長い列車やICカード運賃、グリーン車も……東京の鉄道、ここにびっくり!

長い列車やICカード運賃、グリーン車も……東京の鉄道、ここにびっくり!

15両編成で走る上野東京ラインのE231系電車。このうち2両は2階建てのグリーン車(写真出典:photolibrary)。

世界有数の規模といわれる、東京の鉄道網。首都圏の皆さんが何気なく使っている駅や電車も、関西人にとっては驚きの事実がいっぱいです。そんな“東京ならでは”の鉄道事情を紹介します。

「短い10両編成」は決して短くない

 東京で暮らす人々にとって、なくてはならない移動手段である鉄道。JR山手線に所属する29駅だけでも、1日当たり約531万人が乗り降りしています(山手線以外のJR各線を利用している人も含む)。

 他にも、東京メトロの輸送人員数は1日約724万人を数えるなど、東京都内の鉄道全体では延べ1000万人を超える乗客を、毎日運んでいることになります。

 ところで、ふだん東京の鉄道を使わない人にとっては、自分たちの地元との違いにびっくりすることもしばしば。そこで今回は、大阪生まれ・大阪育ちの筆者(伊原 薫:鉄道ライター)が見つけた、東京ならではの特徴を紹介します。

人と列車の多さに圧倒!

 まず、なんといっても驚くのが、鉄道を利用する人の多さです。冒頭にも書いた通り、東京都内だけでも膨大な数の人々が、鉄道を毎日利用しています。JR東日本で乗車人員が一番多いのは新宿駅で、その数は1日約77万人(2016年度。以下同じ)。JR西日本で最多を誇る大阪駅が1日約43万人ですから、その規模には驚きです。

 また、JR西日本で乗車人員が1日10万人を超えるのは5駅なのに対し、JR東日本ではなんと41駅。都心のターミナルだけではなく、周辺の駅まで利用が多いのも首都圏の特徴です。大阪だと、拠点駅から数駅離れれば車内に空席のできることがよくありますが、東京では「いつまでたっても一向に座れない」ということも。

 さらにびっくりするのが、それらの乗客を運ぶ列車の長さと多さ。山手線は11両、京浜東北線は10両編成の列車が、ラッシュ時には約2〜3分間隔でやってきます。湘南新宿ラインや上野東京ライン、常磐線などは、15両編成という長大編成も存在。駅で「次の列車は短い10両編成でまいります……」という放送を聞くたびに、「10両編成って、ぜんぜん短くないわ!」とツッコんでしまうのは、関西人の性でしょうか。

ICカードのルールも東西で違いが

ICカードの残額が少ないと入場できない!

 さて、駅に入ろうとして自動改札機にICカードをかざすと「ピンポーン」と鳴ってゲートが閉まる……これ、関西人にはよくあることなのです。原因は、ICカードの残額不足。首都圏では、入場する駅から隣の駅までの最低運賃(初乗り運賃)に相当する金額(JR東日本は133円、東京メトロは165円)が残っていないと、入場できません。一方、JR西日本ではICカードに1円でも残額があれば、とりあえず入場することは可能。そのため、関西では入場時に自動改札機に表示された残額を見て「おっ、残額が少ないから出場時にチャージしよう」という人が多いのですが、東京ではそれが通用せず、入場時に「ピンポーン」と鳴ってしまうのです。

 この違いは、各社が定めた約款(やっかん)によるもの。首都圏の各社では、初乗り運賃相当の残額がないICカードは「きっぷ」とみなさないことになっています。一方、JR西日本はICカードに1円でも残額があれば「きっぷ」とみなすことにしているため、このような違いが生まれているのです。ちなみに、九州地区の「SUGOCA」などは残高が10円あれば改札機を通ることが可能。関西私鉄が採用する「PiTaPa」は、利用額をクレジットカードのように後払いする「ポストペイ方式」を採用しているため、「PiTaPa」エリアは残額が0円でも電車に乗れます。そして、さらに上を行くのが東海エリア。JR東海や名鉄などは、ICカードの残額が0円でも「きっぷ」とみなし、入場することができます。

 この点については、東京よりも他の地域の方が親切といえるかもしれません。自動改札機に「ピンポーン」と怒られてしまい、戸惑う人たちのためにも、制度が変わってくれることを望みます。

現金とICカードで運賃が違う!

 そんなICカードには、関西人が戸惑うポイントがもうひとつ。それは「きっぷを買った時とICカードを使った時で、運賃が違う」ということです。関西では両者が同じですが、東京では、たとえばJR山手線の初乗り運賃がきっぷだと140円なのに対し、ICカードを使うと133円と、わずかながら“オトク”になります。

 この違いは、2014年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられた際の運賃改定で生まれたもの。それまで130円だった区間は、この改定で3%分が上乗せされた133.7円が本来の金額となります。ところが、自動券売機は1円玉や5円玉に対応していないため、やむを得ず140円となりました。一方、ICカードは1円単位で運賃の設定が可能なため、より近い133円に設定。こうして両者の運賃に違いが生じたのです。

 ちなみに、きっぷの場合は1円単位の端数を四捨五入するのが基本となっているため、区間によっては「きっぷよりもICカードの方が高い」ということも。たとえばJR蘇我駅(千葉市中央区)からの初乗り運賃は、きっぷだと140円なのに対し、ICカードだと144円と、ICカードの方が逆に高くなってしまうのです。節約志向の強い(?)関西人にとっては、どちらの方が安いのか悩むところですが、ひとつの目安として「千葉・取手・大宮・高尾・大船を越える場合は、ICカードの方が高くなることもある」と覚えておくと便利かもしれません。

吊り革の形も違いが

駅ナカ施設が充実している!

 駅の中にも違いが。品川駅や上野駅、大宮駅などにある「ecute(エキュート)」を筆頭に、東京は駅ナカ施設がとても充実しています。飲み物やお土産物などはもちろん、デパートの地下にあるような惣菜コーナーや飲食店、立ち飲みができるバルも。乗り換えの合間にちょっと利用できるだけでなく、むしろ「駅ナカ施設で楽しむ」ために列車で来る人も増えているそうです。

 関西でも、商業施設に加えて展望デッキも設けられた近鉄の大和西大寺駅(奈良市)にある「Time's Place(タイムズプレイス)西大寺」など、「駅ナカ」と呼ばれる商業施設は増えています。ただし、JR大阪駅の「エキマルシェ大阪」など多くの施設は改札の外にあるため、乗り換えなどで時間があっても使えないのが残念。改札の中にあるという“強み”を活かした駅ナカ施設が、関西にも増えてくれることを願います。

同じ駅名なのに距離が遠い!

 以前の記事「回らない環状線、ゴージャス座席……大阪の鉄道、ここにびっくり!」で、大阪では近接する駅の名前が鉄道会社によって違うという点について書きましたが、これと対極にあるのが東京のターミナル。有名なのはJR東京駅で、京葉線のホームは他の路線のホームと400mほど離れています。改札内の連絡通路で結ばれているとはいえ、これはかなりの距離。「品川方面から来る人は、有楽町駅で乗り換えた方が早い」という“裏ワザ”まであるほどです。

 他にも、東京メトロの銀座駅(東京都中央区)や大手町駅(同・千代田区)など、いくつかの路線が集まる駅では乗り換えに5〜6分かかるところも。渋谷駅は、同じ東京メトロの駅でありながら銀座線だけは地上にあり、乗り換えはいったん改札を出る必要があります。単純に「駅名が同じだから簡単に乗り換えられる」というわけにはいかないため、注意が必要です。

「同じ駅名なのに距離が遠い東京」と、「近くにあるのに駅名が違う大阪」。共通するのは、よほど慣れた人でないと間違いやすい、という点でしょうか。

吊り革の形が違う!

 満員の列車に乗り込み、吊り革を握った時に「?」と違和感を覚える関西人。その理由は吊り革の形です。JR東日本では、25年ほど前から新造車両の吊り革はすべて三角形を採用しており、東京メトロや大半の私鉄も、三角形の吊り革が取り付けられています。

 これに対し、関西で三角形の吊り革を採用しているのは、南海の新型車両などごくわずか。ほとんどは丸形のものが使われているのです。ただし、丸形といってもJR西日本の新型車両では少し大きく、また太くするなど、握りやすさを工夫。丸形と三角形、どちらが良いか一概には言えませんが、各社ともより使いやすさを追求しています。

 ところでこの吊り革、取り付け方にも違いがあるのをご存じでしたか。吊り下げられている横棒に対して、丸形のものは同じ方向に、三角形のものは直角方向に取り付けられているのです。次に乗車した際、よく観察してみてください。

普通列車にもグリーン車

グリーン車を使って快適に移動できる!

 大阪で在来線を利用する際にありがたいのが、快速や新快速の座席。背もたれを前後に移動させることで座席の向きを変えられる2人掛けの転換クロスシートで、快適に移動することができます。特別料金は不要とあって、東京の方にはうらやましがられる一方、大阪人にとってうらやましいのが首都圏の快速・普通列車に連結されているグリーン車です。

 背もたれの角度を変えられるリクライニング座席はさらに快適で、疲れた体を休めるのに最適。中央線を除く主要路線で大半の列車に連結されており、本数が多いのも魅力です。2階建て車両が2両連結されているため、ラッシュ時間帯を除けば座れないといった心配もほぼ無用。「グリーン料金を払ってでも、ゆったり座りたい」というサラリーマンの強い味方です。

 こうしたニーズは関西でも高まっており、泉北高速鉄道の「泉北ライナー」や京阪特急の「プレミアムカー」など、短距離を走る特別座席車両も徐々に増加しています。今後はJR西日本の在来線でも、こうしたサービスの導入に期待したいところです。

各駅の個性が光る発車メロディ

 筆者が上京する際、必ず訪問する駅があります。それはJR北千住駅(東京都足立区)。といっても、近くに友人が住んでいたり、おなじみの飲食店があったりするわけではありません。実は、この駅で流れる発車メロディが大好きなのです。3番線まであるこの駅は発車メロディも3種類あり、うち2種類は同駅のみのオリジナル、残り1種類もこことJR新橋駅(同・港区)のみで聴ける、なかなか“レア”な曲がそろっているのです。

 JR北千住駅に限らず、首都圏にある多くの駅で採用されている発車メロディ。JR高田馬場駅(東京都新宿区)や新座駅(埼玉県新座市)は『鉄腕アトム』、JR蒲田駅(東京都大田区)は『蒲田行進曲』など、その地にちなんだ曲が採用されている駅もあります。JRだけでなく私鉄にも広がっており、そのバリエーションは数百ともいわれています。

 関西で、各駅で異なる発車メロディを導入している路線は、JR大阪環状線などごく一部。その中で、京阪本線は各駅のメロディをつなげるとひとつの曲になるという“遊び心”が採り入れられています。近年では、地域ゆかりの曲を採用した例も全国に増加。各駅のメロディを聴き比べるのも、旅の楽しみのひとつになっていくかもしれません。

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 東京に住み、東京で暮らす人たちにとって、何気なく使っている駅や電車ですが、他の地域から来た人には、新鮮な点がいっぱい。皆さんも、旅や出張で他の地域を訪れた際は、そんな違いを探してみてください。

【写真】関東ならでは? きっぷとICカードの運賃対応表

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