なぜいま紙のきっぷ? 懐かしの硬券つくる21世紀生まれの印刷会社、成長のワケ

なぜいま紙のきっぷ? 懐かしの硬券つくる21世紀生まれの印刷会社、成長のワケ

かつて発行されていたJRの硬券。記念きっぷとしては現在も販売されることがある。写真はイメージ(乗りものニュース編集部所蔵)。

ICカード乗車券などが普及し、紙のきっぷを手にする機会が減っているなかで、これら乗車券類の印刷を手掛ける21世紀生まれの会社が成長を続けています。どのような背景があるのでしょうか。

「日本で最も若い」乗車券類の印刷会社

 ICカード乗車券などの普及で、鉄道を利用する際にきっぷを手にする機会が減っています。そのようななかで、自動券売機の登場以前からあった厚紙のきっぷ「硬券」の印刷などを行う、21世紀生まれの会社が存在します。

 その会社は関東交通印刷(千葉県銚子市)といい、2001(平成13)年7月に創業しました。乗車券類の印刷会社としては、日本で最も社歴の浅い会社だといいますが、年々業績を伸ばしているそうです。同社に話を聞きました。

――どのような事業を行っているのでしょうか?

 鉄道乗車券類の印刷を中心に、定期券申込書や車内吊り広告、駅のポスターなどをデザインから印刷、駅への手配まで行っています。また、駅ナカ店舗や鉄道趣味店向けに、きっぷを中心としたオリジナルグッズ製作を始めたばかりで、今後大きく展開していく予定です。

――どのような経緯で創業されたのでしょうか?

 前身は、旧国鉄のきっぷやダイヤグラムの印刷、改札鋏(かいさつばさみ、かいさつきょう)といった駅の備品などの製作を行っており、当社代表がその会社を買い取って創業しました。

 硬券印刷を鉄道事業者以外で正式に始めたのが当社であり、このことで硬券人気に火が付き、多くのユーザー様に認知されました。鉄道事業者様からも記念きっぷを中心に製作を依頼いただけるようになり、現在に至ります。

――クライアントはどのような会社でしょうか?

 JRグループから地方私鉄まで、全国の鉄道会社が中心です。

「当社が辞めたら日本の硬券がなくなる」!

――業績が伸びているといいますが、どのような部分に支えられているのでしょうか?

 従来はデザイン、ライセンスの管理、仕分け、配送などを別々の事業者で行う場合が多かったのですが、当社ではこれらを一貫して手掛けられることでしょう。クライアント様にとっても時間や費用の負担が軽くなり、新規のご用命も多くなりました。

――技術的な側面での強味といったことはありますでしょうか?

 古い技術をいまでも継承していることです。昔は、SLが造れても現在のような新幹線車両は造れませんが、現在は新幹線車両は造れても、SLは造れないでしょう。SLにたとえられるような古い技術を当社は保持しています。レトロな硬券から豪華な印刷物まで製作が可能で、クライアント様にもエンドユーザー様にも、納得いただける商品を提供しています。

※ ※ ※

 関東交通印刷によると、従来、硬券などの印刷は年配の職人が手掛けており、その人が引退すると製作できなくなるといったケースが多く、技術が継承されてこなかったそうです。「当社は若い職人の育成にも積極的です。『当社が辞めたら日本の硬券がなくなってしまう』という意気込みで取り組んでいます」と話します。

【写真】SNS時代の硬券!?

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