先。

蒸士茶楼:汽鍋(チーコー。温泉の蒸気を使って作るスープ)、低温ドライフルーツ。

大谷公園【ゴール】:地獄蒸し白米、角煮椎茸、酒類。

 ルートは標高の高いところから降りていく5.5km程度のもので、スタートの明礬湯の里を11時ごろ出発し、チェックポイントに立ち寄りながら、ゴールの大谷公園には14時ごろ到着。「次はここに行く」と行程が決まっており、そのまま“おまかせ”で進んでいけば温泉地とその景色、味覚を自動的に楽しめる「コンテンツ」が用意された形です。

 ANA総研の小川正人会長によると、「食べる」ところなどが受けているといい、参加者の女性比率が高い、年齢がばらけている、雨でもキャンセルが少ないといった特徴があるとのこと。また違ったその温泉地の魅力をアピールできるのではと、自治体からの「やりたい」という声も多いといいます。

「ONSEN・ガストロノミーウォーキング」は2018年も3月4日(日)の「千葉・いすみ」から、日本各地で開催される予定です。

関連記事(外部サイト)