「雪道走ると車が錆びる」問題、克服へ? 新開発の道路凍結防止剤とは

「雪道走ると車が錆びる」問題、克服へ? 新開発の道路凍結防止剤とは

冬、道路に撒かれた凍結防止剤がクルマに悪影響を与えることがある。写真はイメージ(画像:kvd62/123RF)。

雪道では凍結や積雪防止のため、塩を主成分とする凍結防止剤が撒かれることがあります。これが、クルマを錆びさせてしまうという側面がありますが、金属の腐食を抑えるという新たな凍結防止剤をNEXCO中日本が試行導入します。どのようなものでしょうか。

新開発の凍結防止剤、その意外な正体

 冬の道路には、凍結防止剤や融雪剤が撒かれることがあります。

 これらの主成分は塩化ナトリウムや塩化カルシウム、つまり塩です。凍結を防止したり、雪を溶かしたりする効果がある一方で、金属を腐食させてしまうというデメリットもあります。このため、雪道を走った後は洗車をしないと、主として下回りが錆びてしまうともいわれます。

 NEXCO中日本によると、凍結防止剤や融雪剤はクルマだけでなく、道路そのものにもダメージを与えているとのこと。この問題を解決すべく同社では、2018年3月から東海北陸道の積雪区間である白川郷IC〜五箇山IC間において、塩化ナトリウムに代わる物質を活用した新しい凍結防止剤を試行導入するといいます。どのようなものなのか、同社に聞きました。

――新しい凍結防止剤はどのようなものでしょうか?

「プロピオン酸ナトリウム」という物質を活用したものです。この物質はおもに、菌の繁殖を抑える食品添加物として使用されているもので、塩化ナトリウムよりも金属の腐食を抑えられる効果が認められています。

――なぜ開発したのでしょうか?

 高速道路ではおもに塩化ナトリウムを凍結防止剤として使用してきましたが、1990年代にスパイクタイヤの使用が禁止されて以降、使用量が増加し、これにより橋の鉄筋などが錆びてしまう「塩害」が問題となっていたからです。プロピオン酸ナトリウムを用いた凍結防止剤は、富山県立大学と寒地土木研究所(札幌市豊平区)において基礎研究がなされ、当社としても現場に適用できそうだと考え共同で開発を進めてきました。

コストは10倍!?

――どのように使用するのでしょうか?

 塩化ナトリウムとプロピオン酸ナトリウムを9:1の割合で配合した溶液をつくり、「湿塩散布車」で道路に散布します。従来は塩水と固形の塩化ナトリウムを別々のタンクに積み込み、混ぜ合わせて散布していますが、この塩水の1割ほどにプロピオン酸ナトリウムを配合します。試行においては、溶液作成や積み込みのしやすさなどを検証します。

――配合率はどのように決めたのでしょうか?

 経済性などを考慮しています。プロピオン酸ナトリウムは塩化ナトリウムと比べて大幅に金属の腐食を抑えられるのですが、塩化ナトリウムが1kgあたりおよそ30円なのに対し、プロピオン酸ナトリウムはおよそ300円と、10倍のコストがかかります。配合を1割とした場合でも金属腐食量は従来のおよそ半分に抑えられ、単価としては2倍程度となります。

――クルマへのダメージも抑えられるのでしょうか?

 その効果も期待しています。今回の試行では作業車に金属片を取り付け、その腐食状況を一定期間モニタリングし、走行中に凍結防止剤が跳ね上がることなどの影響を検証します。

※ ※ ※

 NEXCO中日本によると、「効果を検証し管理コストの低減につながると認められれば、当社以外の道路でも広がるかもしれません」としています。

【グラフ】「塩ナト」よりはるかに低い「プロナト」の金属腐食量

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